空を渡り行く鶴の 隊列のすき間には
いずれわたしが行くだろう あなたとまた逢うために
薄紫に染まる 夕闇を超えて飛ぶ
この世に残したわれらに その想いを伝えながら





◎”鶴”という歌
ロシア語原題:Журавли(ジュラヴリ)鶴たち

戦後20年1965年の原水禁広島大会に参加した
当時のソ連邦の一部、ダゲスタン共和国の詩人
ラスール・ガムザートフが
アヴァル語(ダゲスタン共和国の公用語)で
作詞。彼は
折り鶴の少女・佐々木禎子さんの生き方に
感銘を受けて、鶴をモチーフに歌詞を書いた。
ナウム・グレブニェフがロシア語に訳した歌詞に
ウクライナ人の
ヤン・フレンケリが作曲。

ウクライナには《キーウの鳥の歌》という
民謡もあり、そこにも
鶴や白鳥などの渡り鳥に託して
遠くの人や、亡くなった人への
思いを伝えようとする歌詞が歌われる。

渡り鳥に対しては、ボクも不思議に
憧れを抱いてきた。
メキシコ名歌 ”つばめよ” を訳したのも
渡り鳥への愛着からだ。

ソ連時代の歌は、ロシア人が作詞作曲に
からんでいなくても、
「ソビエト歌謡」と呼ばれて、
ソ連の歌、あるいは
ロシアの歌にされてしまっていた。
元の歌詞がロシア語でないと、
ロシア語に訳されてから作曲された。

作者が明白なのに
「ロシア民謡」と呼ばれたりもした。
“鶴”は民謡ではない。

原爆という絶望から生まれた名歌で、
世界中で歌われている。
日本語訳詞もさまざまあるが、
決定版はなかったようで、
訳詞が何種類もある。
大前恵子さんは、この歌を歌いたくて
いろいろ調べたがどれにも満足できなくて
ボクに訳詞を依頼して下さった。
2021年8月下旬に訳詞完成。

◎受け取るバトン、わたすバトン
戦争で亡くなった方々から、わたしたちは
どんなバトンを受け取るのか?そして
自分がこの世を去るとき、どんなバトンを
誰にわたすのか?
一人ひとりに考えてほしい・・・
”鶴” はそういう歌だと思う。

こういう内容の歌が、
ウクライナ人の作曲によるものであり、
今のウクライナの現実を思うと
胸が締め付けられる。

核兵器禁止条約に
日本が参加しないことは、
日本政府が、
戦争の犠牲者からのバトンを
受け取っていないことになる。

なんと絶望的な政府。
日本は平和憲法を持つ国として
軍縮で世界を
リードしなければならない。

ウクライナ戦争に便乗して
アメリカの核兵器を日本にも、とか
軍事予算を2倍に、とか。
軍拡主義者は
火事場泥棒と同じだ。

今の日本の軍拡と米軍のやりたい放題は
地球人がめざすべき方向に逆行している。

2017年3月28日、核兵器禁止条約の国連会議会場で
日本の席に置かれた「あなたがここにいてくれたら」と
書かれた折り鶴。(遠藤誠二 撮影)


採決に日本は欠席した。

(歌詞の翻訳)
詞:ラスール・ガムザートフ(ダゲスタン共和国)
曲:ヤン・フレンケリ(ウクライナ共和国)

私はふと思うことがある
血まみれの戦場から
帰ってこなかった兵士たちは
我らの大地にたおれたのではなく
白い鶴に姿を変えたのではないかと

彼らは昔も今も
あの遠い時の果てから
飛んできて私たちに声を落とす
そのせいか
私たちはしばしば悲しげに
空を見上げながら黙ってしまう


疲れた鶴の群れが
空を飛んでゆく
夕暮れの靄の中を飛んでゆく
その列の中に
小さな隙間がある
ひょっとしたらそれは
私のための場所なのかもしれない

その日が来れば
あの鶴の群れと共に
私もあの灰青色の霧に包まれ飛んでゆく
地上に残してきた者たちすべてに
空の彼方から鳥の声で
呼びかけながら

[Coda]
私はふと思うことがある
血まみれの戦場から
帰ってこなかった兵士たちは
我らの大地に倒れたのではなく
白い鶴に姿を変えたのではないかと


訳詞:やぎりん

戦から還らぬあなたは

大地に斃(たお)れたのか

わたしは思うあなたは
鶴に姿を変えたと

はるかな遠い空から
時を超えて語りくる
わたしは言葉をなくして
夕空を見上げるだけ


空を渡り行く鶴の
隊列のすき間には
いずれわたしが行くだろう
あなたとまた逢うために

薄紫に染まる
夕闇を超えて飛ぶ
この世に残したわれらに
その想いを伝えながら

わたしもいつか空から
誰かに呼びかける
その日が必ず来ると
今はわかる 宿命(さだめ)だと

[Coda]
戦から還らぬあなたは

大地に斃れ(たお)れたのか

わたしは思うあなたは
鶴に姿を変えたと

ボク以前にこんなにたくさんの訳詞が♪
ヨーロッパ系言語から日本語への翻訳で、
歌詞として訳したら、元歌が同じなのに
ずいぶんと違う歌になってしまうという例です。
日本語表現の多様性でもあり、
この歌詞から何を伝えたいか?という
訳者の感性の違いでもあります。



訳詞:坂山やす子
(合唱版の歌詞)

私は ふっと思う
傷つき帰らぬ兵士ら
異国の土に眠り
いつしか白い鶴に

鶴は昔から今も
訪れては声伝う
それ故か いつも切なく
声もなく 空見守る


日暮れの 霧の空を
疲れた渡り鳥が飛ぶ
あの列の中の隙間は
もしや 私の為に

やがて鶴の群れとなり
青い夕もやを飛び立とう
大空へ 鶴の言葉で
世の人々 偲びつつ


訳詞:中村五郎
(ダーク・ダックス/鮫島有美子)

空を飛ぶ鶴の
群の中にあなたは
きっといるきっと
このわたしを待っている
激しいたたかいの日も
空に群れて飛ぶ
美しい鶴の群れ
あなたはそこにいる


いくさにいのち捨てても
死んではいない あなたは
きっといる きっと生きてる
このわたしを待っている
激しいたたかいの日も
空に群れて飛ぶ
美しい鶴の群れ
あなたはそこにいる


訳詞:北島真行

ご覧 暮れなずむ霧の空を
白い翼 連ねて
鶴の群れが流れて行く
静かに舞いながら

遥かな山脈(やまなみ)越えて
羽ばたく白い炎
あれは戦に散って燃える
帰らぬ兵士の魂(こころ)


呼びかける問いかける
貴方に私に
戦争の空しさと
生きる事の尊さを

冷たい静寂(しじま)に谺する
祈りと鐘の響き
応える術(すべ)なく佇む
頬を涙が濡らす


父よ母よ 妻よ子らよ
愛しあった 恋人よ
私達は哀しく還る
別れの時を告げて

春よ大地を抱けよ
平和よ永遠にあれと
大空高く歌いながら
命の 故郷へ

以下の三つは全部「見上げる」で始まる。
最後の二つは1行目が全く同じ。


訳詞:星野和正
(ボニー・ジャックス)

見上げる空を旅行く
白い翼の群れよ
はるかなる時を超えて
悲しみを今日も運ぶ

傷つき力尽き果て
戦の野辺に眠る
今は帰らぬ兵士らの
変り果てた白い姿


大空高く旅行け
疲れた翼の群れよ
夕暮れの霧に歌え
再び帰らぬ時を

大空高く旅行け
疲れた翼の群れよ
夕暮れの霧に歌え
再び帰らぬ時を

日は去り時春 今こそ
一人たたずむ僕も
つばさ広げ飛び立とう
飛び立とう 鳴きながら


訳詞と歌:山之内重美

見上げる夕暮れの空に
白い鶴の群れ
あれは遥かな戦の地に 
たおれ帰らぬ兵士(あなた)

ふるさとの空に抱かれ
翼広げて飛ぶよ
大空高く呼ぶ声 
愛しい人いずこ


空を行く渡り鳥の
群れとともにわたしも
いつの日か飛び立つだろう
この世の命終えて

ふるさとの空に抱かれ
翼広げて飛ぶよ
大空高く呼ぶ声 
愛しい人いずこ

ああ・・・・
空を行く鶴よ


訳詞:不明
(ロイヤル・ナイツ)

見上げる夕暮れの空に
失われた時を求めて
今日も悲しく飛ぶのか
白い鶴の群れ

あれはわたしを呼ぶ声
還らぬ友の祈り
翼ひろげてわたしを
いつまでも 待つのか

2番以後ロシア語


この歌のレコーディングで、ギターの
きよちゃんは、ロシアの民族楽器
ドムリャを弾いています(もちろんギターも)。


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 清永アツヨシ(ギター)
 高橋泉(チェロ)【ゲスト】
 八木倫明(ケーナとアイリッシュフルート)

読み語り:河向貴子(5と7)

1. ガブリエルのオーボエ
  (E.モリコーネ作曲)
2. 『銀河鉄道の夜』〜白鳥の停車場
  (藤平慎太郎・作曲)
3. ふるさと銀河に還る★
  (E.モリコーネ作曲/やぎりん作詞)
4. あなたの肩を借りたら
 【You Raise Me Up】★
 (B.グラハム作詞/R.ロヴランド作曲/やぎりん訳詞)
5. [読み語り]
  パラグアイの先住民族グアラニーの伝説
6. チョグイ鳥 (パラグアイ民謡)
7. [読み語り]
 ニュージーランドの先住民族マオリの伝説
8. ポカレカレ・アーナ★
 (NZマオリ民謡/やぎりん日本語詞)
9. 鳥の歌 (カタルーニャ民謡)
10. 聖母の御子★ (カタルーニャ民謡)
11. 愛は花、君はその種子★
  (A.マックブルーム作詞作曲/高畑勲・訳詞)
12. アマポーラ (J.M.ラカーリェ作曲)
13. もう一度愛の言葉を[切れた絃]★
  (ロシア民謡/やぎりん訳詞)
14. 鶴★
  (R.ガムザートフ作詞/Y.フレンケリ作曲/やぎりん訳詞)
15. ワルツ 切れた絃 (ロシア民謡)
16. 小さなオルゴール (ウニャ・ラモス作曲)
17. 思い出のサリーガーデン★
  (アイルランド民謡/やぎりん訳詞)
18. 広い河の岸辺★
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湯川れい子

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女声三部/混声三部の2種類。
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合唱譜女声
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小川類・編曲
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《広い河の岸辺》(スコットランド民謡)
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完成した絵本表紙
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絵本『ひろいかわのきしべ』推薦文の
帯付きは初版のみです。
クミコさんと湯川れい子さんの言葉が
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ドキドキクミコさん
いま世界にあってほしいと思うものが
この絵本の中にあります。それは
暗い空をてらす、希望の光です。

ドキドキ湯川れい子さん
この歌は、これからの時代に愛され、
その時代を踏み越えて、
未来に継承されていくと信じています。


クミコジャケ写
合唱のスコアもついた
《広い河の岸辺》CD
You Tubeには載っていない合唱バージョンが
このCDには収録されています。
女声合唱団「青い鳥」が素晴らしい演奏をしています。

★《広い河の岸辺》の本質
『小さな死』からの出発。
http://amba.to/1oBdnE3


★地球人が渡るべき河のこと
http://amba.to/1t0E3O6

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「なにも知らない。なにもできない。
なにもない。
なのに、なにかを求めている。
自分の微力は、よく承知している。
とるに足りない才能についても自覚している。

でも、せっかく生まれて来たのだから
感動したい。共鳴したい。
おなじ心のひとに会いたい。

それがせめて
みじかい生命の軌跡の中で
ぼくらが望むものではないか。

ところであなたは・・・。


★『詩とメルヘン』サンリオ刊
1982年4月号編集後記やなせたかし
◎やなさたかしさんの限りない優しさ
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★エーリッヒ・フロムの愛の論理と音楽