#699 第19回「放たれた矢」感想~大河ドラマ『光る君へ』 | 歴史に遊び!歴史に悩む!えびけんの積読・乱読、そして精読

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見事な陣定で庶民のための政治を行う道長と、伊周との間の主導権争いが激化していく大河ドラマ「光る君へ」 - NHK』の第19回「放たれた矢」について

道長が政権首班の見事な仕事ぶりを発揮する中、巻き返しを図る伊周・隆家がついに自滅と言えるあの事件が・・・

第19回も、995(長徳元)年の話になります。

(NHK大河ドラマ『光る君へ』この藤原隆家の放った矢が大事件に(C)NHK)

(NHK大河ドラマ『光る君へ』道長の陣定め(C)NHK)

道長が、一条天皇の関白になりたいのかという質問に対して、陣定めという公卿らの会議で公卿らの反応を見ることなどが大事だとして拒否して、「異なる道を進みたい」と意思表明し、右大臣&内覧で政権首班として「より良き世」を目指す政治が始まります。

 

それが、全国に疫病がまん延する中での民の税免除の要望について、一条天皇がそれを入れようとする姿勢を評価して、道長が陣定めで公卿らに諮ると、伊周はこれに異を唱えます。あのうるさ方の実資はそんな道長を評価しています。ドラマが始まった当初は藤原氏本流として、のちには関白と考え、自信満々な貴公子として振舞っていた公任も評価しています。

 

兼家、道隆と同じく、民のことなど関係ないとするこれまでの政治姿勢の伊周

民の暮らしがあってこそとその苦しみに理解を示し、疫病対策を進める異なる道の道長

 

という対照的なキャラで描かれています。

 

このときの陣定めで、終わって退場した際に、伊周道長に一条天皇の生母詮子を使って取り入ることに猛抗議をして、つかみかかろうとして逆に切り返されてしまうという事件が起こり、それが道綱経由で実資にも伝わり、政権首班を巡る対立がどうなっていくか・・・という感じです。

 

どちらにもまだ決定的と言えるものがなかったので、対立せざる得ない状況だと思います。

道長は、姉で一条天皇の生母である詮子のおかげで、政権首班を担えましたが、天皇の外戚という地位を実現するには、まだ娘を入内させておらず程遠いです。

 

伊周は、人望面で問題があるとはいえ、一条天皇から寵愛を受ける妹の中宮定子が皇子を産めば、外戚でなくとも外叔父として逆転できる状況です。

 

だからこそ、伊周は一条天皇や妹の中宮定子に、「早く皇子を、早く皇子を」とプレッシャーをかけ、一条天皇を不機嫌にさせてしまったりします。

 

そんな伊周隆家兄弟が自滅といえる事件を起こします。それはあの前の天皇で道兼にそそのかされて譲位&出家してしまった花山院でした。

 

藤原斉信の妹に三の君(光子)と四の君がいました。伊周は三の君(光子)を妾として通っていました。伊周は邸の前に立派な牛車が止まっているのを見て、三の君(光子)が政権首班になれない自分に対して浮気心を起こしたと落ち込みます。そこで弟の隆家が確かめに行こうと二人で連れ立って、三の君(光子)の邸に行くと、牛車が止まっていました。男が出てきたので、隆家が脅しに矢を射かけたところ、それがなんと花山院でした。

 

花山院は、三の君(光子)ではなく、同じ邸の四の君の所に通っていました。ちなみにこの三の君も四の君も、花山院が天皇時代に激しく寵愛するも早逝の忯子の妹にあたります。花山院にとっては忯子は本当に忘れられない女性だったんでしょう。

 

第19回は、伊周と隆家から放たれた矢が、あたりそうになった男が花山院だったで終わりますが、これがその後の大きな事件へと発展していくことになります。

 

一方のまひろは、白楽天の「新楽府」を手に入れて、それを写しています。中国の宋王朝の学問ができれば低い身分でも試験(科挙)に合格すれば、政治を行えることを知ってその宋王朝に憧れをもっていました。

 

そこに、お友達の清少納言がやってきて、右大臣道長の政治の手際の良さを語る中、宋人が若狭国にやってきた話をすると、まひろはその話に興味津々。そして中宮定子様のもとに、清少納言の手引きで行くことになります。

(NHK大河ドラマ『光る君へ』一条天皇&中宮定子と面会するまひろ(C)NHK)

 

その場に、一条天皇もやってきて、まひろは一条天皇に宋のような学問ができれば身分が低いものでも政治を行うことができることを伝えます。

 

これが、その後、一条天皇から右大臣の道長に伝わり、道長がまひろの父の為時を国守にふさわしい位階を与えることにつながっていく流れが描かれています。

 

白楽天の「新楽府」を軸に、一条天皇、道長、まひろ、為時がつながっていき、この新しい政治の在り方を考える書の存在が、のちにまひろが、道長の娘の彰子サロンで働いていくことにつながっていくんだなと思える第19回になっています。

 

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