『鋼の女―最後の瞽女・小林ハル』読了
昨日の中日新聞朝刊社会面では瞽女を大きく扱っていた。
私は先週、瞽女唄継承者として国の重要文化財になった小林ハル氏の生涯を綴った下重暁子氏の著書
『鋼の女―最後の瞽女・小林ハル』を読み終えてばかりだったから興味深くこの記事を読んだ。
「瞽女と鶏は死ぬまで唄わねばなんね」とは、小林ハルさんが残した言葉。
好きで唄い続けたわけではない。
盲目というハンディを背負った者が自立して生きていくためである。
ハルさんは瞽女唄を芸術とか文化の継承とか、そんな高尚な捉え方はしていない。
何よりこだわったのは、他人に迷惑をかけないで生きる、生活者としての矜持。
崇高だなあ。
人間の尊厳のすべてがある。
翻って現在、仕事は楽しくなきゃいけないとか、本当に好きなことをめざそうとか、
薄っぺらな価値観に毒されて、自身の生活の基盤さえ整えられない輩が増えていると感じる。
いっときビートたけし氏のこんな発言が世間をざわつかせたことがある。
「若者に″夢を持って働こう″とか言いすぎ。食うために働くでいい、なんで生きることの意義とか言ってるんだ」。
私もその通りだと思う。
生きることは生活すること。
それができて一人前。
夢を持つことが悪いのではない。
夢を隠れ蓑にして人生に甘える姿勢が許せないのである。
碧南市藤井達吉現代美術館にて浅川コレクション鑑賞
碧南市藤井達吉現代美術館で足利市立美術館所蔵・浅川コレクション
『夢を追いかけた“前衛”の鼓動』を鑑賞しました。
浅川氏はギャラリーを営んでいたとはいえ、蒐集した作品の質の高さと数の多さに圧倒されます。
作家との交流の思い出を綴ったパネルも作品の横に添えられており、
とても興味深く読ませていただきました。
展示会場をくまなくまわり、驚きや感動で心が満たされたあとは、
美術館の近くにある創業百余年の老舗「炭焼きうなぎ 十一八」へ。
熱燗も一合つけてもらい、お腹もいっぱいにして家路についたのでした。
◼️碧南市藤井達吉現代美術館公式HP
https://www.city.hekinan.lg.jp/museum/event_guide/kikakuten/22214.html
鹿島茂氏が語る『総特集福田和也―1960-2024―』
週刊文春の「私の読者日記」は、毎週交代で6名が執筆する。
私は、フランス文学者の鹿島茂氏が担当する回がいちばん好きだ。
先週は鹿島氏の番で、その内容は昨年亡くなった福田和也氏の追悼文のようだと感じた。
その文面の中で「ユリイカ」 2025年1月臨時増刊号 『総特集福田和也―1960-2024―』が
発売されたことを知り迷わず購入する。
福田和也氏も私にとって特別な作家だからである。
鹿島氏はその本の中に収められている福田氏の修士論文
「ギュスターヴ・フローベールの『感情教育』について―その小説美学と構成」に強く反応している。
鹿島氏の修士論文もフローベールに結びついたものだったからである。
それゆえ、若き日の福田氏の修論の意図が理解できるのだと語る。
はたして私にその修論を読み解く力があるのか甚だ疑問であるが、
興味の赴くままに読み進めたいと思う。




