主人は、新しいコールセンターに移るまでの間、同じ携帯電話の請負のコールセンターで働いていたのですが、その間も私は主人を車で送迎していました。
免許を取って運転し始めてからこの方、あおられたり罵詈雑言を浴びせられることなど一度もなかったのですが、このイギリスに来て初めて、威勢のいいドライバーに指を立てられてしまいました。
その日私は、いつものように主人を無事送り、ヨシヨシを後部座席に乗せて、オレンジハウスへと向かっていました。
しかし、その途中に必ず通らなければならない大きな橋があり、当時その橋は補修作業中で、交互通行だったかと思います。
行きはスイスイ通れたのですが、戻りの反対車線はものすごい渋滞状態になっていました。
さて、私がその大橋に差し掛かる手前くらいで、車はのろのろ運転になり、完全に動かなくなる事数回という状態が約一時間ほど続きました。
イギリスの8月といっても、あの年の夏はとても暑く、車内はエアコンを付けていなかった(というか、エアコンそのものが付いていない車だった)ので、窓を開けていてもギラギラの太陽が車内を照らし、非常に息苦しい暑さになっていました。
そんな暑さの中のこの渋滞。
私は、今にも飽きて泣き出しはしないかと、後ろにいるヨシヨシの事が気になって仕方がありませんでした。
なかなか進んでくれない車の動きに、それぞれのドライバーのいらいらもピークへと達しようとしています。
私の車は、本道を走っていたので、枝道から来る車を入れてあげる立場でした。
前の車が、枝道から合流してきた一台の車を入れてあげました。
さて、次は私の番です。
私も、枝道から入ってきた車を一台入れて車を詰めました。
何時も通りのことをしたつもりなのですが、すぐ後ろを付けていた続行車が、ここぞとばかりに無理やり私の車の前に入ってこようとするではありませんか。
私を見て、入れてもらえると思ったのでしょう。
既に私の車は、前の車に接近していたので、その車が入る余地など到底ありません。
その瞬間、開いていた窓から「Fxxk you!!」(「なめんなよ!」みたいな感じ)という声が聞こえてきました。
横目でチラッと見ると、そこには、怒り心頭の表情と共に指を立て、罵声を発している男性ドライバーの姿が。
私は勿論、そんなドライバーなど完全無視(しかし、心の中は恐怖でいっぱい)。
当然ながら、私の車の後に付いたのはそのドライバー車。
その後、大橋を渡り終える途中の枝道に私が入るまで、彼は私をにらみ続けていたに違いありません。
断定しないのはなぜかというと、その橋を渡り終えるまで、私は決して後ろの車に目をやる事はしなかったからです。
だって、あの時本当に恐怖を感じてしまったものですから。