互いに想いを寄せ合いながらも、望まぬ形で加害者と被害者へとなってしまった若き男女の葛藤と対話を、闇も痛みも掬い撮らんとする監督の眼差し。
のたうつ痛みと、それを越える強さ。
前半少し重過ぎやしないか(この作品での夜の闇は恐ろしい)?と危惧した面もあったのですが、中盤から後半に掛けて、グッと浮上して来る(監督の)狙いに胸掴まれる。
特に親友役の新木優子ちゃんの存在に救われたな。
そして、最後に彼女が見せる、自転車の二人乗りしてた時のと同じある“仕草”。
あぁ言う感覚が凄いなと。
非常にデリケートで難しいテーマであるのに、臆する事ない監督の眼差し、語り口、テンポ。
元映で生で観た金井純一監督はどこぞのバンドにいそうな華奢さだったのに、いやいやどうして、肝が座っている。
金井純一監督、背が高いのよね。
彼のあの眼差しはあんな風に世界を捕らえるのかぁ…と、感慨一入。
しかし、“デートレイプ”って言葉からのイメージが一人歩きしなければいいなと思うんですが、この作品は決してそこが焦点ではないし、勿論安易な“解決”や“回答”を求めた映画でもない。
時に渦中の人を傷つけまいと採る行動が、決定的に傷深めてしまう事もある訳で、それぐらいに若さ故の過ちは根が深く、厄介だ。
だからこそ、新木優子ちゃん演じた親友は腹括って、ぶつかったのだ。彼女の存在は素晴らしい。
『聴こえてる、ふりをしただけ』と同じく主演の野中はなちゃん越しで覗かれる世界の虚と実の、おかしみ・かなしみ・おそろしさ。
一年前に、あっ…と言う間に目の前を通り過ぎて行って、捉え切れなかった濱口竜介監督の初期作品。
無垢な野心が、スクリーン=時間軸を跨ぐ瞬間の興奮は他で得難い快楽。
初っ端の
“ついてくんなよ”
即号泣。
その内“転校生”のタイトルだけで泣ける気がするわ。
まぁ、DCPの画質ヤバい。
あの風の匂いすらしそうな美しさ。
ヤバ過ぎて、寿命縮むぐらいオープニングからときめいたわ!
なれど、すんません、『転校生』だけは桁が違った!
一年間散々転校生凄い、転校生凄い言うてたのに、まだそのポテンシャルを舐めていたのに気付く素晴らしいDCP上映でありました。
今迄の私の転校生評なんて生温い!
そして、これ以上の映画に出逢える気がしない…(深刻に)。
はっ!
もしや、この感動の為にうちの親は僕を転校させてたのか!?
最愛の作品を、考え得る最上のタイミングと環境で観られた至福。
何かね、自分の中で一つ区切り付いたな。
金井純一監督の新作『ゆるせない、逢いたい』と、その一つ前の作品の短編『転校生』、この二つの作品はある意味双子とも言える作品。
と、言うのも、『転校生』は、『ゆるせない、逢いたい』の撮影のスケジュールが延期になってしまったタイミングで、ゲリラ的に撮った作品で、だから同じ街・同じ学校が舞台なんです。
だからセットで観る事で色々と見えてくるものある筈。
これは来館されてた金井純一監督から聞けた話だったのですが、『ゆるせない、逢いたい』の元々は『転校生』のメイン二人を使った別のエピソードだったとか(被害者と加害者の対話と言うのだけ共通してた)。
そんなスケジュールの延期が生んだ偶然の産物って事で言えば、ウォン・カーウァイの『恋する惑星』だよね。
ある種のストレス下だからこそ生まれた疾走感と軽やかさ。

