『愛国百人一首』の選定された19首目は坂田部麻呂(さかたべのまろ)です。こちらも奈良時代の歌です。
(著者所持の『愛国百人一首』の坂田部麻呂の絵札)
真 木 柱(まけばしら)
ほ め て 造 れ る
殿 の ご と
い ま せ 母 刀 自(とじ)
面 変 わ り せ ず
※真木柱:ヒノキなど良い木の柱のこと
この歌は、755(天平勝宝7)年に詠まれた歌です。
歌の意(こころ)
ヒノキの柱を用いて祝って立てた家屋のように、お母さま、私が帰ってくるまでお変わりなくいらっしゃってください。
坂田部麻呂は、孝謙天皇(第46代)の御世の人で、駿河国(静岡県)の人です。
この歌は、坂田部麻呂が防人となって家を出発しようとするときに、母親に対して防人で三年間の留守中も無事でいられるようにと願って詠まれたものです。年月とともに人は老いるものですが、変わらないものとして良い木材で造った家を使って願っています。
(著者所持の『愛国百人一首』の坂田部麻呂の読札・取札)
歌の解説は、『國魂 愛国百人一首の解説』著:西内雅と、愛国百人一首の12人の選定委員の一人である窪田空穂による『愛国百人一首』によって行っています。
『愛国百人一首』とは
『伊勢物語』を読む上で、和歌の理解のために読んだ本について