#666 レビューEテレ『理想的本箱「時間に追われている時に読む本」』 | 歴史に遊び!歴史に悩む!えびけんの積読・乱読、そして精読

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理想的本箱 君だけのブックガイド - NHK』の定時放送2回目は「「時間に追われている時に読む本」 - 理想的本箱 君だけのブックガイド - NHK」です。

今回のテーマは「時間に追われている時に読む本」の3冊です。

3年前のサービス残業だらけの職場時代に読んだらどう思っただろうな~

 

(NHKの『「時間に追われている時に読む本」 - 理想的本箱 君だけのブックガイド - NHK』(C)NHK)

  「時間に追われている時に読む本」

Z世代を中心に、”タイパ”という言葉がよく言われるようになった中、その人の能力や生産性を測る物差しとして「時間」が絶対的なものとなり、それゆえに時間に追われて仕方がないという状況に陥りやすくなっているのではないでしょうか。

 

私も、以前働いていた会社では、仕事が早く終われば1時間で帰ってもいいなんていう話がありましたが、実際に働くと朝早くから夜遅くまで、それでどうにか仕事をこなして一息つけるかと思っても、またそれくらいしないといけないくらいの仕事量がやってきて、時間に追われて追われて仕方がなく、精神的にかなり追い詰められたことがありました。

 

今回の選書テーマをブックディレクターの幅允孝さんが選書したのは、そのタイパとは真逆のものを選ばれていました。

(NHKの『「時間に追われている時に読む本」 - 理想的本箱 君だけのブックガイド - NHK』の3冊(C)NHK)

    

1冊目:『時間のかかる読書』 宮沢章夫

2冊目:『まばたき』穂村弘 酒井駒子

3冊目:『百年と一日』柴崎友香

『時間のかかる読書』 宮沢章夫

幅允孝さんによると

遅い読書から見えてくるもの

辿り着ける場所がある

とのことで、速読や、各種ビジネス書のエッセンスだけを要約したシリーズ本とは全然異なる価値観を示されていました。

 

横山利一の『機械』という1時間程度で読める作品なんだそうですが、宮沢章夫さんは、「なかなか読みださない」「できるだけ長く読み続ける」という2つを掲げて、11年も読んだそのエッセイが本書になるんだそうです。

1997年4月に連載第1回が、2008年5月に連載第131回と、「読むことの停滞」と「ぐずぐずすることの素晴らしさ」を表現しているそうで、ちょっと気分転換で読んてみたいと思いました。

 

『まばたき』穂村弘 酒井駒子

歌人の穂村弘さんと酒井駒子さんの絵による絵本です。主宰の吉岡里帆さんはこの本を持っているそうで、酒井駒子さんの絵も好きなんだそうです。

幅允孝さんによると

一瞬と一生が一冊の中で

美しく溶け合う不思議な絵本

とのことです。

穂村弘さんの「しーん」「かちっ」「はっ」「ちゃぽん」「みつあみちゃん」という言葉と、酒井駒子さんの絵がそれに合わせて展開します。

 

一瞬一瞬を切り取り、それが長い時間続くという不思議な世界が展開されている絵本でした。

 

『百年と一日』柴崎友香

著者の柴崎友香さんは、2014年『春の庭』で芥川賞を受賞された小説家です。

幅允孝さんによると

一日の出来事が百年先の何かと繋がる

静かな「縁」の短編集

とのことです。

その短編の各タイトルがとても長いのも特徴なんだそうです。

そのうちの一つが映像の帯として紹介されました。

「店主が学生時代に通ったジャズ喫茶を理想に地元商店街で喫茶を開き、30年近く営業するも閉店する」というもので、一方の学生時代に通った理想のジャズ喫茶は若い定員に引き継がれ、ジャズ以外の曲も流れるけども、内装や調度品はそのままに営業されているというとおーーーくでつながり、続いていく感を感じさせる紹介がなされました。

 

「時間」を生産性、効率性、合理性を測る尺度としてではないものとして捉えることを感じる読書という選書なんですね。

 

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