溜まりに溜まっている患者さんのアンケートをご紹介。
今日ご紹介する患者さんは40代女性。
通院しているのに治らない切れ痔に悩み受診されました。
この患者さんのように何軒か病院を受診されてから来られる患者さんが多いです。
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2件、別の病院に通院しましたが、同じ薬を出されて終わる診察でした。
それでも、お尻の調子が変わらず、自分でも納得がいかなかったので、受診することにしました。
病院は明るい雰囲気で、それに女性の日もあり、初めての病院でしたが安心できました。
同じように悩んでおられる方も多いのだなぁと正直ホッとしたところもありました。
丁寧に診察をしていただき、また説明もしてくださり、ありがたかったです。
また家に帰ってから家庭での便通管理をする度に、説明して下さったことと結びついて、とても納得ができました。
だからしっかり続けて行こうと思うことができました。
「排便する時のあの初めの痛みがまた・・・」とゆううつになったり、1日お尻が調子悪いことも感じなかったりと、心が穏やかになりました。
まだ慣れず「痛っ!」と感じた時もありますが、「全部出たら大丈夫」と思えるようになり、毎朝、頑張っています。
もっと早く受診すればよかった。
悩んでいる人に教えたいというのが今の気持ちです。
ありがとうございました。
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この患者さんのように通院しているのに治らない切れ痔に悩んでいる人は大勢いるでしょう。
なぜなら私の外来に来られる切れ痔(裂肛)の患者さんの多くが、あちこちの病院を受診して治療しているのに治らないという理由で来られているからです。
「別の病院に通院しましたが、同じ薬を出されて」とアンケートに書かれているように、切れ痔というと「ボラザG」などの注入軟膏と、便をやわらかくする薬「マグミット」や「酸化マグネシウム」が出されます。
それは医学的には正解です。
それが標準治療だから。
それで治って何も困ったことがないのであれば、わざわざ自由診療の肛門科を受診されないでしょう。
だからうちの診療所に来られる患者さんは保険診療の肛門科を受診して標準治療を受けたけれど治らない、あるいは治ってもまた痔を繰り返すという人がほとんど。
終わらない通院に疑問を持ち受診されます。
このような患者さんには必ず出口の便秘、出残り便秘があります。
毎日排便があっても出し残しているのです。
残った便は時間が経つと直腸から便の水分が再吸収されて、どんどん硬くなっていきます。
翌日には出残り便は硬く古くなって出口を占拠し、そしてその上には今日の出来たてホヤホヤ便が積み上がるという「2段積み」の状態に
毎日排便があるのに「出始めの便が硬い」という現象はこのようにして生じるのです。
出始めの硬い便で肛門が切れ、そして残った便がその傷を汚染する。
傷は便まみれだと治りません。
便で汚染された傷は炎症を起こし、傷の外側に「見張りイボ」と呼ばれる突起物を、傷の内側に「肛門ポリープ」と呼ばれる突起物を作ることもあります。
出された注入軟膏を便まみれの肛門に入れたところで効果半減
そしてマグミットや酸化マグネシウムは出口には効きません。
これから作られる便の材料にはなりますが、既に出来上がって肛門付近まで下りてきている便や、ましてや出し残した出残り便には効かないのです。
だから薬を飲んでいるのに出始めだけは硬かったんです。
だって昨日の出し残しですから・・・
診療所では注入軟膏も酸化マグネシウムも出しません。
ただ便をちゃんと出してもらうだけ。
それだけ。
とても単純なこと。
ちゃんとウンコ出そうよ
それだけなんです。
肛門にウンコ溜めてて完治なし
なので、まずは出す
そこから治療が始まる。
治療の第一歩は正しい排泄からなんです。
正しく排泄するだけで、薬を使わなくても切れ痔は治ります。
そのことにも感動される患者さんが多いです。
だって今まで紙袋一杯の注入軟膏をもらって帰ってきてましたから
薬ではない手作り軟膏を塗ってもらっています。
薬なんて使わなくても切れ痔が治るのだという衝撃と感動。
そして自分が出口の便秘だったという自覚。
治らない切れ痔の患者さんがみんな通る道。
肛門が狭くなければ、切れ痔は2週間で治って完治終了となります。
2回目の通院で治療が終わりますが、切れ痔は治っても出口の便秘は治っていません。
だから患者さんが生活の中で排便管理はずっと続けていく必要があります。
それこそ毎日の歯磨きのように。
入口は歯磨きしたりうがいしたりと何かとケアしていますが、出口は全くノーケアという人が多いです。
痔が治ったあとも、痔が治ったあとこそ、しっかりと正しいケアを続けて下さいね
診療所のセラピードッグ「ラブ」
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