関東や東海圏の人ならJR東海の「そうだ 京都、行こう」というCMをご存知だと思います。
東京で生まれ育った地味で陰キャな私は中学の頃からちょくちょく鎌倉のお寺を散歩していましたが、京都には憧れていました。
大阪にいると、「日本に京都があって良かった」とか「美は京に極まる」とか、鼻持ちならない広告をよく見かけます。
なぜ多くの人が京都へ行きたがるかというと、東京にいると朝から晩まで学校や仕事に追い立てられ、街もガヤガヤして落ち着かないので、都会の喧騒を離れてゆっくりしたいと思うからです。
ここからは私の個人的な感想ですが、京都へ行っても思ったほど落ち着きません。
まず、京都は都会なので、京都を歩いても都会の喧騒からは離れられません。
景観規制で高さ制限が設けられているとはいえ、京都には鉄筋コンクリートの建物が立ち並んでいるので、祇園など一部を除いて歴史の風情は感じられません(後述しますが、奈良は街の発展よりも景観規制を重視したようなので、景観規制のレベルが違います)。
京都でもお寺の中へ一歩足を踏み入れれば確かに都会の喧騒からは離れますが、金閣寺、清水寺、二条城、祇園四条などの有名な観光地はコロナ中ですら多くの観光客がいて、ワイワイガヤガヤ、パシャパシャと落ち着きません。
「そんなミーハーな初心者が行く寺に行っても落ち着くわけないだろう」と言われるかも知れませんが、京都のお寺はどこへ行ってもそれなりに観光客が多い印象です。
毎年、冬には「今日の冬の旅」という観光キャンペーンで非公開の寺院をたくさん特別公開しています。
今年は大徳寺、醍醐寺、建仁寺などを回りましたが、どこも人がいます。
冬の平日の午前中であれば閑散としていますが、京都のお寺で「観光客が1人もおらず、自分だけで寺や庭を独占した」という経験はまだないです。
大原の寂光院なども、静かで落ち着きますが知名度があるので人はいます。
もちろん私も京都の名所全てを回ったわけではないので掘り出し物があるかも知れませんが、「日本の伝統文化といえば京都」と考える人は多いので、見つけるのは大変そうです。
京都がちょっとしっくりこない理由は
・観光ビジネスが発達し過ぎていて興ざめすることがある
・どこへ行っても人が多い(外国人観光客が戻ってきたらますます混む)
・拝観料が高い
などです。京都は、物凄くお金を使えば素晴らしい世界が開けると思いますが、庶民には無理です!
そこで、京都で物足りない一般庶民は奈良へ行きます。
奈良は関東ではイメージがとてもよく、2010年頃のケンミンショーで、東京銀座で「三都物語といえば?」とアンケートしたら異口同音に「京都・大阪・奈良」と答えていました(正解は京都・大阪・神戸)。
奈良は京都と違って都会とは言えないので、駅を降りた瞬間から都会の喧騒から離れられます。
奈良は江戸時代には既に田舎になってしまっていたようなので、「きっと奈良時代もこんな景色だったんだろうなぁ」と感じることができます。
奈良駅と大和西大寺駅の真ん中に平城京跡があって街を分断しているので、発展したくても発展できないようです(街を発展させることよりも歴史を残すことを選んだと言います)。
関西人に奈良というと「鹿と大仏しかない」などと言われてしまいますが、そんなことはありません。
近鉄奈良駅周辺の東大寺、興福寺、春日大社だけ回って、鹿に餌をあげただけで奈良を理解したつもりになったらもったいないです。
京都は応仁の乱で荒廃してしまったため、現在の京都の基礎ができたのは秀吉の時代、そして多くの建物は江戸時代以降に建てられました。
それに対して奈良には法隆寺を始め飛鳥・奈良時代の建築が多く、平安、鎌倉から江戸時代まで多くの建物が残っています。
奈良駅周辺の「ならまち」や橿原市今井町、南部の五條などは江戸時代の街並みがそのまま保存されて今でも重要文化財に人が住んでいます。
橿原市今井町では、観光案内所の人と一緒にインターホンを押して家の中を見学させてもらったこともありました。
ならまちの古民家などは京町家そっくりです。京町家は基本的に非公開で、たまに後悔していても入場料を1000円取られますが、奈良の古民家は市が買い取っていて無料で見学できるところもあります(今井町など)。
他にも、大和山市の「まちや物語館」はなんと大正時代の遊郭建築を市が買い取って内部を無料公開しています。
美しいかどうかは置いておいて、古いものを古いまま残して一般公開するのが奈良のスタンスのようです。
田んぼや畑の間に寺や古墳があるという点では一見すると群馬、栃木、茨木あたりの北関東の風景と似ているのですが、奈良は何かが違うのです。
何が違うんだろう?と思ったら、奈良は景観規制がされているのでパチンコやラブホテルがなく、ガヤガヤした看板もないのです。
だからこそ、本当に古代の雰囲気を感じることができるのです。
奈良は古いものがそのまま残っているので、古代史好きの私はハマるのですが、京都に求めているものをは少しずれます。
例えば奈良の明日香村には蘇我入鹿が暗殺された場所が残っていますが、ただ石が積んであるだけです。
落ち着くことは落ち着くのですが、美しいか?と言われると、美しくはないかも知れません。
京都の人が「奈良は古いだけで美しくない」と言ってたのを聞いたことがあるのですが、確かに一理あります。
美しい庭園を見てゆっくりしたいと思うのであれば、奈良は少しずれるかも知れません。
そこでお勧めしたいのが滋賀です。
滋賀なんて琵琶湖しかないと私も思っていましたが大間違いでした。
京都よりも古い大津宮、信長が築いた安土、秀吉が築いた長浜、近江商人で有名な近江八幡、日野、五箇荘、井伊家の拠点だった彦根、比叡山延暦寺や麓の坂本、東海道と中山道が分岐する宿場町の草津など、歴史的に由緒ある場所がたくさんあり、古いお寺がたくさん残っているのです。
京都ほど都会ではないので、奈良と同じように古い風景がそのまま残っており、とても趣があります。
奈良のように古いまま放っておかれている感じではなく、よく手入れされた臨済宗の方丈や枯山水などもあります。
しかも、(滋賀の人によると)観光PRが下手なので観光客が来ず、人がいないのです。
よく手入れされた綺麗な庭を1人で独占して何時間もボーっとすることが可能です。
個人的な一押しは、比叡山の麓のまち坂本にある滋賀員門跡と旧竹林院です。ぜひ騙されたと思って行ってみてください。
「この先に何かあるのか?」という、誰もいないところを歩いていくと、とても素晴らしい庭が広まっています。
安土の旧伊庭邸、水口の大池寺などもオススメです。
滋賀のお寺の住職に話を聞くと、「滋賀は知名度がないですが、本当に通な人は滋賀へ来ます」と言います。
都会の喧騒を離れて落ち着いてリラックスしたい人はぜひ滋賀へ行ってみてください。