クックパッド・つくれぼの秘密 | 道玄坂で働くベンチャー課長だったひと

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Il n'est qu'un luxe veritable, et c'est celui des relations humaines.
Saint-Exupery(真の贅沢というものは、ただ一つしかない。それは人間関係の贅沢だ。
サン=テグジュペリ)
 

最近、おもしろい本を読みました。
 
『六〇〇万人の女性に支持される「クックパッド」というビジネス』です。
 
自分が男性で料理をしないからもあるのでしょうが、
この著者同様、自分もこの本を読むまで、このサイトの存在を知らずにいました。
 
クックパッドのユーザが、月間616万人で、30代女性の4人に1人が利用していると
いわれています。
 

道玄坂で働くベンチャー課長

 

クックパッドHP
http://cookpad.com/

知ってる方はすでにご存知だと思いますが、クックパッドの主な機能は2つのみ。
 
1 レシピを投稿する
2 レシピを検索する

 
ユーザがレシピを投稿できる「つくれぽ」は、50万件ものレシピが投稿されており、
現在も1日500~600のペースで増加し、それらが、
ちゃんとすべて項目が入力されているか、社員がもれなく確認しています。
 
それだけのユーザがいながら、サイトを見ると、パッと見、すごくシンプルで、
HTMLで簡単に作れてしまいそうな錯覚を起こします。
 
それも意図的にしていることで、ユーザのメインが女性で、
普段、ネットを使い慣れている人とは限らないので、
そういうユーザを配慮して、あえてそうしているわけです。
 
サイトによってはデザインにこだわり、Flashを使い、
動画、アニメを反映させるサイトもありますが、
始めは新鮮だったりしますが、毎回、そのサイトを訪問することを考えると、
邪魔でしかなくなってしまったりします。
 
トップページの文字数も、8文字から13文字が最適であるとし、
13文字を超えると、可読性が下がり、24文字を超えると、
さらに可読性が下がるといわれています。
 
以前ブログで紹介しましたが、ヤフートピックス(ヤフトピ)も、
13文字になっているのは、その理由もあるのです。
 

[『ヤフートピックスを狙え』 菅野夕霧]
http://ameblo.jp/dupondt/entry-10544943418.html

[意外と奥が深いヤフトピの世界](関連記事) 
http://news.nifty.com/cs/item/detail/wh-20100515-20100515_003241/1.htm
 
そもそもWEBサイト制作者というのは、
システムに詳しい人なわけで、サイトの見た目や操作性を含め、
ユーザ視点に立てていないことの傲慢さを指摘し、
サイトリニューアル1つにしても、レイアウトが変わったりすると、
ユーザにストレスを与え、逆効果になるとし、安易な変更を避けるよう
助言しています。
 
WEBに詳しい方ならご存知だと思いますが、
ECサイトなどでは、最終的なゴールが購入完了なわけで、
サイト訪問者がどれくらい購入してくれるかを
成約率、業界ではコンバージョン率(CV)といいます。
 
クックパッドはECサイトではありませんが、
レシピにおいて、印刷するということがおそらくユーザにとって、
そのレシピが目的にかなったものであるとし、
印刷というのをコンバーション(達成点)としました。
 
しかし、実際、アクセス解析をしてみると、
目的にあったレシピを見つけることが出来ず、
ユーザが離脱してしまっていることが、しばしであったといいます。
 
それをクックパッドでは、「ウォークスルー」というシステムを開発し、
ユーザがどういうページをたどったかを再現して、可視化できるようにしたのです。
 
つまり、どういう動線を設計できるかがカギになり、
こういった動線を意識することは、リアル店舗ではコンビニ始め、
当然のことですが、ネットの場合、単にアクセス解析ログをみて、
離脱するページがわかったところで、単純にそのページを修正したところで、
簡単にコンバーション率が変わらない難しさがあり、実際は、
もっと複雑な要素がからみ合っています。
 
クックパッドも収益的が成立するまで、約7年かかったといい、
サイトの宣伝広告は一切せず、ユーザによる口コミのみで、
プロモーションしたといいます。
 
そうした改善を繰り返し、クックパッドの満足度が高い理由として、
「ほしいレシピと出会える確率が高い」という点です。
 
検索ワードも、材料のみならず、料理名、季節、イベント、
味の好みなどの基軸でも検索可能で、つわり、受験などという
キーワードもあり。
 
そうした検索精度を高めるために、社員全員で辞書登録作業を
行っており、それらは、「たべみる」というシステムにて、
データベースを販売も行っています。
 
サイトのアクセスが、夕食前の夕方に集中し、
女性はクリックして画面が移るまでに1秒以上待てないとして、
レスポンスを高めるために、Rubyという最新の開発言語を使い、
PDCA(※)のサイクルを速めているとも。
 
※計画(Plan)、実行(Do)、検証(Check)、改善(Action)
 
収益面は広告収入がメインで、当初はページビューの割りに
成功事例がなかったため、安い広告収入しか得られなかったといいますが、
スポンサーとタイアップしたレシピコンテストが功を奏し、
それからというものは、複数のメディアと絡ませるクロスメディアプロモーションなどで、
大きな成果を収めました。
 
そんな、クックパッドのコンセプトは3つ。
 
1 毎日の料理が楽しみになる
2 ナンバーワンになる
3 儲かる
 
サイト作りに関するノウハウ本ではなく、
根本的にサイトとは、どうあるべきかを創業者である佐野氏の視点から、
克明に描かれています。
 
サイト運営に携われている方などには、非常におすすめの一書です。。
 

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