海外における同人誌と電子書籍 | 道玄坂で働くベンチャー課長だったひと

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Il n'est qu'un luxe veritable, et c'est celui des relations humaines.
Saint-Exupery(真の贅沢というものは、ただ一つしかない。それは人間関係の贅沢だ。
サン=テグジュペリ)
 

今年もうっかり、コミケ(87)に行ってきました。
 
特別、この同人誌イベントが好きなわけではないのですが、
なんだかんだ今回で3度目にだったりします。
 
なので、コミケに関する一通りの知識はあり、
壁側に出展しているブースは人気があり、行列をさけるために、
壁側であるとか、カタログは当日ではなく、事前購入しておくもので、
あらかじめ、どのブースを訪問するか決めておき、
予算と好みを確かめながら購入します。
  
去年は行きませんでしたが、行く理由としては、
なぜこれだけの来場者があるのか謎をひもときたく、
去年は56万人だったようでしたが、そういう半分遊びで、
半分市場調査(?)だったりします。
 
今回も当初行く予定はなかったのですが、
昨日のスケジュールがなにも決まってなく、朝起きた時点で、
そうだコミケに行こう!と思いつきました。
 
ただ、今回の参加には割りと明確な目的があり、
海外の同人事情と同人における電子書籍事情について、
情報を入手したかったからです。
 
昼過ぎに会場に到着し、相変わらずすさまじい人でしたが、
西館と屋外のコスプレ広場を見学したあと、
上のフロアに上がり、企業ブースコーナーへ向かいました。
 
企業ブースは個人と異なり、各スペースも広く代替的にPRしているため、
見た目的にも音的にもにぎやかでした。
 
毎年ではありますが、その企業ブースの隅の一角で、
海外における同人事情に関する展示コーナーがあります。
 
$道玄坂で働くベンチャー課長
(Internatinal OTAKU Zone)
 
スペースの広さでいえば、コンビニの店内ぐらいで、
ビッグサイトの会場規模からすると、かなり小ぢんまりとしています。
 
なぜ、今回、海外同人事情と同人電子書籍事情を知りたかったかというと、
それなりの理由があります。
 
日本のマンガ(MANGA)やアニメは海外でも絶大な人気があり、
欧米におけるものとは、大きさやフォーマット、描き方が異なることから、
日本のはMANGAと呼ばれるのが一般です。
 
これだけ人気があるMANGAですが、
日本においては同人誌がプロもマンガと並列して存在し、
ネットでちょっと調べたところでは、同人誌全体の市場規模を
277億円とする論文があるようです。
 
日本において277億円あるのであれば、
当然海外でも潜在需要があるはずですし、
基本的な人間の好みというものは、国を問わないと思っています。
 
エロ系のマンガに関しては、割りと海外でも一部出まわってたりするのですが、
自分が注目しているのは、BL(ボーイズラブ)系で、
いわゆる男性同士が恋愛関係になってしまうジャンルで、
読者はもっぱら女性です。
 
自分が思うに、特に海外で流通しているマンガは、
週刊ジャンプやマガジン、サンデーなので連載されているような、
どちらかといえば、子ども向きなのが中心で、
日本のような大人向け、社会人向けのマンガは、少ないといえます。
 
とりわけ女性は、常に恋愛感情を持ちあわせているものですし、
欧米の方が性に対してオープンであったり、同性愛も公然としており、
BL(ボーイズラブ)系は、かなり需要はあるんではないかと思っています。
 
しかし、海外で同人誌を流通させようと思うといくつか課題があり、
そもそも同人というのは、個人かグループで成り立っており、
通常はそれを「とらのあな」であったりに、委託販売してもらっており、
別途、コミケは日本最大級の同人イベントですが、
それぞれのジャンルにそった小中規模の同人イベントで、
同様にブースを構えて、販売したりしています。
 
それぞれ自分の作品を小冊子に製本して販売するわけですが、
相場として安いものであれば、150円くらいから、
500、600円程度が一般的。
 
当然、原稿を書いて、入稿して、印刷会社に依頼するわけですが、
そういう物理的な面でも、個人負担だったりしますし、
海外で販売するからといって、
売れるかわからないものを多く刷るわけにはいきません。
 
そこで電子書籍が一役買うわけですが、海外で販売するとなれば、
当然翻訳が必要になるわけですが、国際ブックフェアに行ったときも、
そういったマンガの翻訳している会社もありますし、
ソーシャル翻訳サービスである「コニャック(Conyac)」を利用すれば、
ある程度、安く外注することも可能です。

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コニャック(Conyac)
http://www.conyac.cc/
 
電子書籍にしても版権が関わってきますが、それは委託販売にしてもらい、
元手なしで利率を決めて歩合制にすればよく、
配信側で体制が整えば、データ入稿してくれればいいという体制にすれば、
気軽に依頼できます。
 
電子書籍のいろいろ配信先がありますが、
最近、「emes -えむえす-」というiPad/iPhone向け電子書籍アプリが、
発表さて、作家に代わり同人誌の原稿をアプリのコンテンツにし、
登録・課金を申請するサービスになっています。
 
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emes -えむえす-
http://circle.ms/emes/info.aspx
 
従って、海外ではキンドルなどのリーダー、端末がありますが、
キンドルはモノクロですし、やはりiPhone/iPad向けに配信するのが、
現時点ではベストだと思います。 
 
ただ、問題なのはAppleの場合、性的表現がある場合、
審査でひっかかる可能性が高く、BL(ボーイズラブ)も
どこまでセーフか作品によって異なると思いますが、
それを考えるとキンドルの方が、配信先としては確実かもしれません。
 
一応、キンドル(Amazon)においては、やはり審査はあるのですが、
作品内容うんぬんではなく、キンドルの規定のフォーマットであったり、
英語なら英語に翻訳されているかが、審査基準となるので、
同人でも配信が可能となります。
 
なので、買いやすくするためには、キンドルでもappleストア上でも構わないのですが、
「Doujin」(同人)というカテゴリをMANGAと同様につくってもらうことです。 
 
現在、海外で同人がゼロかというとそうではないのですが、
それは個人的にその現地の人たちが、日本から持ち出して、
普及しているレベルです。
 
ちなみに今回のコミケの企業ブースで電子書籍関連で、
出展している所は1社もありませんでした。
 
個人的に同人こそが、電子書籍と相性が良いと思うのですが、
こうやって考えや構想があっても、自身の現状では、
すぐに実現することができないのが残念でなりません。 
 
しかし、もし数年たっても誰もやらないのであれば、
自身でやってしまおうと思いつつ。。 
 
「emes -えむえす-」