『愛国百人一首』の選定された六首目は笠金村(かさのかねむら)です。こちらも奈良時代の歌になります。
(著者所持の『愛国百人一首』の笠金村の絵札)
ま す ら を の
弓 末(ゆずえ) 振 り 起 し
射 つ る 矢 を
後 見 む 人 は
語 り 継 ぐ が ね
この歌は、五首目の大伴旅人と同じく728(神亀5)年に歌われたもの。
歌の意(こころ)
われは丈夫として、弓の上端をふりしぼり この木に矢を射ておくので、後の世の人は、この弓勢の強さに感心して語り継いでほしい
笠金村は、第45代聖武天皇の御代の人で、身分は低かったが歌人としては名高い人。
この歌は、近江国から越前国に赴く時にその国境の山の塩津山を越すときに詠んだもの。塩津山に立っている大木に、持っている矢を射込んで自分の弓勢いを誇ったもので、弓勢いが強いというのは武人としての第一を誇ったことになる。
尚武の風を表現したものとして評価されています。
(著者所持の『愛国百人一首』の笠金村の読札・取札)
歌の解説は、『國魂 愛国百人一首の解説』著:西内雅と、愛国百人一首の12人の選定委員の一人である窪田空穂による『愛国百人一首』によって行っています。
『愛国百人一首』とは
『伊勢物語』を読む上で、和歌の理解のために読んだ本について