ひどいから手術しかない
そう言われた痔でも、出口の便秘を治したらビックリするくらい症状が無くなることがある。
そんな経験を患者さんのオシリを通して、たくさんさせて頂いています。
今日はそんな患者さんをご紹介。
脱肛で手術を覚悟して受診された50代女性です。
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長年痔の症状で悩んでいました。
何度か病院で診てもらったこともありましたが、どの病院でも手術しかない・・・と。
しかし、特に痛みも無かったことから放置していました。
そのうち、立っていても痔核が出てくるようになりました。
これはもう切るしかないのかな・・・と思い、前からホームページなどで知っていた大阪肛門科診療所さんに診察をお願いしました。
肛門科は毎回緊張してしまうのですが、診察室に入った途端、明るくにこやかなみのり先生の笑顔に出会い、安心しました。
そして、まず驚いたのが、手術をしなくても大丈夫!と言って下さったことです。
特に痛みもなく不都合がないなら切らないで痔核とそのままお付き合いしてもいいんだ・・・と。
出残り便のお話をして下さいました。
目からウロコでした。
すごく納得しました。
若い頃は便秘で悩んでいて・・・その頃からと考えると、もう何十年もおしりを苦しませていたんだな・・・と可哀想に思えてきました。
診察の時に、坐薬と浣腸で出残り便を出していただきました。
おしりがすごく軽くなって驚きました。
頑張ってこの方法で痔と付き合っていこうと思いました。
【治療経過】
治療をはじめて5日目くらいに残便感が気になり、少しトイレで頑張りすぎてしまいました。
切れてしまったのか出血し、かなりヒリヒリジンジンと数時間痛みました。
心配になり、電話で相談させて頂きました。
限界なら手術も・・・と、すぐに予約を入れていただき診察して頂きました。
痔核が萎んでいる・・・というみのり先生の言葉に、こんなに早く効果が出るなんて・・・とても嬉しくなりました。
術後はやはり痛いので、今痛みがないなら無理にしなくても・・・ということで様子をみてみることになりました。
痛かったのはその日だけで、また同じように坐薬を続けていくうちに大丈夫になりました。
【治療が終わって】
治療はまだまだ途中ですが、これからも続けていこうと思います。
手術をしなきゃ治らない・・・と落ち込んでいたここ何十年の自分の心を晴れやかにしてくださいました。
最後の砦といいますか、限界がきたら、その時はみのり先生に手術をお願いしたいと思います。
みのり先生をはじめ看護師さん、受付のみなさん、優しく接して下さりありがとうございました。
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この患者さんのように色々な病院で「手術するしかない」と言われている立派な脱肛でも、痛みや出血などの症状もなく、普通に排便できていて何も不自由を感じていないのであれば、手術せずにいぼ痔(痔核・脱肛)を持っていてもいいのです。
医学的には手術適応でも、患者さんが何も困っていないのであれば、たとえ脱肛があっても手術しなくてもいいのです。
うちの診療所では
患者さんが望まない手術はしない
という方針でずっとやってきました。
どんなに痔がひどくても
どんなに痛そうでも
患者さんが「手術をして治したい」という明確な意思がなければ手術をしません。
自分のオシリのことだもの。
自分で決めて欲しい。
人に勧められて
先生の説明に流されて
何となく受けた手術は後悔を生むことが多いからです。
自分事なのに人のせいにする患者さんもおられます。
自分が治療しないといけないのに「先生がやってよ」という他人任せの患者さんもおられます。
そういう主体性のない患者さんは治療に対する覚悟と責任がないので、治療がうまくいかない事が多いです。
だから
手術に導くような説明もしない
手術も勧めない
医学的にどうなのか
という説明はするけれど、手術を決心するのは患者さん自身。
背中を押すことはあるけれど、誘導するようなことは言わない。
そしてこの患者さんのように出残り便秘を治したら、いぼ痔(痔核・脱肛)が小さくなって脱出していたものが中に入ったり、出てこなくなったりすることが多いのです。
便を出したら別人のオシリになっていることもしばしば。
便という重石(おもし)を取り除いてあげたら、オシリが軽くなっていぼ痔(痔核)が小さくなったり、脱出していたいぼ痔(痔核)がキレイに中に入ってしまうこともたくさん経験している。
だからスグに手術を決めない。
手術という診断を下さない。
排便を直したら出てこなくなるかもしれないから。
もちろん出来てしまったいぼ痔(痔核)という物体は無くなりません。
この患者さんのように時々腫れたり出血したりすることもあるでしょう。
だいたいトイレで頑張りすぎたときにトラブルを起こす方が多いので、トイレの入り方、排便の仕方も大切。
私の本
161ページにも書いていますが
あとちょっと
その踏ん張りが
腫れの元
なので、そこで頑張らずに、診療所の患者さんたちは坐薬を入れて出して下さい。
その方が肛門にかかる負担が少ないです。
また腫れや出血などのトラブルがあった時は、痔疾薬を使って症状を抑えてあげたりして、上手に薬を利用すればいいのです。
強力ポステリザン軟膏やボラザG軟膏などを毎日使用している人がおられますが、こういった薬は症状がある時だけ使って下さいね。
普段、何も症状が無ければ必要ないのです。
そもそも薬です。
毎日使っていいものではありません。
例えば頭痛持ちの人でも、頭が痛いときだけ薬を飲んでいるはず。
頭が痛くもないのに飲みませんよね?
それと同じ。
痔の薬も痛みや腫れ、出血などの症状がある時だけピンポイントで使いましょう。
この患者さんがいつまで、何年、いぼ痔(痔核・脱肛)と付き合って行けるかは分かりません。
立派な脱肛で年に1〜2回腫れたり出血したりするけれど、普段は調子がいいからと、10年以上いぼ痔(痔核・脱肛)と上手に付き合っている患者さんがたくさんおられます。
限界がいつくるのか?
何をもって限界とするのか?
それは患者さんによって様々です。
痛いからって手術するわけでもないし、何も症状がなくてもいぼ痔(痔核・脱肛)とサヨナラしたいから手術をする人もいる。
手術をする理由も人それぞれ。
要するにあなたが手術したい!と思ったときが手術のタイミング。
だから気持ちが固まるまで待っていてもいいんです。
「痔=手術」でも「痔=注射療法」でもありません。
痔の原因となった排便を見直すという治療があることを知って欲しい。
それにね
便通を治さずに手術だけ受けたって、また痔になりますよ
そんな患者さんをたくさん診てますので
何回手術しても同じことです。
だから痔の根本治療は痔の原因となった便通を治すこと。
これに尽きると思っています。
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