『愛国百人一首』の選定された四首目は山部赤人(やまべのあかひと)です。こちらも奈良時代の歌になります。
(著者所持の『愛国百人一首』の山部赤人の絵札)
あ し ひ き の(※)
山 に も 野 に も
み 猟 人(かりびと)
さ つ 矢 手 挟(たばさ) み
み だ れ た り 見 ゆ
この歌は725(神亀2)年に歌われたと推定されるもので、聖武天皇の時代にあたります。
※「あしひきの」は、山を讃える言葉
歌の意(こころ)
山にも野にも、天皇のみ猟人たちが征(さつ)矢を手に手に持って、入り乱れて獲物を追いつかけているのが見えられる。
山部赤人は聖武天皇(第45代)の時代の人で、身分は低かったが、歌人としては柿本人麻呂に次いで名高い人。
この歌は、聖武天皇が吉野の離宮へ行幸されたときに、離宮に近い山で狩猟(かり)の御遊びをされたことがあり、山部赤人もその行幸にお供して、狩猟の勇ましく面白いさまを詠んだもので、長歌の反歌。
山部赤人を有名にしたのは『万葉集』に収めらている以下の歌
田 児(たご) の 浦 ゆ
う ち 出 で て み れ ば
真 白 に そ
不 尽(ふじ) の 高 嶺 に
雪 は ふ り け る
(著者所持の『愛国百人一首』の山部赤人の読札・取札)
歌の解説は、『國魂 愛国百人一首の解説』著:西内雅と、愛国百人一首の12人の選定委員の一人である窪田空穂による『愛国百人一首』によって行っています。
『愛国百人一首』とは
『伊勢物語』を読む上で、和歌の理解のために読んだ本について