歌物語ともいわれる日本の古典『伊勢物語』の理解を深めるために詠みました。
鉄心斎文庫の貴重なコレクションの絵で楽しむ『伊勢物語』
<書籍データ>
著者:山本 登朗
発行:和泉書院
価格:1,500円+税
2016年10月:初版第1刷
2017年3月 :初版第2刷
本の特徴:鉄心斎文庫の『伊勢物語』コレクション
この本の最大の特徴は、鉄心斎文庫所蔵の『絵入り伊勢物語』のその絵がふんだんに使われ、雅な雰囲気で『伊勢物語』を味わうことができることです。
鉄心斎文庫は、青年時代から『伊勢物語』を愛してやまなかった、三和テッキ株式会社の元社長・故芦澤新二[あしざわしんじ]氏が、夫人の美佐子氏とともに40年以上の歳月をかけて収集した、空前の『伊勢物語』コレクションで、総点数が約1000点にも及ぶものだどうです。
鉄心斎文庫の伊勢物語コレクションについて(国文学研究資料館のHPより)
この本は、京都新聞での26回連載したものを1冊にまとめて出版されたとのことで、こういった企画を新聞で行ったことは素晴らしいことだと思います。
感想
『伊勢物語』を代表的な26章段を選んで、鉄心斎文庫の絵とともに『伊勢物語』を味わうことができるようになっています。
ただ雅な雰囲気だけでなく、『伊勢物語』は、一人の作者が一度に著作したものではなく、何人かにより増補・改作・改編され、今のものになったことから、各章段においてその増補・改作・改編の可能性についての開設もあり、作品が成立していくことについての理解も深まります。
(今なら、著作権侵害なんていう大問題でしょうけど)
古文のいわゆる古典文法的な解説はほぼなく、各章段の状況、東国などを旅するその各地域の説明が展開され、新聞の企画掲載の読者想定で、章段を鑑賞することに力点が置かれているんだと思います。
鉄心斎所蔵『絵入り伊勢物語』の絵についても、江戸時代の「嵯峨本伊勢物語(慶長3(1608)年印刷)」の影響を受けているということで、その絵が江戸時代に書かれたことから、この『伊勢物語』が実際に成立した平安時代とは異なっている表現の解説や、その絵が章段のどういった場面を切り取って書いたものかという物語を楽しむだけでない様々な観点から伊勢物語を知ることができる作品になっています。
<業平菱>
この本で使われているワンポイントマーク
一般に『伊勢物語』の主人公のモデル在原業平が好んだとされているんだそうです。