「オシリが痛い」という症状で受診される患者さんを診察してみたら、肛門には何も異常がない・・・ということが時々あります。
切れているわけでもない
いぼ痔(痔核・脱肛)もない
肛門も狭くない
痔は何もないのです。
便通もよくスッキリ排泄できている患者さんはウォシュレットを使ったことがないと言われることも・・・。
だから肛門周囲の皮膚も荒れていません。
とてもキレイです。
なのにオシリが痛い・・・。
よーく話を聞いてみると、
排便の時は痛くない
排便とは関係なく痛い
そして痛みのある場所を診察で尋ねると肛門ではなく、肛門のもっと奥の方だったり、肛門ですらなくて、臀部の痛みを訴える患者さんがおられます。
中には色々な肛門科を転々として「直腸肛門痛」と診断されている患者さんもおられます。
治療したけれど良くならない
便通を治しても変わらない
夜寝ている時に痛くなったり、座っていると奥の方がツーンと痛くなったり、重だるいような痛みがきたり・・・と、患者さんによって訴える症状は若干違うのですが、共通していることは「肛門に異常がない」「痔がない」ということ。
このような患者さんは腰痛持ちの人が多く、中には腰椎ヘルニアなどの腰の疾患がある人も。
もしかしてオシリの痛みは腰からきているかもしれない・・・と、腰の治療をしてもらったところ・・・
なんと
オシリの痛みが無くなってしまったんです
腰を治したらオシリの痛みが無くなるってどういうことと思われている方もおられると思いますので説明しましょう。
腰(腰椎)の隙間(椎間)からは様々な神経が出てきて肛門や臀部、外陰部に分布しています。
この椎間が狭くなると神経が圧迫されて神経痛が引き起こされることは広く知られています。
坐骨神経痛は有名ですよね。
椎間から出ている神経は坐骨神経以外にも、こんなにたくさんあるのです。
どの部分が圧迫されるかで痛みを生じる部分が違うワケです。
実際、「オシリが痛い」と訴えた患者さんの痛みの部位は臀部や太ももの裏側、外陰部など様々で、どの部分の椎間が圧迫されているかが違いました。
そして腰を治したら肛門の痛みが消失するという結果に。
こんなことってあるんだぁ・・・と私も驚きでした。
「オシリが痛い」からと「オシリが悪い」わけじゃないという意外な事実。
転々と色々な肛門科を受診されている患者さんの中には「痔は無い。肛門に異常は無い。あなたの気のせいだ。精神的な問題。」と言われ、心療内科や精神科を紹介されていた患者さんもおられ、ひどく落ち込んで悩んでいた方もおられました。
自分が分からないこと、自分じゃ治せないことがあると、医者はとかく患者さんのせいにしがち。
ふとした医者の言葉が患者さんを深く傷付けることがあることを私も肝に銘じて診察したいと思います。
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