『愛国百人一首』の選定された二首目は長奥麻呂(ながのおきまろ)の歌です。
(著者所持の『愛国百人一首』の奥長麻呂の絵札)
大 宮 の
内 ま で 聞 こ ゆ
網 引(あびき) す と
網 子(あご) と と の ふ る
海 人(あま) の 呼 び 聲
この歌は699(文武天皇の三)年に歌われたものです。
歌の意(こころ)
海辺で地引網を引こうと、引き手を呼び集める漁師が大声を上げていて、文武天皇のいる離宮の御殿にまで聞こえてくるということ
この歌は、699年に、文武天皇が、山に囲まれた大和の藤原宮から海辺の難波の離宮へ行幸あそばされたときに、同行した長奥麻呂に歌うように詔を出されたので歌われたものとのことです。
長奥麻呂も柿本人麻呂と同じく身分の低い宮廷歌人で、この歌が、先の柿本人麻呂のような改まった歌と違って、山に囲まれた大和(奈良)から海近い離宮に行幸され、天皇の御民の海人たちが地引網を引こうと威勢よく声出して働いている姿を天皇が御喜びになられている様子を、天皇の大御代のめでたいことだということで眼前の風景をありのままに詠むことで御祝いとしたということだそうです。
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(著者所持の『愛国百人一首』の奥長麻呂の読札・取札)
歌の解説は、『國魂 愛国百人一首の解説』著:西内雅と、愛国百人一首の12人の選定委員の一人である窪田空穂による『愛国百人一首』によって行っています。
『愛国百人一首』とは
『伊勢物語』を読む上で、和歌の理解のために読んだ本について