「出口が硬い便の対策はどうしたらいいでしょうか?」という相談 | みのり先生の診察室

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5万人以上の「オシリ」を診察してきた
肛門科専門医の女医がつづる
お尻で悩める人へのメッセージ

診療所の問い合わせフォームに患者さんではない一般の方から届く相談メール。

 

 

基本的にメールや電話相談で診断も治療もできませんので、最終的には受診をして頂くしかないのですが、それも出来ない場合は、お住まいの地域で、肛門を専門にしている先生を探して、受診されることをお勧め致します。

 

 

どこにかかったらいいのかわからない

 

専門の先生かどうか分からない

 

 

そんな人のためにこの記事を書きました。

 

 

このサイトに探し方を書いています下差し

 

日本の肛門科の歴史と現状〜専門の医師を見分ける〜

 

 

さて、メール相談を頂いてからだいぶ時間が経ってしまいました。

 

 

メール相談よりも、目の前の患者さんや、日々の診察や手術の方に集中したいので、返信が遅くなったことをご理解いただきますようお願いいたします。

 

 

読むのにも時間がかかる長文メールだったため、文中に赤字で私からのコメントを入れさせて頂きます。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

こんにちははじめまして。

昨日急に便が詰まって自分で摘便しようとしてもどうにもならず、救急外来を受診するという大変恥ずかしい思いをしました。

摘便でも出ず、結局トイレで自力で出したのですが、出血し悪くなかった所が腫れてしまい痛いです。

ネット検索していたところこちらのブログを拝見しました。

多分出残り便秘なのだろうなと色々納得するところがありメールさせていただきます。

 


痔歴は20代の頃から(外痔核)。

 

 

5年ほど前に血栓性外痔核で手術しています。

 

血栓性外痔核は手術しなくても治りますので以下の記事を参考に読んでみてください下矢印

 

手術しなくても治る痔、消えて無くなる痔、お尻の血豆「血栓性外痔核」

 

 

便秘薬は時々使っていましたが大概1~3日には排便あり便秘症の自覚はありませんでした。
 

 

痔が治り、やったーと思っていたらその年のうち再発し、市販薬や漢方などで対応していました。
 

 

その後妊娠し、ものすごい便秘となり、下剤がないと出ず、でもバイアスピリンを内服してたせい?意外と痔の悪化はありませんでした。生まれる少し前に一回腫れましたが漢方で軽減しました。


8カ月前出産(予定帝王切開高齢初産)産んだら便秘ともおさらばと思っていたら逆に悪化、授乳中だからですか便意はあっても硬くてなかなか出ず、でも1~2日にはあり。

 

 

ウォシュレットで何度も刺激しコロコロのがいくつも便器に沈殿していました。

 

→これは間違った使い方ですのでやめましょう。私はウォシュレット浣腸と呼んで患者さんには禁止している行為です。

 

詳しくはコチラの記事を読んで下さい下矢印

 

温水便座症候群 〜おしりは洗えば洗うほど皮膚は荒れる〜

 

 

 

たまにお腹を下しそうな感じがすることもあり、これでスッキリ出ると期待しても、出始めがちっとも出ないのです。


痔のことは気にしていましたが、悪化する感じはなく、すっかり油断してました。


ある日何かチクチクするなあと触ったら1個だったのが2個に増えているではありませんか!


これはいかんと数年前、最後の砦にと買っておいたひさやの薬をとうとう使いました。

 

 

乳児の育児しながら結構大変でも、これで治るならと使いきりましたが治りません。あんなに治るって言ったのに。

→切れ痔(裂肛)は「肛門に出来た傷」なので軟膏で治る可能性がありますが、いぼ痔(痔核・脱肛)や痔瘻は薬では治りません。

 

どんな痔の薬も「痔に伴う症状」を「おさえてあげる」ことは出来ますが、「痔そのものを根治せしめる」ことは出来ません。

 

それを分かった上で使いましょう。

 

また診察しないと痔の診断は出来ませんし、「治る」と医師でもない人が断言するのはおかしな話ですニヤニヤ

 

商品の効果効能を謳ったり「治る」と言う言葉を使うことは薬事法違反に当たると思いますよ滝汗

 

 

その後、肛門専門医かどうか分かりませんが肛門みてくれる女医さんの所へ行き内服と軟膏を出してもらいました。

妊娠前は薬を何日か使うとしばらくは再発しなかったのですが、最近はやめるとすぐ痛くなるので毎日漢方内服しています。

昨日そんなことがあったので昨日から病院の薬を使っています。


去年の大晦日にも便が詰まって、でもその時は自分で摘便し、ことなきを得たのですが、もうこんな怖いのは嫌だと食事を改善し、青汁やゴボウ茶、オリーブオイル+野菜ジュース、朝バナナ+ヨーグルトでコロコロに変わりはないですが、あまり力むことなく、ほぼ毎日多いと2回出ていました。

 

糞詰まり(便栓塞)になってしまったようですね。自己摘便は危険なので肛門科を受診することをオススメします。お住まいの地域は肛門を専門にする先生がたくさんおられますので、是非探して受診してみて下さい。

 


青汁もゴボウもオリーブオイルも野菜ジュースも、バナナやヨーグルトも良い便を作る材料にはなりますが、出来上がった便を排出する過程には効きません。

 

 

2回便が出ていたのもスッキリ出ずに残った便が、あとからまた出ている可能性が高いです。

 

そして2回出たからといって、全部出し切れているとは限りません。

 

残った便が雪だるま式に積もり積もって便栓塞を起こします。

 

便は急に詰まりません。

日頃の残便の結果です。

 

 

下剤は飲んでません。

 

→下剤は「お腹(腸)」に効きます。「出口(肛門)」には効きません。

 

これから作られる便には効きますが、既に出来上がって出口付近に下りてきている便や、出し残した「出残り便」には効かないです。

 

 

おとついからちょっと出にくさあり、気をつけたつもりなのにショックで、ご飯食べたらうんこができると思うと食べたくありません。

 

→食べないと便の材料が不足するため、便の量が少なくなり、かえって便秘を悪化させますので普通に食べましょう。

 

 

 

もういっそ断乳しようかと本気で考えました。

夜も眠れず先生のブログを読んでいました。

保険使えなかろうが子供預けて今すぐ行きたいくらいですが遠過ぎて残念です。

 

→お住まいの中部地方の県から大勢の患者さんが来られています。北海道や沖縄からも飛行機で受診されますので、遠すぎ・・・というと他の遠方の患者さんが怒りそうですニヤニヤ

 

 

質問です。
多分出口の便秘だろうとおもうのですが
出口が硬い便の対策はどうしたらいいのでしょう?

 

→出口の便秘かどうかは診察しないと分かりません。

 

出口が硬い便は昨日の出残り便の可能性が高いです。

 

対策は便をスッキリ出しきることです。

 

 

昨日は主人がいたからよかったですが、子供が小さく、また詰まってもすぐ病院にいけないので、また同じことにならないよう対策したいです。

大晦日に詰まった前日、確か1日出ないだけでしたが、また固まって出なくなると嫌だから、酸化マグネシウム3錠飲んだら、多分硬いうんこの栓が、ある所に一気に溜まった便が、押し寄せて詰まったのだと思います。

 

→便が詰まっているのは出口(肛門)なのに、お腹(腸)に効く酸化マグネシウムを飲むと、奥から薬が効いた軟便が押し寄せて、出口の便塊の隙間から漏れ出てくることもあります。

 

大量の下痢便で出口に詰まった便栓が押し出されることもあります。

 

 

今回は特に下剤の服用はしていませんでした。

一応昨日の事後、我流の対策でオリーブオイル多め、青汁ゴボウ茶、寝る前に市販の酸化マグネシウム2錠飲みました。

今朝は少しいきんで昨日病院と同じくらい大量に出ました。

拭くとうすい血が付きます。

素人考えで酸化マグネシウムは毎食後に1錠ずつとか飲んだら柔らかくなるかなあと思いますがどうでしょうか?

 

→酸化マグネシウムは「便を出す」薬ではなく「やわらかい便を作る」薬です。

 

効き過ぎると軟便・下痢便・頻便(頻回に便が出ること)になりますので、そうならないように患者さん自身で毎日便をチェックして調節して飲んで頂いています。

 

また、やわらかい便ばかり出していると肛門が狭くなってしまいます。

 

やわらかい便なのに排便時に痛い、出血するという場合は要注意です。

 

 

お忙しい中恐縮ですがお答えいただけたら幸いです。

長文乱文失礼しました。

 

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診察もしていないので肛門の状態が分かりません。

 

それどころか痔かどうかすら分かりません。

 

もっと言うと、便秘かどうかも分かりません。

 

 

便秘ではないのに

腸は正常に動いているのに

 

必要の無い下剤を飲んでいる患者さんをたくさん診ています。

 

 

必要の無い下剤を飲むと

 

下痢便・軟便が常態化し痔が悪化したり、肛門が狭くなってしまうことが多々あります。

 

 

ネット情報で他人の症状に自分を重ねるよりも、お近くの専門の先生にかかって治療を受けられることをオススメします。

 

 

このブログは当院での治療の考え方を書いています。

 

 

一般的な保険診療の肛門科の治療と違うこともあります。

 

 

当院では酸化マグネシウムなどの下剤や強力ポステリザン軟膏やボラザG軟膏などの痔疾薬もほとんど使わず、痔の原因となった出口の便秘を治すことを大切にしています。

 

 

痔は排泄の結果なので

間違った排泄を治さなければ

 

手術しても

注射療法をしても

薬を使い続けても

 

何度でも痔になってしまいます。

 

 

だから

 

痔の根本治療は

痔の原因となった便通を治すこと。

 

 

治療の第一歩は正しい排泄から。

 

 

いつもそんな風に患者さんにお話しして治療をしています。

 

 

正しい排泄無くして痔の治療無し

 

 

と考えていますので、手術を希望される患者さんにも、まずは便通を治してもらっています。

 

 

そこを通らずして手術をしても、術後の排便管理がちゃんと出来ないと、痛みで苦しむのは患者さん自身ですから。

 

 

このブログが治療の参考になれば嬉しいです。

 

 

地元で肛門を専門にしている先生を探してみて下さいね。

 

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