溜まりに溜まっている患者さんアンケート。
やっと2023年分に突入しました。
アンケート記事は患者さんたちが楽しみにされていて、週に1回は掲載して欲しいと熱烈リクエストを頂いています。
ただカルテを確認しながらでないと記事を書けないため休日は難しい
週に1回が限界かな
頑張ってご紹介しますので楽しみに待ってて下さいね。
今日ご紹介する患者さんは30代女性。
繰り返す切れ痔に悩み遠方から受診されました。
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この患者さんは分娩時の会陰裂傷で肛門括約筋を縫ったせいで切れ痔が治らないと思い込んでおられたのですが、もしも会陰裂傷のせいなら肛門のしまりがゆるくなって便が漏れるようになるのです。
切れるのとは逆の現象ですね。
むしろ切れ痔を繰り返したせいで少し肛門がつっぱるようになっていました。
ちゃんと地元の専門医にかかっておられたのですが、標準治療で出される薬はだいたい同じ。
マグミットなどの便をやわらかくする酸化マグネシウム系の軟便剤とヘモポリゾン軟膏などの肛門に注入する痔疾薬です。
一旦治るけどまた切れるの繰り返し。
2週間に1回切れる。
ずっと定期的に通院しているのに治らない。
食後に下腹部がギュルギュルして出そうになるけど出ない、お尻が重い。
通院しても治らないから試しに別の病院(専門外)を受診。
そこで出されたのはステロイド入りの注入軟膏。
ステロイドが入っている軟膏は使うと一時的に症状が改善する。
ちょっと調子よくなっていたけれど激しく切れて元の専門医の病院へ。
マグミットを飲んだり飲まなかったりするのが良くないのかも・・・ということで増量。
通院しているのに激しく切れ、見張りイボが大きく腫れ、今までの痛みレベルを超える痛みに
生理みたいな血の量にも恐怖を覚え受診されました。
診察するとマグミットがよ〜く効いた軟便が充満しています。
排便があったのに・・・です。
ウォシュレットは使っておられませんでしたが、何度拭いても紙に便が付くので6〜10回拭いておられたせいでしょうか。
肛門周囲の皮膚が拭きすぎで荒れていました。
坐剤を入れて便を出したのですが全然スッキリ出し切れておらず、結局浣腸をして全部出し切れました。
便まみれの肛門にどんな薬を使っても効きません。
当然、傷も便まみれ
治るわけがありません
まずは便を肛門からどけてあげること。
ちゃんと便を出し切って空っぽにするだけで注入軟膏を使わなくても治ることが多いです。
そして酸化マグネシウムは「やわらかい便を作る薬」であって決して「便を出す薬」ではありません。
これから作られる便には効きますが、既に出来上がって肛門付近までおりてきている便や、ましてや出し残した出残り便には効きません。
便秘は出口で起きているのに、腸に効くモノを飲んでも解決しないのです。
また困ったことに酸化マグネシウムを飲むと「ねちょっとしたやわらかい便」になるため、かえって肛門に残りやすく傷にも入り込みやすいです。
酸化マグネシウムのせいで切れ痔を悪化させている人を大勢診ていますのでご注意を。
そして軟便ばかり出していると肛門がどんどん狭くなっていきます。
そうなると肛門を拡げないと切れ痔(裂肛)は治りません。
治療も大変になりますので安易に酸化マグネシウムに手を出すのは危険。
腸はちゃんと動いて便を作り、肛門まで運んでくれているのに、出来上がった完成品である便を出す過程でつまずいた。
だからつまずいた場所でトラブルが起きたわけです。
痔という病気は出口の排泄がうまくできてない人がなる病気。
問題は出口の肛門で起こっているのに、腸に効くモノを飲んでも治りません。
軟便の人は勇気を出して酸化マグネシウムを止めることです。
ちょっと痛いけど、しっかりとした形のある便、歯みがき粉よりも硬めで、便器の水が濁らない便を出すようにしましょう。
そのほうがスッキリ出やすく傷も治りやすい。
肛門も拡がる。
そんな説明を切れ痔(裂肛)の患者さんにしています。
結局、治療はシンプルなんです。
毎日坐剤を入れる。
肛門の中と外にSザルベを塗る。
それだけ。
注入軟膏は滅多に出さないです。
薬も何も入っていない手作り軟膏「Sザルベ」だけでほとんどの切れ痔(裂肛)が治ります。
薬で治るんじゃなくて、便をちゃんと出すことで治るんです。
初診で来られた患者さんには2〜3週間後に来てもらっていますが、肛門が狭くない限り2回目の通院で切れ痔(裂肛)が治り治療が終了しています。
この患者さんも2回目の通院で終了。
ただし切れ痔(裂肛)は治ったけど出口の便秘「出残り便秘」は治っていません。
完治終了ですが排便の管理は患者さんが生活の中で続ける必要があります。
痔は間違った排泄の結果なので、同じ間違いを繰り返せば、また同じ結果が生まれるだけ。
だから診察なしで薬だけ買えるシステムにしています。
再診料も一切いただいておりません。
ただ、診察せずに患者さんに薬を出すことは無診察投薬になるので、どんなに肛門の調子が良くても、年に1回だけ診察を受けてもらっています。
そうです。
年に1回のオシリ検診です。
ちゃんと自己管理ができているかどうかのチェックです。
ちゃんとできていると思っていてもできていない、また悪しき習慣に戻ってしまっている患者さんもおられるので、せめて年に1回くらいは診せてください。
最終受診日から1年過ぎると坐剤やSザルベ、ヌルゼリーなどの薬や院内製剤は出すことができません。
サプリや化粧品、グローブなど、薬ではないものは1年過ぎても出せます。
これは国が決めたルールに則って診療をやっているのでご理解くださいね。
完治終了して年に1回のオシリ検診に来られるかどうかも患者さんの自由です。
痔が治ったら来なくなる患者さんもおられます。
ちゃんと排便管理ができていて何も困ったことがなければいいのです。
うちで治療された患者さんは何をすればいいのかちゃんと分かっておられますから
私に会いたくて年に1回必ず来て下さっている患者さんも大勢おられますが、本来、病院って病気になったら、調子が悪くなったら行く所。
またお目にかからないほうがいい所なんです
だって調子が良かったら患者さん、来ないですから。
調子がいいのに検診で来られている患者さんは「病院を受診する」というよりも「年に1回の検診に行く」という意識で来られています。
まさしく「治療」のために通うのではなく「予防」のために診てもらう。
肛門予防医療センターのようになってきました。
本当はね
痔になる前に来てほしい。
教えてあげたい
正しい排泄
正しく排泄すれば痔という病気にはならないと思っています。
だから普及させたい。
肛門予防医療。
肛門科が「痔になったら行く所」ではなく「痔にならないために行ってみる所」になることを目指して頑張ります。
あと私は先生のハキハキ具合が少し怖くて、質問しずらい感じがあって辛かったです。
これは申し訳なかったです
でも、ハキハキしているのは性格なので・・・うーん、難しいですね
患者さんが質問しやすい雰囲気を作るよう努力します
初診の患者さんには一人1時間くらいかけているので、その中で必要な情報は引き出しているつもりです。
肛門の診察は緊張するので、頭が真っ白になる方も多いです。
緊張される方、言いたいことが言えない方は、あらかじめ相談したいこと、聞きたいことを紙に書いて持って来て下さい
患者さんのリクエストで復活させた
化粧品と発酵素するりの記事は
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