サン=テグジュペリ(1900-1944)の
著作権が切れた2004年以降、
彼の作品が自由に翻訳できるようになり、
名作『星の王子さま』も様々な
訳本が出版された。

ボクが最近気に入っているのは、
河野万里子・訳の
『星の王子さま』(新潮社・刊)の文庫。

この物語のクライマックスは、
王子さまがキツネと出会うところ。

ボクはフランス語はわからないが、
どうしても気になる部分があって、
いろいろと読み比べていた。

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ
(1900−1944)


サン=テグジュペリの著作権があったころ
訳本は、岩波書店の
内藤濯(ないとうあろう)訳のものが唯一。

王子さまは、
自分の星に咲いたバラの花との
関係がうまくいかずに、
もうこの星には戻るまい、と思って
旅に出たのでした。
そのバラの花との関係について
キツネが王子さまを諭す場面。

「めんどうみた相手には、
いつまでも責任があるんだ」 
          (内藤濯・訳)
「飼いならしたものには、いつだって、
きみは責任がある。
きみは、きみのバラの花に責任がある」
          (池澤夏樹・訳)
「いったん誰かを飼いならしたら、
いつまでもその人との関係を
大切にしなくちゃ」 (浅岡夢二・訳)

「きみは、なつかせたもの、
絆を結んだものには
永遠に責任を持つんだ。
きみは、バラの花に責任がある」
      (河野万里子・訳)


フランス語で
apprivoiser(アプリヴォワゼ)という
「飼いならす」という意味の
言葉が、この物語では
キイワードのような気がして、
それをどう訳したら、
作者の意図を汲みながらも日本人に
伝わりやすいのだろうか?を
ずっと考えていた。

キツネと人間の関係、
バラと人間の関係、
人間と人間の関係のすべてに、
同じ apprivoiser を使った作者の意図を
うまく訳出したものとして、
河野万里子さんの
「なつかせたもの、絆を結んだもの」
という訳に出会って、ボクは嬉しかった。

人が出会って、
信頼関係を築いていくのには、
時間が必要だ。

「きみのバラを
かげがえのないものにしたのは、
きみが、バラのためについやした
時間だったんだ」(河野万里子・訳)

バラの花のためにさんざん
時間を使った王子さまは、
バラの花が何を言ったかではなく、
何をしてくれたか、で
バラの花の心の底を想像しなくては
いけなかった。

王子さまも地球に来て、
砂漠で飛行士に出遭ったころ
そのことに気づいていた。

「ぼくはあのころ、なんにもわかって
いなかった!言葉じゃなくて
してくれたことで
あの花を見るべきだった。
あの花はぼくをいい香りで
包んでくれたし、ぼくの星を
明るくしてくれたんだ。
ぼくは、逃げ出したりしちゃ
いけなかった!」(河野万里子・訳)

サン=テグジュペリが apprivoiser という
言葉に込めた想いは
関わりをもって、その後努力して
馴染んでいく、ということ。

何かのきっかけで関わりをもって
そこから、時間と手間ひまかけて
関係性をつくりあげていく、
ということ、だと思う。

お客様とボクの関係、
音楽仲間とボクの関係も
まさにこれだなと思う。

例えば
いつも何度でもボクのコンサートに
来て下さるお客様がいらっしゃる。
あるいは、
回数は少なくとも新幹線や飛行機に
乗って遠くから来てださるお客様も。
そういう方々は、
ボクらのコンサートのために
莫大な時間を使う。

たくさんのお客様が
ボクらのコンサートのために
時間を使って、
それまで誰も聴いたことのなかった
ボクらの音楽を少しずつ
心身に「なつかせて」くれる。
ボクにとってもそれは
かけがえのないお客様となった。
「地球音楽」という、ほかのどこにもない
音楽でなければ、あり得なかった
「なつき」「なつかせる」
相互に対等な関係に育っていった。

短い曲のスコアでも、ボクは
書き始めて最低3日間かかる。
長いと実質10日。
構想時点からだと数か月かかる。

大前恵子さんから
スコットランド民謡
《ロッホ・ローモンド》の
訳詞を頼まれて、150字を書くのに
2年かかったこともある。

ボクはボクで、自分の楽器以外の特性を
少しずつ知り、
その楽器が活躍するような工夫をしながら
五線紙におたまじゃくしを書いていく。
才能のないボクはボクなりに
これには何千時間も費やした。

そのように時間をかけて、
歌詞や楽譜を書く。
それは、自分にはできないことを
してくれる人との相互依存の関係でしか
生きられないことがわかっているから。
時間をかけて
歌詞を書くこと、
楽譜を書くことで、
才能のないボクが
歌い手やほかの楽器の演奏家に
「なつかせて」もらおうという努力だ。

「八木さんの編曲は今後使えないね」と
プロの作曲家が言った。しかし
同じ楽譜を使っても
奏者や楽器が変わると
生き生きとした音楽に変身することに
気づいた。
面白がって弾くことが「ダメな編曲」を
〈いのち〉あるものにしてくれる。
「これは面白いかも・・・」という
「共感」が音楽を生き生きさせる。


ダライ・ラマ法王はツイッターで
つぶやいた。
「わたしたちは
他人に依存しながら生きる世界に
暮らしています。だからわたしたちは、
他人から必要されること(needs)を
無視しては、
自分の目標の達成を期待できません」

お互いに必要とする
関係性を育む努力こそが
人生では大切だよ、と言っている。

国と国との関係も同じ。
自分の国だけ良ければ、それで良いのか?

日本国憲法の前文にも、これに関して
素晴らしいフレーズがある。
「いづれの国家も、
自国のことのみに専念して
他国を無視しては
ならないのであって・・・」

「関係性を育む」という
この言葉の中に、
より善く生きるコツの
すべてが詰っているような気がする。

『星の王子さま』のサン=テグジュペリと
ダライ・ラマ法王14世の哲学は
ほとんど同じように思う。
憲法の精神にも通じている。

クローバーこのブログを訪ねて下さった方々が
幸運に恵まれますように、祈っています虹ドキドキ



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大前恵子×木星音楽団 セカンド・アルバム
鳥たちの詩、海の詩

1.くじらの子守歌  
 小笠原育美・作曲/相馬邦子・編曲
2.海はふるさと【大海啊故郷】
 王立平・作詞作曲/やぎりん訳詞
3.浜辺の歌
 林古渓・作詞/成田為三・作曲
4.アメイジング・グレイス
 英国賛美歌
5.ロッホ・ローモンド
 スコットランド民謡/相馬邦子・編曲/やぎりん訳詞
6.ふるさとのナナカマド
 スコットランド民謡/相馬邦子・編曲/やぎりん訳詞
7.聖母の御子
 カタルーニャ民謡
8.鳥の歌
 カタルーニャ民謡/やぎりん訳詞
9.つばめよ
 ナルシソ・セラデル・セビージャ作詞作曲/やぎりん訳詞
10.海はふるさと【大海啊故郷】
 王立平・作曲(インストゥルメンタル)
2017年8月25日
東京文化会館小ホールでのライヴ録音
11. 童神(わらびがみ)
 古謝美佐子・作詞/佐原一哉・作曲
12. コンドルは飛んで行く
 ダニエル・アロミーア・ロブレス作曲/やぎりん作詞

歌:大前恵子
演奏:木星音楽団
 小野美穂子【箏:十七絃/十八絃】  
 藤枝貴子【アルパ】
 三塚幸彦【尺八】  
 八木倫明【ケーナとナイ】
ゲスト
金亜軍【揚琴】 
古谷真未【チェロ】
★定価¥2600(+税)
★通販価格¥2980(送料¥180込み)
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★いちよ・たかこ・やぎりんトリオ♪You Tube
ファーストアルバム(ゲスト・チェロ:古谷真未)より
思い出のサリーガーデン/人生よ、ありがとう
https://youtu.be/RxF1mzIoygs


★木星音楽団 東京文化会館公演 動画(2016年)
思い出のサリーガーデン+広い河の岸辺(女声合唱)
http://amba.to/2e9ULJR

★木星音楽団 東京文化会館公演 動画(2016年)
つばめよ〜ジュピター(+アンコール)
http://amba.to/2dNgJWW


★木星音楽団 東京文化会館公演動画(2013年)
http://youtu.be/GQAou2lVXok


★たかこ・やぎりんバンド♪at 東京文化会館
♪アマポーラ
http://youtu.be/zjBvrH7KN6Y


尺八、箏、ケーナ、アルパによる国境なき楽団
木星音楽団×大前恵子 地球音楽会
古今東西森羅万象生演奏
2018年 7月26日(木)午後1:30開演
(3:00終演予定)
名古屋 宗次ホール
★4月22日発売
◎料金(自由席)¥2000
●お申込み
(052)265-1718
宗次ホールチケットセンター


尺八、箏、ケーナ、アルパによる国境なき楽団
木星音楽団×大前恵子 第11回地球音楽会
古今東西森羅万象生演奏
2018年 8月4日(土)
午後2:00開演(4:00終演予定)
東京文化会館小ホール(上野駅公演口前)
◎料金(全席指定)
一般¥4000
学生¥1000(P列以後)
(学生券は、Ro-Onチケット
地球音楽工房のみで取り扱い)
●お申込み
地球音楽工房(やぎりん)
080-5379-4929
地球音楽工房FAX
(03)6759-3297
【メール】yagirin88@gmail.com
(地球音楽工房/やぎりん)


木星音楽団 長井公演
広い河の岸辺コンサート
2018年9月29日(土)4:00
タスパークホテル コンベンションホール
●料金(全自由席)
一般前売¥2000(当日¥2500)
大学生¥1000 小中高生¥100
●実行委員会事務局/お問合せ 八木文明
【電話】090-4230-8819
happa-fy@dewa.or.jp


やぎりんトリオ・ケルティカ
滝乃川学園 石井亮一・筆子記念館講堂
チャリティコンサート
2018年
10月8日(月)体育の日 午後2:00開演
社会福祉法人
滝乃川学園記念館講堂
定員100人(国指定登録有形文化財)
●公演開催協力券
前売料金(全自由席)
一般¥3000 (当日¥3500)
会員¥2500(手紙届いた方々)
学生¥500
●お申込み(主催)
地球音楽工房
【電話】080-5379-4929
【FAX】(03)6759-3297
yagirin88@gmail.com

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この歌は今後50年、
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ドキドキやぎりんBOOK『広い河の岸辺』
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コンドル合唱譜混声
やぎりん作詞《コンドルは飛んで行く》
やぎりん訳詞《つばめよ》
吉田桂子 編曲
合唱譜が出版されました。
女声三部/混声三部の2種類。
それぞれに、易しい二部合唱の楽譜も
収録されています。
¥1300(+税)全音楽譜出版社


合唱譜女声
ドキドキやぎりん監修の合唱譜が発売(全音楽譜出版社)。
小川類・編曲
☆女声三部/二部
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《広い河の岸辺》(スコットランド民謡)
《思い出のサリーガーデン》(アイルランド民謡)

2曲セット。
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ジャケ写
いちよ・たかこ・やぎりんトリオ♪
+ゲスト・チェロ 古谷真未
アルバム『いのちと平和の音源』
¥2800(+税)通販価格¥3000(すべて込み)

収録曲(★歌入り/☆チェロ入り)
1.愛は花、君はその種子(たね)
  (A.マックブルーム)[高畑勲 訳詞] ★☆
2.黄色い村の門(アイルランド民謡)☆
3.思い出のサリーガーデン
(アイルランド民謡/やぎりん 訳詞)★☆
4.白鳥の停車場(藤平慎太郎)☆
5.ラ・サンドゥンガ
  (メキシコ民謡/やぎりん 日本語詞)★
6.君の影になりたい【アルパ・ソロ】
7.ラピュタ・シチリアーナ
  (イタリア・ルネサンス〜久石譲) ☆
8.よろこびのうた
 (メキシコ民謡/枝元一代ほか 日本語詞)★
9.童神【わらびがみ】
  (佐原一哉/古謝美佐子・作詞)★
10. 蕾【つぼみ】(小渕健太郎)【アルパ・ソロ】
11. チョグイ鳥(パラグアイ民謡)
12. 広い河の岸辺
  (スコットランド民謡/やぎりん 訳詞)★☆
13. コンドルは飛んで行く(D.A.ロブレス)☆
14. 人生よ、ありがとう
  (ビオレータ・パラ/やぎりん 訳詞)★☆
15. 島唄(宮沢和史)★☆


木星CDジャケット
木星音楽団アルバム
Winds & Strings
湯川れい子さん推薦メッセージ
和楽器とラテン楽器による、
実にユニークで魅力的な異文化四重奏団だ。
でも異文化というより、
むしろどこか大昔に
深くつながっていた音と文化だ!
という確信に近い懐かしさであり、
新鮮なアイデンティティの再発見なのだ。
そう、ひょっとしたらこれは、蒙古斑まで遡る、
とんでもなく壮大なロマンかもしれない。
 
   湯川れい子(音楽評論・作詞)
¥2800(+税)通販価格¥3000(すべて込み)

木星音楽団
箏:小野美穂子/アルパ:藤枝貴子 
尺八:三塚幸彦/ケーナとナイ:八木倫明 
1.木星【ジュピター】
2.北飛行(小野美穂子オリジナル)
3.涙そうそう
4.少年時代 
5.アルパ協奏曲《鐘つき鳥》 
6.オリーブの首飾り 
7.コーヒー・ルンバ  
8.芭蕉布 
9.引き潮 
10. イエスタデイ 
11. 明日 
12. 江差(三塚幸彦オリジナル) 
13. 月の沙漠 幻想 
14. 砂山 
15. 雪(三塚幸彦オリジナル)


完成した絵本表紙
ドキドキ葉祥明さんの絵本(文:八木倫明)
『ひろいかわのきしべ』(国土社)
発売しました!!


絵本『ひろいかわのきしべ』推薦文の
帯付きは初版のみです。
クミコさんと湯川れい子さんの言葉が
載っています。

ドキドキクミコさん
いま世界にあってほしいと思うものが
この絵本の中にあります。それは
暗い空をてらす、希望の光です。

ドキドキ湯川れい子さん
この歌は、これからの時代に愛され、
その時代を踏み越えて、
未来に継承されていくと信じています。


クミコジャケ写
合唱のスコアもついた
《広い河の岸辺》CD
You Tubeには載っていない合唱バージョンが
このCDには収録されています。
女声合唱団「青い鳥」が素晴らしい演奏をしています。

★台湾に広がる《広い河の岸辺》
http://amba.to/1z1p6NO


★《広い河の岸辺》の本質
『小さな死』からの出発。
http://amba.to/1oBdnE3


★地球人が渡るべき河のこと
http://amba.to/1t0E3O6

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「なにも知らない。なにもできない。
なにもない。
なのに、なにかを求めている。
自分の微力は、よく承知している。 
とるに足りない才能についても自覚している。

でも、せっかく生まれて来たのだから
感動したい。共鳴したい。
おなじ心のひとに会いたい。

それがせめて
みじかい生命の軌跡の中で
ぼくらが望むものではないか。

ところであなたは・・・。


★『詩とメルヘン』サンリオ刊
1982年4月号 編集後記 やなせたかし  
◎やなさたかしさんの限りない優しさ
**********************

★音楽、落語、ラジオ、読書。想像力が抗認知症?
http://amba.to/1osUvYd

★エーリッヒ・フロムの愛の論理と音楽