ウォン・カーウァイ | Electronic Dolphin Eats Noise

Electronic Dolphin Eats Noise

空論上の九龍城

シネマート六本木&心斎橋で2013年7月20日~8月16日迄開催された“ウォン・カーウァイSpecial”での感想呟き纏め。

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新作『グランド・マスター』公開に併せて、そのルーツとも言える『楽園の瑕』の終極版(1994年公開のオリジナル版を、2008年に監督自ら映像を全編リマスタリングし、編集を変え、更にはヨーヨー・マの音楽を新たにフィーチャーした新ヴァージョン)を日本で公開するそのタイミングでの、初のデジタル環境での大規模なレトロスペクティブ。


全作ではない事と、会場が限定的だった事が残念でしたが、未だこの規模で振り返えられるのは、それだけ当時の衝撃が大きかった何よりもの証明でしょう。


90年代に10代を過ごした僕らの世代って、残念ながらリアルタイムの映画監督に思い入れをあまり持てない状況だった訳だけれど、そんな中でも数少ない監督名でお客さん入る・話盛り上がるのがウォン・カーウァイだったんですよ。

えぇ、どっぷり好きでした。
青春ど真ん中。


しかし、個人的には作品の殆どをDVDで購入してるにも関わらず、その一番好きだった時期の作品は劇場で観てないってのが、ずーっと自分の中の蟠りだった。

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去年元映でブエノスアイレスのフィルム観れた時は、だから嬉しい反面より蟠りが強まったのでした。


『楽園の瑕』

終極版かぁ…うーん、あんまり印象変わらん(笑)。
でも、これ観てまた『グランド・マスター』観直すと面白いんじゃないかしら?

何にせよ、本人ですら映画に収め切れぬ誇大なイマジネーションには未だ圧倒。 


『花様年華』

ヤバい…こんなに凄かったっけ…

こんなに激しい映画だったっけ?
そして、あの色・香…
もしかしたら今回の上映でマイ・カーウァイ・ランキング入れ替わるやもしれん。
全シーン震え上がる程の官能の色!構図!

意外にもデジタルとの相性良いじゃない。


細部に至る迄張り詰められた美意識が、優雅なライン描き満ちる官能。
色が、その肌触りが、画が、その匂いが…
これは、もう嘗ての名画達への華麗なる挑戦状である。

あっ、マギーちゃんのドレスも素晴らしかったんだけれど、部屋の内装からインテリアから小道具まで、あっ車とかまで拘り捲りのデザイン、そして色だったね!
TVの画面で見た時はそこまで意識回ってなかったけれど。
緑色の食器とか、ピンク色の麻雀牌とか、あのタイプライターetc.

あの麻雀牌は欲しい。

魔法瓶みたいな弁当箱(?)気になった。


トニーがさぁ、あのマギーちゃんが旦那に問い質す練習してる時に、クッチャクッチャ汚い食べる音出しててさ、“君の旦那はこんなんだろ”的な嫌味と嫉妬込もってたね、あれ。


そもそも“in the mood for love”ってのが良い。


しかし…
世の中に完璧な映画があるとしたら、真っ先に『花様年華』挙げるね、今なら。
ちょっと今年ぶっちぎりの映画館体験だったかもしれん…

全シーン、どう凄いか語り尽くしたいぜ!


花様年華公開の頃はカーウァイ熱も若干冷めてて、結局レンタルして見たんだけれど、その時の印象はやっぱ地味になったなぁー、大人だなぁー、でしたね。
あの忙しないカメラや編集は封印され、ミニマルな舞台・人物でしっとり密やかに語られるムード…
から溢れ出る想いに溺れるのに干支一回り。


今回のウォン・カーウァイ特集の目玉は楽園の瑕&大英雄なれど、個人的にはデジタルでも尚色香増す花様年華をイチオシ!

『ブエノスアイレス』
作品は勿論素晴らしけれど、こんなにも印象変わるものか?
去年元映でフィルムで観たのとあまりに感触が違うんで、色々と勉強になった。
いや、でも、やっぱ観れて良かったよ。

風邪ひきながらもレスリーにご飯作ってあげるトニー萌え。

“ねぇ、僕、こんな手なんだよ”な、レスリーのあの表情に完敗。


やっぱブエノスアイレス、浮雲思い出したな。
お金なくなって時計売るとことか、さりげなくオマージュ?
って事は、レスリーが撮影離脱しなければ…
しかも今丁度塚口サンで成瀬上映中と言うシンクロニシティ!


そうそう、花様年花のエンドロールの紅い画面でも感じたんだけれど、今回のデジタル・リマスター、赤にちょっと難あり?
若しくはシネマートの映写環境なのかな?
ブエノスアイレスで最初に赤が出てきた時ハレーションみたいなの起こしててギョッとした。
あと、何か所々小さな斑みたいなのあったり。


『恋する惑星』

人生で、もしかしたら一番ってぐらい見返してる作品なれど、やっぱ劇場×スクリーンで観ると全然違うなぁ~
でも、こうなると、やっぱ、フィルムで観たくなるじゃない!


『天使の涙』

『恋する惑星』での手応えと、ドイル&武を両腕に、より軽やか且つ深く、夜の香港を駆けた『天使の涙』の、あまりのスタイリッシュさには未だ眩暈するものの、驚く程にそこに描かれる混沌と孤独が今も普遍的に響くのには驚く。


『恋する惑星』はほぼ勢いだけで撮られた為に(それでもあのクオリティ!)、そこでは語り切れなかった想いが『天使の涙』には充ち満ちている。

まぁ、その分惑星に生じたミラクルな成分は薄いか。


全編に亘る歪に想い滲み出たカメラと、それを補完すべく空間的に配置された音楽(マッシヴ・アタック使えないんなら自分たちで作っちゃえ!)、その流れを優先した編集。

と、カーウァイ印満載なれど、意外にもこんな作品は少ない。


惑星はデジタル…ううーん…だったけれど、天使は相性良い気がしたな。


しかし、あのカレン・モクの演技(苦笑)。未だ驚異の違和感。