亜鉛は皆さんもよくご存知の元素記号Zn、原子番号30の金属です。
この亜鉛がヒトの健康と栄養維持に重要な必須微量元素であることはご存知でしょうか?
亜鉛は多くの酵素に含まれており遺伝子発現、タンパク質合成など細胞の成長と分化に重要な役割を果たしています。
これが不足すると味覚障害や皮膚炎、食欲不振などが起こります。
近年の若年女性の味覚障害は亜鉛不足が原因と言われています。
特に小児で不足すると成長障害や性腺発育障害が見られるので注意が必要です。
また免疫機能低下、創傷治癒障害、慢性下痢、貧血、催奇形性、精神障害などが起こると言われており、実際、肛門手術後の傷の治りが悪い患者さんに亜鉛を投与したところ治癒したり、下痢体質の人に亜鉛を摂取してもらうことで下痢が止まったという経験をしています。
また皮膚粘膜症状とも密接に関係しており、なかなか治らない肛門の湿疹の患者さんに亜鉛を投与したら治癒したケースもたくさんあります。
とても大切な微量元素である亜鉛。
近年、日本では特に女性や子供、高齢者において不足状態であることが分かっています。
2,018年の国民健康・栄養調査では、亜鉛の摂取状況は男性は平均9.1mg/日、女性は平均7.5mg/日。
国際オーソモレキュラー医学会が提唱している摂取量は20mg。
一方、栄養機能食品としての上限値は15mg。
それよりも多い値になっています。
過剰摂取を気にされる患者さんがおられますが、サプリメントで20mgの亜鉛を摂ったからと言って、20mg全部が吸収されるわけではありません。
食品から摂取した亜鉛は小腸から吸収されますが、吸収率は30%。
国際オーソモレキュラー医学会が提唱する20mgの亜鉛のサプリメントを摂取したからと言って過剰摂取の心配はまずないと言えます。。
とは言え吸収率は人によって、また状況によって異なりますので過剰症状が出た場合は減量しましょう。
過剰摂取の症状は、急性症状として、胃障害、めまい、吐き気などがあります。
継続的な過剰摂取では、銅や鉄の吸収阻害による銅欠乏・鉄欠乏が起こり、貧血、免疫障害、神経症状、下痢、HDLコレステロールの低下などが起こることがありますので注意して下さい。
しかし日本人の食事摂取基準2020年版によると、耐容上限量は18歳〜74歳女性で35mg/日、30〜64歳男性で45mg/日となっており、それ以下の年齢では上限量の記載がありません。
つまり国際オーソモレキュラー医学会が提唱する1日20mgは全く過剰摂取を心配する量ではないため、積極的な摂取をオススメします。
この亜鉛とビタミンCを組み合わせたらどうなるのか?
亜鉛もビタミンCも免疫と密接に関わっていますからね。
フランスの2つのクリニックで感冒で来院した患者さんにビタミンC1g+亜鉛10mgを5日間投与するというトライアルを行いました。
もちろん暗示効果を排除するためにプラセボ投与群と比較しました。
その結果、ビタミンC+亜鉛投与群で優位に風邪に伴う症状の早期改善が認められました
グラフからも分かるように投与してすぐに効果が見られるわけでなく、3日目くらいから徐々に効果が出始め、日が経つにつれて症状が改善していっているのが分かります。
もちろんビタミンC単独でも感冒に効果はあるでしょうが、免疫機能と関係している亜鉛と組み合わせることによってより強力な効果を期待できます。
感冒と関係なく皮膚や粘膜が弱い人には亜鉛の摂取はオススメです。
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