翌2日目。朝、ホテルのロビーに、
いつもどおり、車で迎えにくてくれ、
アクアスミスの事務所に寄った後、
ダイビングのポイントに向かいました。
車に乗ること20分。
かなりひと気のない、
奥地の方の海にきました。
そこは、アクアリウムというポイントで、
海がめが産卵する海岸らしく、
そのような看板が立っていました。
サンゴの粉末でできている
サイパンの浜は、砂の目が細かく、
南の島イメージそのものです。
海岸の駐車場で、器材を降ろし、
もぐるためのセッティングに入ります。
スキューバは基本的に、2人1組なのですが、
自分の準備は、自分で行うのが原則です。
ただ、もちろん、相手はインストラクターなので、
わからない点があれば、きちんと説明して、
教えてはくれますが。
やってみるとわかりますが、
スキューバの器材というのは、
非常に重いです。
まず、ベルト部分に重りをつけますし、
なんといっても、酸素ボンベが10キロ以上あります。
それらを背負った状態で、
自分の場合、ポイントまで、
2、3分歩いていかねばなりませんでした。
いくら自分が若いとはいえ、
けっこうしんどいものがあります。
そうして、何とかして、海のポイントまでたどりつき、
しばらく海面を泳いで沖に向かった後、
インストラクターに導かれるように、
浮力のエアーを抜いて、一気に沈んでいきました。
大体、10mぐらいは、沈んだでしょうか。
それまでは、海面からシュノーケリングのような状態で、
海や魚を見下ろすということはありましたが、
同じ高さ、また、下から見上げるというのは、
ありませんでした。
非常に独特な感覚で、
静寂なのですが、耳を澄ますと、
さまざまな音が聴こえ、
適度な水圧が心地よく、
一番近いイメージでいえば、
クリスチャン・ラッセンの作品のような、
青く、透き通った世界が展開されています。
陸上で生活しているのとは、
違う感覚ですし、普段、海やプールで、
泳いでいる感覚とも違います。
それは、非常に魚や自然との親近感、
一体感を感じることができ、
母なる地中に包まれているような心地良さがあります。
自分は、うつで悩んでいる人なんかが、
スキューバをやれば、自然とのつながりを
取り戻し、回復できるのではないかと思いました。
うつの人は、さまざま抱えている事案があるのでしょうが、
それらをすべて受け入れてくれるような大きさ、懐の深さを
もぐってみて感じました。
サイパン海域に生息する熱帯魚を脇目に見ながら、
インストラクターにリードされて、
沖のほうへと進んでいきました。
海底も起伏に富んでおり、
サンゴをはじめ、いろいろな魚と遭遇します。
しばらくして、Uターンし、
再度、浜の方へ向かいます。
徐々に、海面に近づいていき、
引き潮に流されそうになりながらも、
ロープをつたって、足の着く場所まで、
たどり着きました。
こうして、1回目の本格ダイブを
無事、終えたのでした。