第三弾『昭和残侠伝 唐獅子牡丹』&『県警 対 組織暴力』
いよいよ第三弾にして、男が惚れた!のその本領にドップリ。
はぁ~、凄い…
研ぎ澄まされた刃の上を、殺気と色香が真っ直ぐに渡る。
その眼光、その背中。その生き様、その美学。
惚れる。どころでない、生命捧げたくなる高倉健、ここに在り。
石切場を舞台に、仕切るヤクザのその利権が浮き彫りにする、それぞれの思惑が軋み・ぶつかり・悲劇を招く。
絶え偲ぶ健さんの複雑な背景と、そこを無邪気に越える子供の純粋さが、鈍い痛みで以って映画の余韻を後引かす。
高倉健、そして後半登場する池部良。
その絡みの何とも言えぬ、あの色香は何だ!?
健さんの肩に乗る雪を払う池部良だなんて!
雪降る中、二人して歩む姿の震える美しさに悶絶!!!
若き三田佳子さん、そして津川雅彦さんの美しさも特筆物。
津川さん、もうちょっと活躍して欲しかったよね。
三田さん、この時点で20代半ばと思えぬ着物姿の色気!
しかし、あの石切場の画の映え方が素晴らしかったなぁ。
あの高さ、角の美しさはスクリーンでこそ。
宵闇での撮影も乙。
日本家屋を活かした乱闘もまた流石の殺陣・撮影で、障子越しのシルエット、迸る血飛沫、殺気が怪しく煌めく日本刀、覗く唐獅子牡丹…
あぁ、凄い!
『県警 対 組織暴力』
『仁義なき戦い』のスタッフ&キャストが大挙して参戦。悠々と仁義では描き切れなかった暗部を白日の下に晒している。
その成立のエピソードも最早伝説的で、これが僅か40年前の邦画の熱量かと思うと放心してしまう。
オープニングの菅原文太さんの出鱈目な凶暴さ、そのあり得ない説得力(笑)に痺れ捲る訳ですが、軈てそんな彼すら呑み込まれてしまう闇の底知れぬ深さに引き攣ってたら、あっという間。
このスピード、シャープさ。すげェ。
仁義の成功を受けてのキャスト陣の強烈過ぎる個性と、なのに奇跡的に噛み合うアンサンブルの脂の乗りっぷりは恐ろしい程。
仁義があってこその、そのキャスティングの妙もあるし、登場の順番やタイミングも完璧の一言。
オープニングの(お馴染みの)状況説明での写真に映る目を剥いた表情だけで、キャラが一気に伝わる松方弘樹!
もう、あの髪型だけで“ごっそさんです!”な成田三樹夫!
登場しただけで爆笑を禁じ得ない金子信雄!!!
川谷拓三と田中邦衛は出オチじゃねぇか!ってぐらい、灰汁強く出て来てスクリーンを汚してくれて最高!
もう、拓ボンはその後のあのシーン知っちゃってるからもう可笑しいやら悲しいやら…
邦衛さんは反則(苦笑)!
もうね、山城新伍と梅宮辰夫の、その登場のタイミング、そしてそのキャラ設定なんて、これしかない!じゃん。すげェよ。鳥肌立つオモロさ。
一方での室田日出男の熱量が程好く掻き乱してくれる。
楽しみだった最早伝説の拓ボンボコボコ取調。
改めてスクリーンで観ても、そのリアルさ(っーか、ホントにやってんだよ!)、やり取りの巧みさに劇場内のヴォルテージ一気に沸騰した!
映画に世界遺産があるなら申請したい。
まぁ、倉島市って架空の舞台が、何処を指してるのか?丸分かりなその方言丸出しが最強に最高で、こんなにもその言葉のグルーヴが映画その物を牽引する作品を他に知らない。
権力の暗部が“白日の下に晒される”感を加速させるのが、そのロケでのギャラリーの多さで、あれはエキストラなんだか、本気の見物人なのか…
何とも生々しい。
しかしここでの“広島”の街並みは圧倒的に魅了的だ。
あの狭い路地裏でタフな人々が犇き合う、その猥雑な生命力で街が呼吸している。その切り撮り方もまた素晴らしい。
あの質屋映ってる画とか今や撮れないもんなぁ。
そんな古い街並みに乗り付けるデッカい車。その圧倒的なふてぶてしい面構えよ!
あの警察署前での松方弘樹が自ら運転して、拓ボンが乗る車に思いっくそぶつけに行くとこの狂いっぷり!
ここでの松方弘樹の狂気は壮絶!
オープニングの金子信雄からの電話受けるふてぶてしさ。
あの鬼畜な“性教育”!
一方での懐のデカさ。
今じゃ創造すら出来ない男。
塚口サン、“高倉健、菅原文太 追悼上映”のど真ん中に『昭和残侠伝 唐獅子牡丹』と『県警 対 組織暴力』を持って来た辺りのバランス感覚には恐れ入る。
御二方の一貫した、横暴なる権威へのNO!が胸の深いところ迄刺さり刻まれた。
そして、ここに描かれた問題は今も何ら変わらない。
あの石切場での利権争い、県警のズブズブの癒着具合。
いやいや、より切実に響くな、これ…
『昭和残侠伝 唐獅子牡丹』でのその緊張感の綱渡りを巧みにトレースした“和”な響き。そして、健さんの歌。
『県警 対 組織暴力』は、何よりあの粘着質あるギター!!!
音楽にも痺れ捲った。

