脱ビジュアル系とは?


音楽的に脱ビジュアル系路線を推し進めだしたDir en greyのメジャー3rdアルバム『鬼葬』をレビュー!


Dir en grey - 鬼葬

ディル・アン・グレイ - キソウ

2002年1月30日リリース

オリコン3位


トラックリスト

  1. 鬼眼 -kigan-
  2. ZOMBOID
  3. 24個シリンダー
  4. FILTH
  5. Bottom of the death valley
  6. embryo
  7. 「深葬」
  8. 逆上堪能ケロイドミルク
  9. The Domestic Fucker Family
  10. undecided
  11. 蟲-mushi-
  12. 「芯葬」
  13. JESSICA
  14. 鴉-karasu-
  15. ピンクキラー
  16. 「神葬」
赤字表記はシングル曲


鬼葬の曲毎の解説/レビュー

本作以降、シングル曲以外の楽曲が脱ビジュアル系路線を推し進め、現在に近い(と言っても遠い)音楽性を追求しだしたわけだけれど、試行錯誤過程、模索中なのか、兎に角個人的には進化・深化の途上も途上、過渡期にあるように思うアルバムであるため、サクッといくぜ!


一曲目、鬼眼-kigan-

アルバム冒頭を飾るに相応しい怪しげなギターのメロディから始まる途中からハードになる楽曲。


花魁がテーマとなっているのですが、歌詞中、心眼妄想、卵管暴走、排卵反応、花魁干渉、断腸切断、談笑中絶。

性欲願望咲かせましょう、妊娠願望咲かせましょう、己の願望咲かせましょう、女の死体を咲かせましょう、来年の春を咲かせましょう、京の都に咲かせましょう。

と、言葉遊び自体は面白いけど、だいぶヤベーエログロ描写となっています。と同時に耽美でもあると思うんだけどもね。


2曲目、ZOMBOID。薫作曲。

こちらはコスプレマニアの男の性癖が、段々同性愛者になっていくというエログロ楽曲。音楽性的にはハードコア路線を推し進めたといった感じ。歌詞は…載せられません!


3曲目、24個シリンダー。

シングルJESSICAのB面楽曲で、トゥエンティーフォーシリンダーと読むバラード曲。


儚いバラードなんだけれど、京のボーカルがかなりエモーショナルな楽曲である。


4曲目、FILTH。10thシングルでこちらもエログロな楽曲。


歌詞に反してサビはかなりポップな感じとなっている。


肉欲フェスティバルが始まる

性欲フェスティバルが始まる

S的フェスティバルの暴走

人肉迅速サイコホラー

肝臓入りのオレンジジュース

腎臓混じりの甘口カレー

膵臓仕込みのペスカトーレ

愛しの愛しのサイコホラー


なんぞそれ!レクター博士に怒られろ!(褒め言葉)


5曲目、Bottom of the death valley。Toshiya作曲。

タイトルのまんまですね。谷底に車での転落自殺を図ろうとしている女性がテーマのベースラインが印象的なミドルテンポのロックナンバーです。


6曲目、embryo。9thシングル。薫作曲。


かなり具体的な近親相姦がテーマの楽曲であり。シングルでは規制のため別の歌詞が採用されている。

ボーカルもサビ以外はポエトリーリーディング的なものであり、かなり独特な楽曲となっている。


7曲目、「深葬」。インダストリアルなほぼインスト曲。曲間を繋ぐSE。


8曲目、逆上堪能ケロイドミルク。なんちゅータイトルつけてんねんっていうFILTHのカップリング曲。薫作曲。

幼少期の夜這いによる陵辱がテーマのエログロ楽曲。妖艶なギターと歌メロからハードに展開していく。


9曲目、The Domestic Fucker Familly。

珍しく京が作曲のハードコアな楽曲。リズミカルなボーカルとギターリフがかなり特徴的。歌詞のテーマは相変わらず。タイトルのまんまな内容である。


10曲目、undecided。Die作曲。

アコースティックギターのストロークから入るミドルテンポのバラード。一旦エログロから離れてみたみたいな。


11曲目、蟲-mushi-。薫作曲。

Dirとしてはかなり静かでメロディだけなら美しいバラードである。


だが、歌詞のテーマはいじめであり、かなり暗い内容となっている。京もかなりエモーショナルに歌っている。


12曲目、「芯葬」。ヒップホップのトラックに使われてそうな曲間を繋ぐSE。


13曲目、JESSICA。11thシングル。

Dirの中でもかなりというか、最もポップでキャッチーな部類の楽曲である。故に嫌い←だからシングルとは言え貼りもしない。

歌詞には猟奇殺人鬼のエド・ゲインが登場したり、セックス・ピストルズのシド・ヴィシャスとその恋人ナンシーが登場したりする。故に楽曲もパンク調。

シド・アンド・ナンシーっていうゲイリー・オールドマン主演のシド・ヴィシャスの半自伝的な映画もありましてな。そちらはまぁましオススメ。


14曲目、鴉-karas-。薫作曲。

個人的には本作で最も好きな楽曲である。


やっと来たかって感じ。世間やファンの評価がどうかは知らないけれど、正直個人的にはこのアルバム聴くのまぁまししんどいですねん。

静寂パートでは今日のポエトリー・リーディング的なボーカルと、薫の一応タッピングという印象的なギターリフを聴くことができる。(リフ=リフレイン)

歌詞のテーマは相変わらずの姉を犯したとかいう近親相姦で、更に独房に入れられても自慰行為に耽ることをやめられないといったエログロのとんでもない内容。


僕にはアレコレソレが足りず

生まれる前から胎内の廃棄物(ゴミ)で

幼稚園の頃には襖を開けて

親の性行為を鑑賞

今では姉を犯した罪で

ここ六独房の生きる廃棄物で

毎日毎晩今でも欠かさず絶頂に上りイッテおります


一応言うておくけど、この曲の歌詞が好きなわけではない。


15曲目、ピンクキラー。

徹頭徹尾暴走のハイテンションナンバー。歌詞はなんだかよくわからんけど、兎に角エログロである。

極悪なコーラスが好き。


16曲目、「神葬」

打ち込みの中でピアノをフィーチャーしたインスト。アルバムのラストを飾る。オマケみたいな。


総評

個人的にはあまり好きでもないアルバムだし、歌詞もエログロに走りすぎているし、こんなものは初心者は聴いちゃダメですよぉ!ファン向け、マニア向けだと思うな。個人的には京の詩も人間の深部に迫るような、そういうのが好きなのであって、エログロでもいいけど単純に外に向かったエログロが好きなわけではないのです。


鬼葬のオススメ曲

1.鬼眼-kigan-、11.蟲-mushi-、14.鴉-karas-

偶然にも、アルファベットで読み方を教えてくれているこの3曲がオレの中でランクイン。