30年以上前の大学受験浪人のときに読んだマンガ『あさきゆめみし』を、今年の大河『光る君へ』に合わせて再読
長大な『源氏物語』をマンガでその世界観を味わえる。光源氏の恋愛遍歴の始まり
レビュー
大河ドラマ『光る君へ』の主人公まひろこと紫式部が書いた『源氏物語』は3年くらい前に全部読みましたが、4か月くらいかかり大変でした。この大河に合わせて読み直そうかという思いもありましたが、それよりもまずは本書で世界観をつかみ直そうということで読みました。
30年以上前の大学受験浪人中に、古文対策として友人の勧めで読みました。そして姪が大学受験だったので、姪に進めたのがこのマンガで無事に大学受験が終わったので、大河に合わせて読み直してみることにしました。
『源氏物語』を読み終えたからこそわかるんですが、よくあの長大な物語をマンガで分かりやすく(といってもなかなか読み応えあります)してくれたと思います。
第1巻で登場する主な女性と光源氏の関係
桐壷の更衣:桐壷帝に見初められ入内し寵愛を受ける。身分の低さと宮中の女性たちの嫉妬を買い、陰湿な嫌がらせを受けて、桐壷帝との間の赤ん坊の光源氏を残して死去。
藤壺の宮(女御・中宮):光源氏9歳の時に、14歳で桐壷帝の入内。桐壷の更衣にそっくりな女性。光源氏の姉のように接する。のちに藤壺中宮に、光源氏の初恋の女性
弘徽殿の女御:右大臣家の娘で、桐壷帝に入内し、春宮(のちの朱雀帝)を生む。桐壷帝の心を奪われたことからその女から生まれた光源氏を目の敵にする。
葵の上:左大臣家の娘、親友の頭の中将の妹で、光源氏の正妻に、そのプライドの高さから素直になれず、光源氏と夫婦仲はぎくしゃく
六条の御息所:前の故春宮妃だったそこそこ年上の女性、噂通りの高貴さに惹かれ、アプローチして恋仲になるもその関係や、光源氏の女関係に激しく苦しみ・・・
夕顔:乳母を見舞うときに出会った女性。六条の御息所の激しい嫉妬を受けて消えることに
紫の上:藤壺の姪にあたる。夕顔の一件の後、山深き寺に祈祷に行った際に偶然に出会うことになる幼き女の子。藤壺の面影を見て、のちに自邸に引き取り育てることになる。
末摘花:親友の頭の中将とともにどちらがものにするかと、出し抜いて光源氏がものにするが、明るい時に顔を見てみると鼻があたくて・・・と
源の典侍:宮中に使える60近い女性、光源氏に恋する往年の宮中一の若女房で、一夜を過ごすことに、親友の頭の中将も光源氏が手を出していることに気になって・・・
朧月夜(六の君)):右大臣家の娘、弘徽殿の女御の妹で、姉は自分の息子の春宮(のちの朱雀帝)に入内させるつもりだったが、光源氏がそのときは六の君とは知らずに迫って男女の関係になってしまう女性。
第1巻について
第1巻は、光源氏の誕生から始まります。
母の桐壷の更衣は、桐壷帝との間に光源氏を生むとすぐに、周りの嫉妬や嫌がらせでなくなってしまいます。光源氏は母を知らないままに育つことになります。
そんな彼を桐壷帝は皇位継承権のある親王ではなく、源姓を与えて臣籍降下させます。数年後に亡くなった桐壷の更衣に生き写しの藤壺の宮を入内させます。藤壺の宮は母代わりのように光源氏に接しますが、光源氏は父の妃である藤壺に恋心を抱き、藤壺も美しい彼が気になってしまいます。しかし、藤壺は桐壷帝の妃としてどんなに気になっても一戦を越えてはならないという
思いで過ごしていました。
しかし、光源氏がその一線を越えて、藤壺と関係を持ってしまい、のちに皇子が生まれることにつながります。ただ、その皇子は桐壷帝と藤壺の間の子として扱われますが、不義の子を宿した藤壺はさらに苦しむことになり、光源氏を遠ざけます。
この許されざる恋に苦しむ光源氏は、その苦しみから逃れるためなのか、次々と様々な女性たちとの恋を重ねていくことが描かれます。
右大臣家の娘の葵の上を正妻に迎えますが、プライド高く素直になれない葵の上との夫婦の中は、ギクシャク続きで、それがさらに光源氏の恋愛遍歴に拍車をかけていく感じです。
年上の前の故春宮の妃の六条の御息所との知的な駆け引きからの恋から、後に本当にかけがえのない存在となる紫の上との出会いと引き取り、夕顔、末摘花に、60近くの源の典侍と、そして政敵の娘の朧月夜とも関係を持ちます。この朧月夜との関係は2巻で大変な事件へとつながっていくものとなります。
どうしても父の妃の藤壺が忘れられない。藤壺への実らぬ思い、許されぬ関係の苦しみから、その苦しみから逃れるためのように女性との恋愛遍歴を重ねていくが、深い関係になる女性ほど光源氏との関係に苦しみ続けることになるのが印象的です。
〈書籍データ〉
『あさきゆめみし ①』
著 者:大和和紀
発 行:株式会社講談社
価 格:660円+税
2001年8月3日 第1刷発行
2019年4月2日 第51刷発行
講談社漫画文庫 や1-28