閉じ篭ることが多くなったそんな7月のある日、私とヨシヨシは伯母さんと一緒に出かける機会があり、空が暗くなりかけた頃に帰宅した時のこと。
伯母さんの車から降りて家の方を見た瞬間、私の体に緊張感が走りました。
なぜかというと、家の前、厳密に言うと、隣のトレーシーの家のフロントガーデンに男女10人くらいの、決してガラがいいとはいえない様相の若者達が、ビール瓶を片手にたむろしているではありませんか。
彼等は、勿論トレーシーの仲間なのでしょう。
トレーシーはというと、いつものように彼女の家のドアの所に座っていました。
伯母さんと私が、家のドアに向かって歩いている傍らで、いかにも酔っ払った状態のハスキーボイスの女性が私に話しかけてきました。
"Hey! Are you Chinese?"
"No. I'm Japanese."
彼女は、その後にご機嫌な感じで何か言っていたようでしたが、何を言っていたのか覚えていません。
一応、伯母さんと私は"See you."と言って家の中に無事入ることが出来ました。
伯母さんも当然の如く、この状況をよく思っていなかったようです。
もともと引っ越して来た当初から、トレーシーに対して何となく良い印象を持っていなかったのですが、これで益々あまり関わりたくない存在になってしまいました。
とは言うものの、外で顔を合わせる時は勿論、ごく普通に挨拶は交わしていた訳ですが...。