フィービーが、途中で一度もエンストを起こすことなく、無事に帰路に着く事が出来た私達。
それから一週間も経たない内に、主人が面接を受けた会社から合否の連絡が届きました。
内容は、見事合格。
「ああ、やっぱり...」
私の心は、主人の合格に対し嬉しい反面、がっかりもしていました。
確かにバンブリーは、この町に比べたらだいぶ垢抜けていて、治安も良さそうで、しかも住みやすそうな場所だとは思います。
が、しかしです。
何せ身軽ならともかく、身重で、再び知らない土地に引っ越さなければならないという面倒さと不安が、その時私の上に大きくのしかかりつつありました。
そんな私の不安をよそに、合格の連絡を受けて浮かれている主人の心は、既にバンブリーへと飛んでいるようでしたが、私の不安を打ち明けると、主人もさすがに現実的に考え始めてくれました。
勿論身内の人達には、面接試験に受かったら、バンブリーに引っ越すつもりだということは話していたのですが、いざ、受かったという知らせを聞くと、やはり、引き止めようとする声が出て来たのも確かです。
幸いな事に、私は主人が面接を受ける前に、チラッと言っていたことを思い出しました。
そう、この近くにも同じ会社のコールセンターがあるということを...。
私は、主人に一か八かでバンブリーでなく、この近くのコールセンターに配属させてもらえないかどうか、お願いしてみてはと提案してみました。
主人も、身内と私からの意見に押され、早速会社に連絡を取ったのでした。
そうしたらです。
調度同じ時期に、この近くのコールセンターでも求人募集をしていたらしく、何の問題もなくすんなりとオーケーがもらえたのです。
これで、もう引越しの心配をする必要がなくなり、晴れて、このオレンジハウスから新しい会社へと通勤する事が出来るようになりました。
が、しかし、やはり私が車で送迎しなくてはいけない場所にその会社はあり、再び恐怖の日々が私を待ち構えることとなったのです。