とある歌手のマスタークラスで先生が宗教について話していました。
カトリックとプロテスタントについての説明。
歌曲には歌詞があるのでよりそういったことの意味合いが大事です。
その時にその先生が
「昔は歌手といえば声が良ければ良い、歌が上手ければ良いという人もいた。でも今の時代はインテリジェンス(知性)が大事。様々なことを学び知識を得ることで音楽家としてもきっと成長する」
というようなことを言っていました。
この時先生が話していたキリスト教会派の話は多くの日本人にとって無縁なこと。
私も神棚と仏壇がある家の生まれなのでキリスト教について知らずに音大に進みました。
でもウィーンに行って実際に教会で演奏するうちに色々なことを学びました。
それによって音楽の見方もヨーロッパの見方も変わってきました。
以前、とあるアマオケでヘンデルのメサイアを指揮したことがあったのですが、その後団員の方に
「キリスト教ですか?」
と聞かれたので
「いえ、神棚と仏壇がある家ですw」
と言うと
「そうなんですね。私はキリスト教なのですが、メサイアの練習がとてもキリスト教に理解があると感じたのでもしかしたら先生もそうなのかなと思ったんです。」
と言われました。
これは私としてはありがたい話です。
キリスト教を信仰している方にリハーサルを通じて「キリスト教をわかっている」と思われたのですから。
前回の投稿に書いた色々な録音を聴こうと言うのもただ音を聞くだけでなく歴史を聴く事にもなります。
同じウィーンフィルの演奏でも20世紀前半、20世紀後半、21世紀と分けただけでもかなり違いがあります。
また、近現代の作曲家の作品は録音が残されているだけに音で勉強できます。
ショスタコーヴィチの交響曲第五番は有名でプロアマ問わずオケの重要なレパートリーですが、
今有名なゲルギエフや昔懐かしバーンスタインと言うメジャーな録音だけではやはり不十分。
初演したムラヴィンスキー指揮レニングラードフィルの演奏はやはり歴史として聴くべきだと思います。
その解釈の違いなどはなぜ起きたのか?
ショスタコーヴィチやムラヴィンスキーの生きた当時のソ連の実情を調べたり、
その中でショスタコーヴィチが何を書き、ムラヴィンスキーがどう表現したのかに想いを馳せることで同じ曲でもそれまでとは違った色が見えてくるのではないかと思います。
また、ストラヴィンスキーやR.シュトラウスのように自作自演もありますが、自作自演が一番良いのかどうかもまた面白いところ。
しかし、一つの指標にはなります。
マーラーが自作の交響曲第五番をピアノで演奏してる録音を聞いて驚きましたが、今でも楽譜を読む時にその演奏が頭の角にありつつどうしたら良いのか考えます。
また、今や完全に消滅したカストラートの歌声を録音した音源を聴いた時はその独特の歌声に感動しました。
音楽を学んでいるからこそ、音楽について、演奏についての知識は多いに越したことがないと思っています。
コンサートの際、トークで話す内容もその都度調べて新しい知識を入れるようにしています。
最初に書いた歌の先生が行っていた「現代の音楽家はインテリジェンスが必要」と言うのもとても共感しました。
特に指導者であればその分野に関する知識は豊富でなければいけませんね。
私も日々学ぶことの大切さを忘れずに精進していきたいと思います。
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