#647 第13回「進むべき道」感想~大河ドラマ『光る君へ』 | 歴史に遊び!歴史に悩む!えびけんの積読・乱読、そして精読

歴史に遊び!歴史に悩む!えびけんの積読・乱読、そして精読

歴史をもっと知りたい!
本を読めば広がる光と闇を楽しんでいます。
歴史と読書記録。積読などをアップしながら、日本史や世界史を問わず歴史の考察などを発信します。

道長と別れを選び、進むべき道を模索し始めるまひろの姿と衰え往く兼家の次についての争いの兆しを描く『大河ドラマ「光る君へ」 - NHK』の第13回「進むべき道」について

兼家、政権に昇りつめ4年、衰えを見せる中、息子の道隆の中関白家が絶頂に昇ろうとする。一方のまひろは道長と別れを選び、進むべき道を模索しながらも、藤原宣孝の妻となる道筋がそれなりに見えてきた第13回


(NHK大河ドラマ『光る君へ』第13回の990(永祚2)年(C)NHK)

 

一条天皇が即位して4年、藤原兼家が摂政として政権トップに就き、子の道隆道兼道長らを強引に昇進させていく中、その兼家が衰えを見せます。次の代として、息子道隆の中関白家が、娘の定子を一条天皇に入内させるなど、我が世の春を迎えようとしています。中宮定子様がついに登場です。

 

(NHK大河ドラマ『光る君へ』道隆の中関白家と中宮定子(C)NHK)

 

宮中の会議で、源雅信が国司の横暴を訴える書面を議題に取り上げた際に、道隆が民の上訴により前年に尾張国の国司解任のことを取り上げて、反対を述べることがありましたが、この尾張国の国司解任は史実としてあります。

 

「尾張国郡司百姓等解文」といいます。尾張国の国司藤原元命のその横暴を尾張国郡司や百姓らが朝廷に上訴し、その上訴した翌年に藤原元命が国司を解任されたという出来事です。

 

この道隆の意見に会議に参加している一同も応じる空気が漂う中、道長が「民なくば、我々の暮らしもありません」と異を唱えます。ここらへんの描かれ方は、今作の道長が外を出歩き、庶民の暮らしなどを見て、散楽一座の直秀とのふれあいなどから、民の事を考える政治を実現しようと考え、後にそれを行うことになるんだと思います。

 

そしてその主張に対して、藤原実資が目を見張り、道長を見どころのあるやつだと認識して、声をかけるなども、のちに道長政権以降も長年右大臣を務める実資と道長の政治にあり方の共有の始まりというところなんだと思います。

 

その政治姿勢に対して、衰えを見せる兼家が自らの政治姿勢について、民の暮らしなど知らんし、我が家を守る事だというのは非常に対照的ですし、兼家の方があの平安時代からすれば実態ではないかと思います。ドラマとしてはやはり道長をスターとして描くためには、やはり民の事を考える為政者として描いたほうがふさわしいということなんだと思います。

 

今回の注目としては、実はのちにまひろと結婚することとなる藤原宣孝、そしてのちに仕えることになる源倫子の娘の彰子です。

(NHK大河ドラマ『光る君へ』派手な格好でやってきた藤原宣孝(C)NHK)

「御嶽詣」にこのド派手な格好で行ってきたと現れた藤原宣孝ですが、このことを清少納言が『枕草子』で批判的に描きます。のちにまひろこと紫式部は『紫式部日記』で清少納言にある意味筆誅と言っていいレベルのことを書きますが、このことがその遠因になっている可能性もあるそんなエピソードです。

 

その清少納言の『枕草子』の記述について

 

 

道長と別れを選らんだとはいえ、その道長を愛する気持ちは捨てきれていないまひろ、いったいどうやってこの藤原宣孝の妻になるんやろという思っていましたが、ようやくそれがかなり見えてきました。

 

兼家政権が成立して、職を失った父の藤原為時、その下で生活に苦労するようになったまひろは、女房として働く先を探しますが、うまくいきません。

 

(NHK大河ドラマ『光る君へ』まひろと対面した源倫子と彰子(C)NHK)

その話を聞いた源倫子がまひろを呼びます。まひろに自分の所で働くことを進めますが、思いを断ち切れないまひろにとっては道長の婿入り先ゆえに選べないのですでに勤め先が決まったとうそをつきます。

 

ここで、まひろは、のちに女房として仕えることとなる道長と倫子の子の彰子と会うことになります。すでにここで会う形で、まひろが道長やその家族と浅からぬ縁が描かれています。

 

ここで、彰子は人見知りの激しい女の子として描かれ、一方の一条天皇に入内した定子は明るく人付き合いもうまそうな女性で対照的なのも、紫式部の『紫式部日記』や清少納言の『枕草子』が伝えるそれぞれの主人像に通ずるものなんだと思います。

 

まひろの道長への想いを知らない源倫子は、道長がまひろからもらって大事にしまっていた漢詩の文を、それが源明子からのものではないかと、まひろにとって道長が自分からの手紙を大事にとっていてくれたことに驚きますが、こじれそうな感じのものと言えます。

(NHK大河ドラマ『光る君へ』道長とまひろ 倫子の家の土御門邸にて思わぬ再会(C)NHK)

道長のことも知る中、土御門邸を立とうとしたとき、道長とまひろは出くわしてしまいます。

道長にとってはまひろが源倫子と面識があったことは驚きだったと思いますし、別れとなったはずが再会してしまうところに、ここでも浅からぬ縁が描かれているんだと思います。

 

この状況の中、別れを選んだはずのまひろとしては、藤原宣孝の妻となって現状をリセットするしかないような状況になっていくのかなと思わせるものでした。

 

にほんブログ村 にほんブログ村へ
にほんブログ村