ドレの絵とともにダンテの『ドレの神曲 [ ダンテ・アリギエーリ ] 』について
ダンテの『神曲』を読まなくてもこれで十分にその作品のことが分かるヴィジュアルストーリーテラーのドレの『神曲』
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レビュー
フランスのイラストレーター・画家(版画家・挿絵画家・彫刻家)のポール・ギュスターヴ・ドレの挿画をふんだんに使ったダンテの『神曲』です。
ダンテ(1265~1321)の『神曲』が出されて500年以上たった時代に活躍したドレ(1832~1883)は、その絵画的才能がミケランジェロの再来と言われ、幼い頃の彼の日記には
まずダンテを手始めとし、世界中の秀れた古典文学を自らのイラストによって飾る
と書かれているように、古典文学を視覚化する野望を持っていました。1861年に『ドレの新曲(地獄篇)』を発表しまずが、当初は版元が見つからず、自費出版したのですが、出版されるやいなや大評判となった作品です。
本書は、地獄篇だけでなく、煉獄篇、天国篇すべてについて、ドレの『神曲』の挿画とともに文章や解説もついていて、ダンテの『神曲』を読むのはこれからですが、その大枠の世界観だけでなく、かなりの部分まで分かるのではないか、人に語る上では十分に読んだといえるだけのものは得られるのではないかと思えるくらいのものとなっています。
ダンテの『神曲』は、ギリシア・ローマの教養を基礎素養として持っているわけでもなく、キリスト教徒ではない私にとって、異質なものですが、ドレの挿絵のおかげで、異質なことも含めて、西洋人はこういうふうに天国や地獄を表現するんだなというのが分かり、西洋についての理解をまずは視覚的に行えるので、文章を読む上でもとても助かりました。
これより改めて、ダンテの『神曲』に挑みますが、側に置いておいてドレの絵を見ながら読めば、理解により役立つだろうと思います。
〈書籍データ〉
『ドレの神曲』
原 作:ダンテ・アリギエリ
訳構成:谷口江里也
挿 画:ギュスターヴ・ドレ
発 行:株式会社宝島社
価 格:1,429円(税別)
2009年12月26日 第1刷発行
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