Electronic Dolphin Eats Noise -2ページ目

Electronic Dolphin Eats Noise

空論上の九龍城

『女鹿』
(1968年/フランス・イタリア)
クロード・シャブロル監督
群雄割拠なヌーヴェルヴァーグの作家たちの中でも異彩を放ちつつ晩年まで途切れることなく作品を撮り続けた異才の絶頂期を摘み食いできる嬉しい傑作選からまず1本。
ブルジョワなマダムと彼女に見そめられた若き女性画家。マダムの熱い眼差し、それを感じつつも巧みにかどわかす画家。そんな2人の前に現れたのはイケおじな建築家。画家は建築家に惹かれ、建築家もまんざらでもない。そんな2人を観たマダムは…
ありがちな三角関係から派生する愛憎劇もシャブロられたらこうも蠱惑で複雑で独創的な迷宮へと誘われる。
二転三転で変形する三角の死角に突如現れる女鹿(邦題が牝鹿でないのには唸る)に戦慄。
にしても当時シャブロルと結婚していたステファーヌ・オードランの前夫がジャン=ルイ・トランティニャンだなんて、マジでどんな神経でのキャスティングなんだ(苦笑)。オファー受ける側も受ける側だよ。
撮影と照明がまた見事で、スクリーンの端々に配置された官能の煌めきがある種の催眠効果あった気がする。あんなの普通ならあざとく感じるけどあのキャスト陣なら映えるよね。
あとマダムの謎の友人2人組がツボ。何あのケッタイな民族音楽!
 
蒸発
(2024年/ドイツ・日本)
アンドレスアス・ハートマン監督&森あらた監督
配給:アギィ
毎年約8万人が失踪す日本、この国ではそんな現象を蒸発と呼ぶ。
今作は独日合作で撮られた蒸発する人々・それを手助けする人々、そして身近な人に蒸発されてしまった人々に迫ったドキュメンタリー映画。
既に海外では大きな反響を得ているとか。
どうアプローチしてこれらの撮影や取材が実現したのか?な映像が並びますが、共通して見えてくるのはこの社会の生きにくさ。何かトラブルに直面した時の選択肢の(少)なさから選ばざるをえない蒸発…
それでもまだ生きる選択をしている・できるならね…
今作観るとどれも非常に身近な問題であるし、いつ自分がその渦中になるのかもしれない可能性をそこかしこに感じさせる。
 
(2022年/フィリピン)
ジュン・ロブレス・ラナ監督
『ダイ・ビューティフル』の監督の新作。
(ほぼ)ワンシチュエーション、(ほぼ)2人(+…)のみの会話劇ながら、巧みな脚本と演出/演技が冴え渡りスリリングなサスペンスと多彩な問題意識が交差する。
同性の恋人を亡くした作家であり大学の教授が、彼の教え子とあるレストランで繰り広げる様々な会話のやり取りから漏れ出るそれぞれの想い、亡くなった恋人を介して顕になる秘密、対話の先に見えてきたもの…
本国では舞台にもなる程の人気と評価で、それも納得の秀逸な会話劇で、話の展開、様々な感情や秘密の織り込み方、その見せ方・隠し方、そしてここにはいないはずの亡くなった恋人の表出のさせ方と唸りっぱなし。
オープニング早々のダフト・パンクのネタに捕まれますが、今作のタイでの公開が2022年でダフト・パンクの解散はその前年だから製作中にまさにニュースが飛び込んできたタイミングだったのかな?と。
 
(2009年/アメリカ)
タイ・ウェスト監督
配給: OSOREZONE
『X』シリーズで広く知られる様になった監督の日本未公開作品。
1980年代に実際に起きた事件に着想を得て、当時のオカルト映画の雰囲気を再現して撮った作品。
転居先の家賃を稼ぐべく高額のベビーシッター募集に惹かれた女子大生が辿る恐怖。
主人公の友人役で撮影当時マンブルコアの渦中にいたグレタ・ガーウィグが出演して好い味出してます。
近作でも1980年代のホラー映画への愛を惜しげもなく開陳しているタイ・ウェスト監督(因みに1980年生まれ)。
多分に低予算であるのも好転してか、そんな彼の愛がたっぷり。事が起きるまでのシビレ切れそうな長さもぽいと言えばぽい(苦笑)。
恐怖が起動してからの肝心の恐怖側があまりに無能でズッコケるとこもありますが、流石にショッキング描写の間合いや構成はこの頃から既に光るものあったな。
『X』シリーズの原点を堪能できました。

シネマ神戸のシネマ②のロビーのソファー、背面のポスターの貼り方のこだわり、最近良いんだよなぁ〜

 

2021年末から本格的にミニシアター上映シアターへとリニューアルして以降、驚きのラインナップで我々映画(館)ファンを楽しまさせてくれているシネマ神戸のシネマ②。

様々な系統の映画の上映がひしめきますが、大きな特徴の一つが音楽のドキュメンタリー映画の充実でしょう。

映画好きと音楽好きが同居する私なんかにはこれは堪らない状態なわけです。

 

ところで明日(2026年4月11日)から3週間、ロックフェスとでも言いたいほどのラインナップが組まれております。

かつての新開地は映画の街であると共に音楽の街でもありました。

こんな試みが今後も長く・広く愛されて欲しいですよね。

では各作品・アーティストにに触れてみましょう。

 

まずは4/11からの1週間はこちらの2本。

ジミ・ヘンドリックス エレクトリック・レディ・スタジオ:ヴィジョン/アトランタ・ポップ・フェスティヴァル1970

(2024年/アメリカ映画)ジョン・マクダーモット監督

配給:IAC MUSIC JAPAN/Santa Barbara Pictures

イエス イエスソングス ライヴ・イン・ロンドン1972

(1975年/アメリカ映画)ピーター・ニール監督

配給:REWINDERA PICTURES/WOWOW

 

①ジミヘンことジミ・ヘンドリックスは未だカリスマ的な人気を誇るアメリカのギタリスト。1942年アメリカ生まれ、1970年没。アートロックやニューロックと呼ばれたそれまでのロックにはなかった可能性を押し広げたムーブメントの中心にいた存在で、ギターを軸にロック(どころか音楽)の可能性を無限大に拡げた巨人でもあります。

メジャーデビューからの活動期間は4年程、生前リリースのオリジナルアルバムは3枚、それでも当時のシーンと後続へ与えた影響は絶大であります。

今回のドキュメンタリー映画は自身のスタジオ“エレクトリック・レディ・スタジオ・ヴィジョン”設立の過程を追った『エレクトリック・レディ・スタジオ:ヴィジョンと亡くなる2ヶ月前に出演したフェスのパフォーマンスの模様を収めた『アトランタ・ポップ・フェスティヴァル1970』の二部構成になります。

②イエスは1960年代末〜1970年代半ばに世界中でブームとなったプログレッシブ・ロック(通称:プログレ、変拍子を多用した複雑な楽曲や組曲形式の長尺楽曲が特徴)の代表的バンド。1968年にイギリスで結成。

今回のドキュメンタリー映画は1972年12月15/16日のロンドンのレインボーシアターでのパフォーマンスを収録した作品で、アメリカでは1975年に劇場公開されております。時期的には代表作の『こわれもの』(1971年)や『危機』(1972年)をリリースした直後で、まさに黄金期の彼らの姿ですよね。

 

続いて4/18からの1週間はこちらの2本。

クリーム フェアウェルコンサート1968

(1969年/イギリス・アメリカ合作映画)トニー・パーマー監督

配給:REWINDERA PICTURES/WOWOW

キャロル・キング & ジェイムズ・テイラー ジャスト・コール・アウト・マイ・ネーム

(2022年/アメリカ映画)フランク・マーシャル監督

配給:IAC MUSIC JAPAN/Santa Barbara Pictures

 

③クリームは1966年にイギリスで結成されたスリーピースのロックバンド。活動期間は僅か2年半ですが、ロック史においては非常に巨大な存在。こちらもアートロックやニューロックと呼ばれたムーブメントの中核にいたバンド。

ギターとボーカルにはエリック・クラプトン、ベースとボーカルにジャック・ブルース、ドラムはジンジャー・ベイカー。三者三様にそれぞれ既にキャリアがあり注目も集めていたスーパーバンドで、即興演奏を大きく取り込んだパフォーマンスはシーンに衝撃を与え、直後に勃発したハードロックの起爆剤にもなったのです。

今回のドキュメンタリー映画は1968年11月26日にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで開催された解散コンサートを軸に、メンバーへのインタビューも収録。海外では翌年に劇場公開もされましたが、日本では今回が初公開。

④キャロル・キングは1942年アメリカ生まれのシンガーソングライター。1960年代から作曲家として活躍、1971年にリリースしたアルバム『つづれおり』は未だ愛されつづける名盤。俳優としてのキャリアもあり。

ジェイムス・テイラーは1948年アメリカ生まれのシンガーソングライター。1970年にリリースされた2枚目のアルバム『スウィート・ベイビー・ジェイムス』がヒットし広く知られました。1971年にはモンテ・ヘルマン監督の映画『断絶』にてビーチ・ボーイズのデニス・ウィルソンとともに主演を務めました。

両者ともに1970年代以降のシンガーソングライターブームの走りであり、ここ日本のフォークやニューミュージックといったシーンへの影響も大きいでしょう。

ちなみにテイラーの1971年のヒット曲「きみの友だち」はキャロルの作曲であります。

今回のドキュメンタリー映画には両者の長年にわたる交流の記録と2007年の37年振りの共演ライヴ他を収録。

 

そして4/25からの1週間はこちらの2本。

アイアン・メイデン フライト666

(2009年/イギリス映画)サム・ダン&スコット・マクフェイデン監督

配給:IAC MUSIC JAPAN/Santa Barbara Pictures

(2025年/イギリス映画) ジョナス・アカーランド監督
 
⑤アイアン・メイデンは1975年にイギリスで結成され、1980年にメジャーデビューした当時のいわゆるNWOBHM(ニューウェーブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル)のムーブメントを代表するバンド。1970年代末に吹き荒れたパンクへのメタル側からの返答ですよね。
今回のドキュメンタリー映画は2008年のワールドツアーに密着した作品で、3枚目のアルバム『魔力の刻印』(1982年)から参加の2代目ボーカリストであるブルース・ディッキンソンのもう一つの顔である航空機操縦士としての姿も収められております。

⑥ビリー・アイドルは1955年イギリス生まれ。セックス・ピストルズの親衛隊で結成されたパンクバンド“ジェネレーションX”の元メンバー。バンド解散後アメリカに渡りリリースした2枚目のソロアルバム『反逆のアイドル』(1983年)がヒット、その後も大きな成功を収めております。俳優としても活躍、『ウェディング・シンガー』の本人役での出演が最高でした。

今回のドキュメンタリー映画は彼や関係者へのインタビューや様々なアーカイブで構成された彼のキャリアを総括した作品です。

 

以上の6作品、どれも楽しみなラインナップですね。シネマ神戸②の音響がまたライヴハウスみたいで音楽映画に合うんですよ。是非ご体験ください。

1.『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』

@ シネ・リーブル神戸

2.『愛しのアイリーン』

@ 京都シネマ/出町座

3.『勝手にふるえてろ』

@ T・ジョイ京都/塚口サンサン劇場

4.『レディ・プレイヤー1

@ TOHOシネマズなんば/塚口サンサン劇場

5.『花筐』

@ 元町映画館

6.『そうして私たちはプールに金魚を、』

@ 塚口サンサン劇場

7.『Bao

@ アースシネマズ姫路

8.『あなたはわたしじゃない』

@ 神戸映画資料館

9.『わたしはあなたのニグロではない』

@ シネ・リーブル神戸

10.『ヘレディタリー 継承』

@ シネ・リーブル神戸


11.『心と体と』

@ 元町映画館

12.『RAW

@ シネ・リーブル神戸

13.『ゆれる人魚』

@ KAVC/塚口サンサン劇場

14.『ごっこ』

@ シネ・リーブル神戸

15.『カランコエの花』

@ 第七藝術劇場

16.『サーチ』

@ アースシネマズ姫路

17.『カメラを止めるな!』

@ 元町映画館

18.『バーフバリ 伝説誕生 インターナショナル版/『バーフバリ 王の凱旋 インターナショナル版/完全版』

@ 塚口サンサン劇場/シネマ神戸

19.『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』

@ 元町映画館

20.『サティの「パラード」

@ 京都シネマ


21.『万引き家族』

@ アースシネマズ姫路/塚口サンサン劇場

22.『犬ヶ島』

@ シネ・リーブル神戸

23.『シェイプ・オブ・ウォーター』

@ アースシネマズ姫路/塚口サンサン劇場/パルシネマ

24.『悪女』

@ 塚口サンサン劇場/シネマ神戸

25.『パティ・ケイク$

@ シネ・リーブル神戸/塚口サンサン劇場

26.『アイスと雨音』

@ 元町映画館

27.KUBO

@ 塚口サンサン劇場

28.『アイ、トーニャ』

@ シネ・リーブル神戸

29.『顔たち、ところどころ』 

@ シネ・リーブル神戸

30.『ラッカは静かに虐殺される』

@ 元町映画館


31.『ビューティフル・デイ』

@ シネ・リーブル神戸

32.『2重螺旋の恋人』

@ シネ・リーブル神戸

33.『聖なる鹿殺し』

@ シネ・リーブル神戸

34.『A GHOST STORY

@ シネ・リーブル神戸

35.『ジュピターズ・ムーン』

@ シネ・リーブル神戸

36.『ワンダーストラック』

@ シネ・リーブル梅田/シネマ・クレール

37.『フロリダ・プロジェクト』

@ シネ・リーブル神戸

38.『裁き』

@ 元町映画館

39.『タクシー運転手』

@ シネ・リーブル神戸

40.『1987、ある闘いの真実』

@ 元町映画館


41.『殺人者の記憶法』/『殺人者の記憶法:新しい記憶』

@ 元町映画館

42.『テルマ』

@ シネマ・クレール

43.『いぬやしき』

@ アースシネマズ姫路

44.『羊の木』

@ T・ジョイ京都

45.『素敵なダイナマイトスキャンダル』

@ テアトル梅田

46..『君の名前で僕を呼んで』

@ シネ・リーブル神戸

47.『ブルーマインド』

@ シネマ神戸

48.『正しい日|間違えた日』

@ シネ・リーブル神戸

49.『飢えたライオン』 

@ 元町映画館

50.『霊的ボリシェヴィキ』

@ 神戸映画資料館