オーバードライヴ/ザ・コール | Electronic Dolphin Eats Noise

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空論上の九龍城

2014年4月。@ シネマ神戸。

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『オーバードライヴ』に関しては、この邦題・ポスターのヴィジュアルから、アクション映画を想起致しますが、アクションシーンもありつつも、原題“SNITCH(密告)”を巡り、親の愛が暴走するドラマが疾走する。
骨太な観応え・手応えあり。


ハリウッド映画でよく出てくる、逮捕された時に、他の犯罪者を密告する事で減刑されるっての、日本人からしたら全く理解に苦しむ制度な訳ですが、今作ではそれによって陥れられてしまった息子をその制度そのもので救うべく、ギリギリに迄犯罪に肉薄してしまう父親の姿が描かれる。


そこにその制度の矛盾・空虚さを絡ませ、しかも犯罪者の更生やその困難さ、犯罪の・犯罪組織へと簡単に染まってしまう身近にある恐怖を滲ませる脚本がまぁ、見事。


決してハッピーエンドと片付けは出来ぬものの、後味の悪さを払拭するアフターケアも頗る良い。


ザ・コール

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うんもぉ!やったね!ブラッド・アンダーソン!
緊急通報司令室への911が結ぶオペレーターと通報者のスリリングでドラマティックな友情!と、言いたいところが…二転三転、取り返しのつかない展開で以って暴走が加速する。

早熟にして不遇の天才ブラッド・アンダーソン監督作品って事で、ワクワクしつつ、シネマ神戸さんでの上映を待っていた訳ですが、序盤~中盤と余りに手堅く、そしてストレートに面白い展開に、あぁ、アンダーソンも大人に… 


なってねぇじゃん!
な、後半の展開に全身から“お帰り、アンダーソン!”汁が噴出した。


そもそも、ブラッド・アンダーソンは『ワンダーランド駅で』なんて超絶技巧を、あまりな軽やかなロマンスとして結んだ才人である一方で、『セッション9』や『マシニスト』でサスペンス映画の新たなる地平で存分に自らのフェティシュな迄の願望を表出させた変態なのだ。

近作の手堅い職人気質で落ち着こう筈はない。


前半の変則的密室サスペンスの極上ムードにも不穏な迄のカメラワークが忍び寄ったり、一方で電話越しの会話劇の巧みな持って行き方の熟練具合。

そして、後半のショッキングな復讐劇での全開っぷり。

その“バランスの悪さ”の塩梅の良さよ。


40代半ばってのが信じられない、しなやかな身体性で以って、精神の不安定な揺らぎと克服、そしてその先での突き抜けを体現するハル・ベリー。

むっちりとした肉体で、ありふれた女子高生の日常に不意に訪れた非日常を、限られた条件下で演じ切ったアビゲイル・ブレスリン。

こんな形での共演にリアリティを齎す両者の熱にも打たれた。


しかもアメリカではこの内容でヒットしたってんだから、アンダーソンを信じてて報われたよ。