『愛国百人一首』の選定された31首目は源頼政です。平安時代(後期)の歌。
(著者所持の『愛国百人一首』の源頼政の絵札)
み 山 木 の
そ の 梢 と も
見 え ざ り し
櫻 は 花 に
あ ら わ れ に け り
この歌は、1180(治承4)年以前の安徳天皇時代に詠まれた歌です。
歌の意(こころ)
霊山の木々はどれも落葉していて、何の木か見分けがつかなかったが、春になり、花が咲くと櫻の木は見事な姿を現した。
源頼政は、源三位頼政の異名を持ち、鵺退治の伝説で親しまれている武人。平治の乱では源義朝ではなく、平清盛方についたが、平清盛の専横を嫌って、1180年に高倉天皇の庶兄の以仁王を奉じて挙兵するも敗れて、宇治の平等院にて自刃した。
この歌は、平治の乱後に平家一門が全盛を迎え、源氏が衰えている中、自分自身の力を信じて、霊山にある木々の中の櫻になろうという心意気を詠った歌とのことです。
(著者所持の『愛国百人一首』の源頼政の読札・取札)
歌の解説は、『國魂 愛国百人一首の解説』著:西内雅と、愛国百人一首の12人の選定委員の一人である窪田空穂による『愛国百人一首』によって行っています。
『愛国百人一首』とは
『伊勢物語』を読む上で、和歌の理解のために読んだ本について