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左が佐々木晃彦さん。
2017年6月。石川真理さんの陶房にて

越生駅からのバス
右が佐々木晃彦さん(文化経済学)
2017年6月。越生駅前にて。


民族楽器によるコンサートは
客席30くらいの
ライヴハウスを会場にするのが一般的だ。
ボクはそれを「外に連れ出す」ために
たくさんの工夫をした。
「外に連れ出す」のはプロとして
やっていくために必要なことだった。
暮らしに困らない演奏家は
そんなことは考えない。
◎◎音楽の専門家という
「既得権」のようなものがあれば、
30人くらい集めるのは難しくない。
それで十分に暮らせる人は、
新しいことは考えなくてよい。

良い音楽だからといって自然に広まる、
というものでもない。
ボクがやっている音楽は、
ほかのどこにもないサウンドだから、
これを「聴きたい人」は最初は誰もいない。

つまり例えば、
アルパとケーナのデュエットを
始めた頃、そういう音楽は、
ボク以外の「場」に
存在していなかった。
存在しない音楽を
「聴きたい」と思う人はいない。
つまり市場は限りなく無に近い。

それをいかに知ってもらい、
存在を認めてもらって、
豊かな市場に育んでいくか、ということが
音楽におけるマーケティングだ。
市場を耕して、種をまく仕事。
聴きたい人を増やす仕事。
商品の場合は
「販売戦略」なんて言われることもある。

音楽におけるマーケティングを、
ボクが意識して言語化して
まとめて書いたことはなかったと思う。
しかし、
とりあえずは商学部を出ているので、
日本フィル時代には、どのようにしたら
日本フィルファンの市場を豊かにできるか?
ということを、意識的に工夫していた。
例えば、
チェロの長谷川陽子さんを
高校2年生でデビューさせたとき。
ギターの村治佳織さんを
中学2年生でデビューさせたとき。
無名の新人をソリストに起用して
それでもチケットが売れるようにするには、
どうしたら良いか?
いつもそんなことを考えて、
チラシや曲目を工夫したり、
指揮者を選んだりした。
チラシの制作では、3月にこのブログで
紹介したグラフィックデザイナー
水谷武司さんが才能を十二分に
発揮して下さった。


《広い河の岸辺》を訳した2010年元日。
この歌は必ず日本で広まる!と確信したのは、
原曲 The Water Is Wide が
世界でどんなふうに受け入れられているのかを
十分に調べたから。
市場調査(マーケティング)をして、
科学的に推論して
《広い河の岸辺》が
必ず広まることを確信した。
あとは、誰がどのように世に出すか?
ということだけ。

The Water Is Wide のYoutube動画が
2010年元日現在「10000件以上」あった。
この当時のGoogle検索機能では
10000件以上の動画が載っている場合には
具体的な数字は出せなくて
「10000件以上」と表示された。

民謡ではおそらく世界最高。
(今では1000万件くらいと千倍にもなった)
匹敵するのは
Amazing Grace くらい。
Amazing Grace は作曲者不明だが
作詞は、ジョン・ニュートンという
牧師であることがはっきりしている。
作詞作曲者不明の歌を
純粋な「民謡」と呼ぶとすれば、
The Water Is Wide 以上に動画が多い
民謡はなかった。
つまり
「世界一の大ヒット民謡」だという確信。

比較したのは
日本人なら誰でも知っているペルーの曲で
《コンドルは飛んで行く》。スペイン語で
El condor pasa は、その当時の動画数は
6400件だった。
日本で超有名な「民謡的な」名曲の
2倍近い人気を
The Water Is Wide が誇っていた。

「ちゃんと訳したら、きっと広まる」と
思ったのは、
このような
市場調査(マーケティング)をしたから。
300年以上愛唱されてきた希有の歌には、
特別な力がある。
原歌詞の意味に沿って訳したら、
時代や異文化を超えて、
日本人にも受け入れられるはず。

インターネットのおかげで
われながら科学的なマーケティングを
したと思う。
その後、クミコさんに唄ってもらうことに
なるまでは、試行錯誤的な
市場調査がさらに続くのだが・・・

2010年のある日、
《広い河の岸辺》と
《コンドルは飛んで行く》の2曲を
自分の演奏として初めて
Youtubeに載せた。
《コンドルは飛んで行く》のほうが
圧倒的にアクセス数が多かった。
それは
有名菓子メーカーのCM音楽にも
3年間採用された。

しかし、いつか必ず
《広い河の岸辺》のアクセス数が
《コンドルは飛んで行く》を超えるときが
来るだろうと確信していた。
アップしてから4年後の
2014年秋に、それは予想通り逆転した。


文化経済学の佐々木晃彦先生が
「マーケティング・マネジメント」という
言葉を使ってエッセイを書かれた。
直訳で「市場活動管理」。
ボクなら
「市場活性化作戦」とでも訳すかな。

佐々木先生はコンサートという芸術の
二つの特性を語る。

決められた時間・場所に行かなければ
サービスを享受できない
★「時間空間の特定性」

演じる側だけでは成立しない
★「非自存性」
つまり聴衆がいなければ、
(演奏者自身だけでは)成り立たない。

佐々木先生は、
この特性を満たすために
マーケティング・マネジメントが必要だと。
マーケティング・マネジメントのABCD。

Aアフターサービス(顧客管理)
Bビフォーサービス(練り上げられた企画)
Cコミュニケーション(聴衆との意思確認)
Dディベロップメント(需要創出)

この中で
最初に取り組んだのは「B」
どの曲をどんなアレンジで演奏すれば、
ここでしか聴けないユニークで
「また聴きたい」音楽、
心豊かになるコンサートとなるか。
海外の名歌の中で、どれを選曲し
どんな訳詞で世に出すか?
今の時代に合うテーマ性をどのように
打ち出すのか?
企画の内容を練りに練る。

チケット発売のときには全体の企画の
4分の3以上は決めて、
チラシに載せる。
何をやるのかわかっているほうが、
やぎりんバンドを知らない人でも
ある程度安心して買って下さる。
買って下さる方々の不安を
解消しなくてはならない。

名前だけで集客できる有名人以外は、
魅力的な企画を具体的に発しなくては、
チケットは買ってもらえない。

次に「D」
需要の創造。
やぎりん以前に存在しなかった
パラグアイのアルパと
アンデスのケーナのデュエット音楽が、
面白いことを知ってもらう努力。
「こういう音楽を聴きたかった」と
想像してもらえるようなチラシを創る。
それには「B」(企画)の工夫が大事。
そして
「また聴きたい」と思う人を生み出す
演奏とMC。
「また聴きたい人」と出会うこと。
それが「需要」の創造(創出)。

次に「C」
コミュニケーション。
お客様の拍手、
終演後の笑顔(または泣き顔)の様子、
アンケート、お手紙、メールなどから、
お客様が何をどう感じているのか分析する。
お手紙やメールには必ず返事を書く。

次に「A」
アフターサービス。
アンケートを書いて下さったお客様には
次の案内を送る。
出来れば、その前にお礼状を書く。

こんなふうにボクは
ABCDを実践してきた。

こうして自分がしてきたことを
文化経済学の論理で改めて考えてみるのは
興味深い。
アカデミックな理論通りにやってきた
ことを確認した。
そこに自分なりの工夫は必要だけどね。

成功にも失敗にも
ちゃんと理由(わけ)がある。
中でも失敗は大事。
集客の失敗は、即 経済的失敗になる。
生活の危機でもある。
破産宣告を考えたこともある。
今でもいつも背水の陣。
背後には「広い河」がある(笑)。
渡る方法をいつも考え、
小舟を探している。

経済的失敗を
単なる失敗に終わらせない工夫が大切だ。
失敗を怖がらない。
失敗から学ぶ。
失敗をプラスの出来事に転換する。

空席の多いコンサートに招待したお客様が
絵本やCDを買ってくれる。
招待をきっかけに
「追っかけ」的なファンになる人もいる。
赤字でも悪いことばかりじゃない。
良いと思ったことに向かって
失敗を重ねた先に成功がある。

クローバーこのブログを訪ねて下さった方々が
幸運に恵まれますように、祈っています虹ドキドキ



大好評♪ 絶賛出版♪
やぎりん(文)+小澤一雄(絵)
絵本『わくわくオーケストラ 楽器物語』
(ポトス出版)¥1800(+税)



大前恵子×木星音楽団 セカンド・アルバム
鳥たちの詩、海の詩

1.くじらの子守歌  
 小笠原育美・作曲/相馬邦子・編曲
2.海はふるさと【大海啊故郷】
 王立平・作詞作曲/やぎりん訳詞
3.浜辺の歌
 林古渓・作詞/成田為三・作曲
4.アメイジング・グレイス
 英国賛美歌
5.ロッホ・ローモンド
 スコットランド民謡/相馬邦子・編曲/やぎりん訳詞
6.ふるさとのナナカマド
 スコットランド民謡/相馬邦子・編曲/やぎりん訳詞
7.聖母の御子
 カタルーニャ民謡
8.鳥の歌
 カタルーニャ民謡/やぎりん訳詞
9.つばめよ
 ナルシソ・セラデル・セビージャ作詞作曲/やぎりん訳詞
10.海はふるさと【大海啊故郷】
 王立平・作曲(インストゥルメンタル)
2017年8月25日
東京文化会館小ホールでのライヴ録音
11. 童神(わらびがみ)
 古謝美佐子・作詞/佐原一哉・作曲
12. コンドルは飛んで行く
 ダニエル・アロミーア・ロブレス作曲/やぎりん作詞

歌:大前恵子
演奏:木星音楽団
 小野美穂子【箏:十七絃/十八絃】  
 藤枝貴子【アルパ】
 三塚幸彦【尺八】  
 八木倫明【ケーナとナイ】
ゲスト
金亜軍【揚琴】 
古谷真未【チェロ】
★定価¥2600(+税)
★通販価格¥2980(送料¥180込み)
*******************

★いちよ・たかこ・やぎりんトリオ♪You Tube
ファーストアルバム(ゲスト・チェロ:古谷真未)より
思い出のサリーガーデン/人生よ、ありがとう
https://youtu.be/RxF1mzIoygs


★木星音楽団 東京文化会館公演 動画(2016年)
思い出のサリーガーデン+広い河の岸辺(女声合唱)
http://amba.to/2e9ULJR

★木星音楽団 東京文化会館公演 動画(2016年)
つばめよ〜ジュピター(+アンコール)
http://amba.to/2dNgJWW


★木星音楽団 東京文化会館公演動画(2013年)
http://youtu.be/GQAou2lVXok


★たかこ・やぎりんバンド♪at 東京文化会館
♪アマポーラ
http://youtu.be/zjBvrH7KN6Y



ケーナ×チェロ×アルパ×ギター=自由4人組
やぎりんカルテート・リベルタ新緑のコンサート
2018年6月8日(金)
◎昼の部午後2:00開演
1:30開場/4:00終演
★夜の部午後6:30開演
6:00開場/8:30終演
東京オペラシティ3階
近江楽堂(おうみがくどう)【定員120人】
京王新線初台駅下車すぐ。●カトリックの
礼拝堂を模した素晴らしい音響のホール。

料金(全自由席) 一般¥3500/学生¥1000
●お申込み:やぎりん
(03)6759-3297 TEL&FAX
080-5379-4929
yagirin88@gmail.com


尺八、箏、ケーナ、アルパによる国境なき楽団
木星音楽団+大前恵子
那須野が原 地球音楽会

2018年 7月7日(土)
午後2:00開演(4:00終演)
那須野が原ハーモニーホール大ホール
◎料金(全自由席・前売)
一般¥2000
学生¥500
●お申込み
地球音楽工房(やぎりん)
080-5379-4929
yagirin88@gmail.com
(地球音楽工房/やぎりん)


尺八、箏、ケーナ、アルパによる国境なき楽団
木星音楽団×大前恵子 地球音楽会
古今東西森羅万象生演奏
2018年 7月26日(木)午後1:30開演
(3:00終演予定)
名古屋 宗次ホール
★4月22日発売
◎料金(自由席)¥2000
●お申込み
(052)265-1718
宗次ホールチケットセンター


尺八、箏、ケーナ、アルパによる国境なき楽団
木星音楽団×大前恵子 第11回地球音楽会
古今東西森羅万象生演奏
2018年 8月4日(土)
午後2:00開演(4:00終演予定)
東京文化会館小ホール(上野駅公演口前)
4月2日発売
◎料金(全席指定)
一般¥4000
学生¥1000(P列以後)
(学生券は、Ro-Onチケット
地球音楽工房のみで取り扱い)
●お申込み
地球音楽工房(やぎりん)
080-5379-4929
地球音楽工房FAX
(03)6759-3297
【メール】yagirin88@gmail.com
(地球音楽工房/やぎりん)

◎エッセイ『広い河の岸辺』
大変好評で、販売中ですドキドキ


クローバー必然と偶然が時を得て生み出した、
大いなる奇跡!
この歌は今後50年、
100年と歌い継がれて
日本の歴史に残るでしょう。
         湯川れい子

本の表紙
ドキドキやぎりんBOOK『広い河の岸辺』
(主婦と生活社)発売しました!!¥1000+消費税

コンドル合唱譜混声
やぎりん作詞《コンドルは飛んで行く》
やぎりん訳詞《つばめよ》
吉田桂子 編曲
合唱譜が出版されました。
女声三部/混声三部の2種類。
それぞれに、易しい二部合唱の楽譜も
収録されています。
¥1300(+税)全音楽譜出版社


合唱譜女声
ドキドキやぎりん監修の合唱譜が発売(全音楽譜出版社)。
小川類・編曲
☆女声三部/二部
★☆混声三部/二部

《広い河の岸辺》(スコットランド民謡)
《思い出のサリーガーデン》(アイルランド民謡)

2曲セット。
定価¥1200(+消費税)


ジャケ写
いちよ・たかこ・やぎりんトリオ♪
+ゲスト・チェロ 古谷真未
アルバム『いのちと平和の音源』
¥2800(+税)通販価格¥3000(すべて込み)

収録曲(★歌入り/☆チェロ入り)
1.愛は花、君はその種子(たね)
  (A.マックブルーム)[高畑勲 訳詞] ★☆
2.黄色い村の門(アイルランド民謡)☆
3.思い出のサリーガーデン
(アイルランド民謡/やぎりん 訳詞)★☆
4.白鳥の停車場(藤平慎太郎)☆
5.ラ・サンドゥンガ
  (メキシコ民謡/やぎりん 日本語詞)★
6.君の影になりたい【アルパ・ソロ】
7.ラピュタ・シチリアーナ
  (イタリア・ルネサンス〜久石譲) ☆
8.よろこびのうた
 (メキシコ民謡/枝元一代ほか 日本語詞)★
9.童神【わらびがみ】
  (佐原一哉/古謝美佐子・作詞)★
10. 蕾【つぼみ】(小渕健太郎)【アルパ・ソロ】
11. チョグイ鳥(パラグアイ民謡)
12. 広い河の岸辺
  (スコットランド民謡/やぎりん 訳詞)★☆
13. コンドルは飛んで行く(D.A.ロブレス)☆
14. 人生よ、ありがとう
  (ビオレータ・パラ/やぎりん 訳詞)★☆
15. 島唄(宮沢和史)★☆


木星CDジャケット
木星音楽団アルバム
Winds & Strings
湯川れい子さん推薦メッセージ
和楽器とラテン楽器による、
実にユニークで魅力的な異文化四重奏団だ。
でも異文化というより、
むしろどこか大昔に
深くつながっていた音と文化だ!
という確信に近い懐かしさであり、
新鮮なアイデンティティの再発見なのだ。
そう、ひょっとしたらこれは、蒙古斑まで遡る、
とんでもなく壮大なロマンかもしれない。
 
   湯川れい子(音楽評論・作詞)
¥2800(+税)通販価格¥3000(すべて込み)

木星音楽団
箏:小野美穂子/アルパ:藤枝貴子 
尺八:三塚幸彦/ケーナとナイ:八木倫明 
1.木星【ジュピター】
2.北飛行(小野美穂子オリジナル)
3.涙そうそう
4.少年時代 
5.アルパ協奏曲《鐘つき鳥》 
6.オリーブの首飾り 
7.コーヒー・ルンバ  
8.芭蕉布 
9.引き潮 
10. イエスタデイ 
11. 明日 
12. 江差(三塚幸彦オリジナル) 
13. 月の沙漠 幻想 
14. 砂山 
15. 雪(三塚幸彦オリジナル)


完成した絵本表紙
ドキドキ葉祥明さんの絵本(文:八木倫明)
『ひろいかわのきしべ』(国土社)
発売しました!!


絵本『ひろいかわのきしべ』推薦文の
帯付きは初版のみです。
クミコさんと湯川れい子さんの言葉が
載っています。

ドキドキクミコさん
いま世界にあってほしいと思うものが
この絵本の中にあります。それは
暗い空をてらす、希望の光です。

ドキドキ湯川れい子さん
この歌は、これからの時代に愛され、
その時代を踏み越えて、
未来に継承されていくと信じています。


クミコジャケ写
合唱のスコアもついた
《広い河の岸辺》CD
You Tubeには載っていない合唱バージョンが
このCDには収録されています。
女声合唱団「青い鳥」が素晴らしい演奏をしています。

★台湾に広がる《広い河の岸辺》
http://amba.to/1z1p6NO


★《広い河の岸辺》の本質
『小さな死』からの出発。
http://amba.to/1oBdnE3


★地球人が渡るべき河のこと
http://amba.to/1t0E3O6

***********************

「なにも知らない。なにもできない。
なにもない。
なのに、なにかを求めている。
自分の微力は、よく承知している。 
とるに足りない才能についても自覚している。

でも、せっかく生まれて来たのだから
感動したい。共鳴したい。
おなじ心のひとに会いたい。

それがせめて
みじかい生命の軌跡の中で
ぼくらが望むものではないか。

ところであなたは・・・。


★『詩とメルヘン』サンリオ刊
1982年4月号 編集後記 やなせたかし  
◎やなさたかしさんの限りない優しさ
**********************

★音楽、落語、ラジオ、読書。想像力が抗認知症?
http://amba.to/1osUvYd

★エーリッヒ・フロムの愛の論理と音楽