「カオス」という言葉があります。その意味は「混沌」。「なんだかよく分からない、まとまらない」という世界です。
友人から 「福岡に行ったら『魚男-フィッシュマン』というお店が凄いよ、絶対行った方かいいよ」という、中々的を得ないアドバイスをいただき、「食べログ」とかを見たら、料理の盛り付けに工夫があって、スペインのエル・ブジみたいな料理もある(例えば、豆腐のエスプーマとか、肉じゃがのショートケーキとか)。それほど言うのなら、ということで同店を昨年10月中旬に出張の途中に訪ねたのでありました。
同店の場所は、繁華街の天神から1キロほど離れた今泉というラブホ街の谷間にあり、外観は瀟洒なビストロ風です。扉を開けると大きなアイスベッドが広がり、「お魚がおいしいんだなあ」と思わせる構成です。 グリーティングは小顔・ショートカット、スレンダーな25歳くらいの女性で、さわやかな雰囲気で、とても素敵な第一印象でした。
その日はお取引先の方と4人で会食をする予定で、先にお店に着いた私はまだ静かなお店の中で一人ビールを飲んでいました。隣には40代のカップル。その中の女性が、終始笑いこけていました。何がそんなにおかしいのか?そのカップルをもてなしていたのが大柄の男性で、星条旗がプリントされた海水パンツをはいていました(当然、毛がはえた太もも丸出し)。私は強烈な違和感をいだきました。グリーティングの女性とは真逆の接客で、ここより「カオス」の第一章が始まりました。
後にご挨拶をいただいたのですが、この男性は「バッテンぶらぶら」さんという九州プロレスの現役プロレスラーでした。
お待ちしていたお取引先の方がそろい、食べログにある個性的な料理を次々と注文し、普通ではない盛り付けにサプライズを感じていました。階段式になった盛り付け台に盛られたお刺身が一番印象深かったような。同店の盛り付け代が印象深く、後にほかの地方都市の繁盛店に入ると似た盛り付け台に出合うことが多くなり、同店はベンチマークされているんだなあと気づいた次第です。付け加えておきますが、使用食材は産地が明示されていて鮮度も素晴らしいものがありました。この料理が「カオス」の第二章です。
しばらくすると「バッテンぶらぶらタイム」が始まります。先のプロレスラーが大きな金色のセンスを煽ぎながら店内を練り歩きます。堂々と行っていることに、ショーマンとしての誇りを感じました。「バッテンぶらぶら」さんは同店のエンターテインメントの要となっているようです。同店のキラーコンテンツ「いくらのてんこ盛り」の注文があると、「バッテンぶらぶら」さんがお客さまの目の前で、周りに掛け声を誘いながらご飯の上にイクラを盛り付けていきます。「カオス」第三章。
そして店内が暗転しました。すると妖艶なドレスを身にまとった20代後半の女性2人が乱入。2人で店内でポールダンスを踊ります。空いているテーブルの上に寝そべり、アピールする姿に店内が完全に支配されます。「ここはどこ?」という思いに駆られます。そのうち、2人のダンサーがお客さまの手を取り、お客さまも一緒に踊りだします。「カオス」第四章。これまで、お客さまは始終笑いこけていたことを付け加えます。
これらの「カオス」がひと段落したのは21時30分ごろ。店内は先ほどまでの興奮を少し引きずりながらも、一般的な、お魚のおいしいレストランに戻ります。そして、「カオス」の第五章。店内にケーキのワゴン販売が始まったのでした。同店のグループ店舗ですぐ近くにケーキショップがあり、同店の商品を販売しているのでした。暑い夏には白熊の着ぐるみが「白熊くん」(かき氷)を販売しにくることもあるそうです。
このお店のことを、これまで友人に紹介したり、雑誌の連載などで紹介してきました。そのポイントは「カオスなお店」ということです。
しかし、今日改めてブログでこのお店のことを書いてみましたが、カオスと思わせながら実は大きくうねるストーリーで構成されています。料理、登場人物、ショータイム……これらの印象が強烈に記憶に残っています。私にとって「また行きたいお店」の№ワンです。