今日の音楽感傷(672) ドイツ歌曲との再会_美しき水車小屋の娘 | DrOgriのブログ

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おやじが暇にまかせて勝手なことを書くブログです。日々の雑記や感想にすぎません。ちらっとでものぞいてくだされば幸せです。

吉祥寺の「バロック」もそうですが、名曲喫茶というものはありがたいもので、自分ではとても手に入らないようなディスクを聴かせてくれます。直前の記事で紹介したメンゲルベルクのヴィヴァルディはそんな例です。

 

 

もちろん、定番の再発見なんてこともあります。

ヴィヴァルディを聴いたあと、つぎにかかったのはシューベルトの歌曲集「美しき水車小屋の娘」でした。

演奏はディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)、ジェラルド・ムーア(ピアノ)。

まさに定番中の定番。

自分のリクエストが終わったのに、帰りそびれました。

そして、聴き入ってしまいました。

実のところ、「美しき水車小屋の娘」を通して聴いたのは初めてかもしれません。

全20曲あります(ヴィルヘルム・ミュラーの詩による)。

なかでも私の好きなのは、前半の「水車(粉ひき)職人の花(Des Müllers Blumen)」(9番)と「涙の雨(Tränenregen)」(10番)

 

 

 

 

まだの恋初めたころの瑞々しい憧れが歌われます。

でも、雨が娘との間に割って入るのです。

 

<Nr. 9>

Und wenn sie tät die Äuglein zu
Und schläft in süßer, süßer Ruh,
Dann lispelt als ein Traumgesicht
Ihr zu: Vergiß, vergiß mein nicht!
Das ist es, was ich meine.

そして、彼女が目を閉じて

やさしい安らぎのうちに眠るとき

(あの花は)夢に姿を変えてささやくんだ。

「忘れないで僕を」

これが僕の気持ちなんだ。

 

<Nr.10>

Sie sprach: Es kommt ein Regen, 
Ade, ich geh nach Haus.

彼女はこう言った:雨が降ってきたわね

さよなら、家に帰るわ。

 

恋のライバルは狩人

小川のささやきに誘われて、若い職人は・・・

(20番「小川の子守歌」)

 

原曲はテノール向け(Nr.1のDas WandernがB Dur)に書かれていますが、歌手の音域に合わせた(A DurとG Durの)版もあるようです。

絶対音感のない私にはフィッシャー=ディースカウがどのキーで歌っているかわからないですが、彼の高音域は本当に美しいです。R音とか、憧れます。特に低地ドイツ語の喉奥のRはかっこいいです(巻き舌ではありません)。ドイツ語の歌っていいですね。

 

枯れてしまったオヤジですが、甘くて苦い青春の思い出が蘇ってきました。

名曲喫茶に感謝。

 

リートではないですが、ドイツ語の詩についての雑文です。

読み歩き、食べ歩き、一人歩き(1024) 詩も音楽も、理想は自然に還ること、でも・・・