ひめじ国際短編映画祭2012 | Electronic Dolphin Eats Noise

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空論上の九龍城

あれからもう一ヶ月以上も過ぎたのか・・・
http://harima-film.com/index.html

ひめじ国際短編映画祭も早くも5回目。
偶然その初回に参加出来たのも今では忘れ難き思い出ですが(あの『つみきのいえ』をアカデミー賞受賞以前に観れたのだ!)、結局2回目~4回目には参加出来なかった(すんません・・・)。
さて、記念すべき5回目って事で随分と規模を拡大し、更には映画以外の催しにも手を拡げたのは吉と出たか?それとも・・・



とりあえず観た順番に。

先ずはの5/26。

最初に参加したプログラムは今回の公募コンペティションの審査委員長でもありました横浜聡子監督の上映&トークその1。
上映作品は彼女の名前を世に轟かした怪作「ジャーマン+雨」である。
ジャーマン+雨 [DVD]/野嵜好美,藤岡涼音,ペーター・ハイマン

これはレンタルで見てはいたのだけれど、それでも一回はスクリーンで観たかったので。
その意味不明なタイトルに負けず劣らずのシュールな青春(?)を綴った中篇映画ですが、そんなの全部がっつり一人持ち去るゴリラーマンこと野嵜好美さんの怪演(???)に惚れ惚れ。
人のトラウマをリコーダー曲として昇華する才能って何だよ!!!
中盤の子供達のサイケデリックな妄想遊戯のシーンには心底ビビる。
これを押さえておけば『ウルトラミラクルラブストーリー』の超絶級な飛躍も納得だ。
上映終了後登壇した横浜さんは、写真なんかで見てたより随分とお綺麗な方だったけど、語り口はあのぶっ飛んだ作風からは想像出来ない程に穏やかで理性的だったなー

で、そっからフランス短編パノラマへと。
「La flame(炎)」
海辺を舞台に起こるいかにもフランスらしいエスプリの効いたお洒落でブラックな作品。
「Ridicule(滑稽)」
鹿の角が映えた男が辿る悲喜劇。面白いけどちょいと厭味。
「Ben hora」
これはアニメーションを駆使したPVですね。異文化に触れた我々の内面を綴る寓話。ショーン・タンを想起した。
「L'accordeur(調律師)」
盲人のふりをして調律師を始めたピアニストが見てしまう他人の私生活。お見事!な一本。
「SKHIZEIN(分裂)」
こちらもアニメーション。隕石の衝突により少しズレてしまった(!)男の悲喜劇。怖い。
「Dernier voyage improvise(最後の旅行)」
長年連れ添った夫婦の“最後の旅行”とは!?面白かったけど、ちょっと暑苦しかった。
「Le diner(ディナー)」
初めてのデートのあの不安と期待をこんな風に描けるとは!!!傑作!!!!!
「Charlotte et Veronique ou Tous les garcons s'appellent Patrick(男の子の名前はみんなパトリックっていうの)」
当初予定してたゴダール&トリュフォーの「Une histoire d' eau(水の話)」でなく何故だかこちらが流れてしまったと言うトラブル発生。まぁ、貴重なゴダールの初期作品を観れたんで良しとするか。
初期ゴダールらしいテンポもセンスも抜群の可愛らしいドタバタロマンス。やっぱパーフリの初期のPVとか思い出すよね~
で、このトラブルの代替で翌日「水の話」は只で観せて貰いましたが、それは当日一緒の会場にいた友人が気を利かしてスタッフに話をしてくれてたので実現しただけで、他の「水の話」目当てのお客さんはどうしたのだろう?
「水の話」は昔VHSに録画してたけれど、結局見ず終いで今回初。この映画の成立のエピソードは有名ですが、そのエピソード以上に内容の方もワクワク。ほんと、瑞々しい。
アラン・レネ/ジャン=リュック・ゴダール 短編傑作選 [DVD]/ジャン=クロード・ブリアリ,ジャン=ポール・ベルモンド,アンヌ・コレット


で、26日ラストはフレデリック・バックのミニ特集。
「木を植えた男」
これはレンタルで昔見てたけど、時を経れば経る程にその凄味が増す作品。
そのタイトル通りに、荒地に木を植え続けたある男を描いた作品ではありますが、安易なエコロジーとは一線を画す強い信念に貫かれた名作、いや人類の遺産。
何が凄いって、この(2万枚に及ぶ)画を5年半も掛けて一人描いたバック自身であろう。
「イリュージョン?」
可愛らしいオープニングからの怒涛の展開に言葉を失うこれまた名作。文明とは?共存とは?
何が凄いって、この作品、1975年に作られているのである。
木を植えた男/フレデリック・バック作品集 [DVD]/出演者不明


で、翌27日。

引き続きのフレデリック・バック特集。
前日の「木を植えた男」と「イリュージョン?」に加えての、
「トゥ・リアン」
人間の愚かさ・醜さを大きな視座でストレートに描いた作品。
「クラック!」
バックの普遍的テーマを、ある椅子を軸に展開する傑作。ラストが美しい・・・
「大いなる河の流れ」
彼の大いなる思想と創作が辿り着いた強固なる作品。

うんで世界の短編パノラマへ。
「Yuri Lennon's Landing on Alpha 46(惑星アルファ46)」
壮大なSF観を最後のあのオチの為に拡げてしまうおバカっぷりに拍手。
「Casus Belli(人、ひと、ヒト)」
いかにも短編映画らしいアイデア。よく作ったなーな印象。決して労力は報われてはいないけれど(苦笑)。
「Tango Argentine(タンゴのすすめ)」
こんな生き方って・・・素敵じゃないか!残る一本。
「NA WEWE(おまえも!)」
内戦状態の中部アフリカのブルンジ共和国のハードな現実を描くかと思いきや・・・まさかの展開。
「Gyeol jung jeok sun gan(決定的瞬間)」
これまた短編映画らしいアイデアの一本。が、活きない。
「360°」
ゴースト?ストーカー?ミステリアスな展開は成る程ーとオチる訳ですが、何か好きくないな、これ。
「Cockroach(ゴキブリより愛をこめて)」
ゴキブリとして生まれ変わり妻の元に表れた旦那の顚末・・・予想通りで安心(笑)。
「The glowming」
神の視座の恐怖をとことん描いたアニメ。キモいが何か好きだ。

で、横浜聡子監督の上映&トークショーその2。
http://www.littlemore.co.jp/yokohamasatoko/
最新2作の、
「真夜中からとびうつれ」
“映画”を描いた映画なんて沢山ありますが、これはまた新たなるアプローチの一本。
“闇”から立ち昇るイマジネーション、
兎に角多部未華子ちゃんが鮮烈で良い!
時に禍々しさも呑み込み不器用に突っ走る僕らの明日はどっちだ?
「おばあちゃん女の子」
で、どこか続「ジャーマン+雨」な雰囲気もあるこちらは、数々のアイデアの断片を奇妙に不安定なバランスで綱渡ってく“らしい”一本。
野嵜さんがやっぱ凄い!
終演後のトークでは結構突っ込んだお話も聞けて(司会では元グレチキの北原さんだったのも驚き)、今後の展望にも期待したいですね~



と、上映作品の数々には大満足だった訳ですが、上記した以外にもどのプログラムでもほぼトラブルが発生すると言う奇跡がありまして・・・しかもどのトラブルも確り確認作業さえしとけば回避出来たものばかり。
一個一個列記したいとこだけれど、今更蒸し返すのも何なのでしませんが、今回の映画祭はお客さんにチケット買って貰って足を運んでもらっているものなんでしょ?こんな時代に。
愛には愛でもって応じて欲しかったのである。
ミスは人間なんだから起こって当然。じゃ、その処理をどうするかが問われるのだ。
とてもじゃないが、あんな対応では納得はいかないし、今後に繋がる筈もない。

さて、次回は!?