ただ今発売中の『飲食店経営』2月号で、私は「牡蠣特集」を担当しました。以来、企画書を作成する際など「下記の通りです」が「牡蠣の通りです」になるほど(笑)、私のPCには「牡蠣」が染みついています。
私は幸いにも、これまでいわゆる「牡蠣にあたる」経験をしたことがなく、「ノロ」もなく、牡蠣に対する印象は良好です。牡蠣が大好きです。
さて、この牡蠣特集を担当したことで、牡蠣のことが少しは詳しくなりました。中でも今回得た最高の宝物はオイスターバーの「オストレア」の取材をしたことでした。
オストレアは都内・山手線の内側に現在7店舗展開しています。1号店は2007年7月オープン(赤坂見附店)で、以来8年足らずでこの陣容は、専門店展開としてはとても堅調なことだと思います。
オストレアのリーダーは吉村憲一郎氏。現在のオーナーさまとの出会いから牡蠣の産地開拓を手掛けることになったそうですが、その産地の掘り下げと、こだわりには感動しました。当初出会った牡蠣の生産者である広島の三保達郎氏から、「牡蠣にとって最も大切なものは何か?」と尋ねられ、「安全性です」と答えたことから牡蠣の仕入れをさせていただいたというエピソードを紹介してくださったのですが、これは今日の同社のミッションの根底にあるもので、語りつがれるものでしょう。
食材の「安全性」とは、オイスターバーに限らず、飲食業をはじめ、広く食を商う人にとって一番に意識を傾けなければいけないことです。ここからお客さまに提供するあらゆる姿勢が形成されていきます。
おいしい料理も、すてきな接客も、行き届いたお掃除も、すべて「安全」が原点となります。
オストレアの生牡蠣は、目の前に運ばれると「潮」の香りが漂います。リサーチのときに息子を連れていったのですが「青森の匂いがする」と言いました。私の実家は海の近くにあって、潮の匂いが漂っているのですが、それを連想したのだそうです。そして、食べるとしょっぱい。そのしょっぱさに、「海の味」を感じます。
日本の牡蠣の種類は「真牡蠣」が主流になっているとのことで、産地の海が違っても同じ味になるとのこと。これを、それぞれの「海の味」をお客さまに体感していただくためにはオストレアならではのオリジナリティがあるのです(この内容は、飲食店経営を読んでのお楽しみ)。
このように基本的に同じ種類の食材を扱う飲食店が、オリジナリティをアピールするのはなまなかのことではありません。そして、「安全性」をミッションの柱にしていることによって、お仕事に対する正義感が一貫している社風が醸成されていると拝察します。
これから牡蠣扱う飲食店はどんどん増えていくことでしょう。牡蠣は養殖が主流なので、生産量は需要に応じて増えていくことでしょう。
牡蠣を扱う飲食店が増えていくことによって、生産者と交流を深め、産地の情報に明るく、そして正義感が一貫した飲食店が増えていくということは、外食をする「理由」をより豊かにしていくことにつながっていくものと思います。