『愛国百人一首』の選定された18首目は丈部人麻呂(はせつかべのひとまろ)です。こちらも奈良時代の歌です。
(著者所持の『愛国百人一首』の丈部人麻呂の絵札)
大 君 の
命(みこと) か し こ み
磯 に 觸(ふ) り
海 原(うのはら) 渡 る
父 母(ちちはは) を お き て
この歌は、755(天平勝宝7)年に詠まれた歌です。
歌の意(こころ)
天皇の御命令を畏みうけて、父母を故郷に残して、海岸の岩礁に触れて難破するかもしれない海を渡っていきます。
丈部人麻呂は、孝謙天皇(第46代)の御世の人で、防人となった人。相模国(神奈川県)か遠江国(静岡県)の国の人だそうです。
この歌は、丈部人麻呂が、国の命で防人として東国から北九州の筑紫国に行くこととなり、遠い国への船旅に、父母を残していかねばならないが、天皇の命である以上、その役を果たさなければならないと覚悟の心を詠った歌です。
(著者所持の『愛国百人一首』の丈部人麻呂の読札・取札)
歌の解説は、『國魂 愛国百人一首の解説』著:西内雅と、愛国百人一首の12人の選定委員の一人である窪田空穂による『愛国百人一首』によって行っています。
『愛国百人一首』とは
『伊勢物語』を読む上で、和歌の理解のために読んだ本について