
「シャクルトン」はおまじないの言葉
私は決して精神論者ではないが、寒さ対策に関してはその限りではない。
厚着をしたりカイロを身につけるよりはるかに効果を実感できる気の持ち方がある。
その方法とは「シャクルトン、シャクルトン、シャクルトン」と心の中でつぶやくこと。
極寒の南氷洋に閉じ込められながら、不屈の精神力で隊員27名すべての生還を成し遂げた
エンデュアランス号隊長のアーネスト・シャクルトンを思えば、これ程度の寒さなんて大したことない。
私がいたく感動したのは、シャクルトンが救助を求めて自らが嵐の海を横切り、
山脈と氷河が険しいサウスジョージア島を横断し、36時間かけて捕鯨基地に辿り着いたこと。
しかも軽装で。
シャクルトンが味わった寒さに比べれば、この冬一番の冷え込みといえども小春日和のようなものだ。
そう思うと、寒さが和らぎ、肉体が強くなったような気がする。
ただ、よる年波には勝てず、この魔法のようなおまじないの神通力が弱まっているのも事実だ。
そこでここ数年は、「シャクルトン、シャクルトン、シャクルトン、シャクルトン、シャクルトン」と、
つぶやく回数を増やしているのである。





