貧血の治療で病院から鉄剤を処方されて内服しておられる患者さんが受診されることがよくあります。
女性や高齢者に多いのですが、便が黒くなったり、便秘になったり、逆に下痢になったりしていませんか?
鉄剤を飲んでから便の色が変化したり、便通が変わって困っているという相談もよく受けます。
最近、糞詰まりの患者さんが多く、よく摘便をしているのですが、真っ黒な便の患者さんが時々おられます。
便が古くなって固まると便の色も黒くなるのですが、そんな黒さではなく、本当にイカスミのように真っ黒なんです
コロコロ、カチカチになっている場合もありますし、下痢便のこともあります。
出口に詰まっている真っ黒でカチカチの便塊を摘出すると、奥からドロドロの真っ黒便が流れ出てくることもしばしば・・・
便の色が黒いから腸のどこかで出血している、大腸癌かもしれない
と心配されて受診される患者さんもおられます。
このような患者さんは鉄剤を内服されています。
貧血の治療に処方されているので内服しないといけないのは分かるのですが、便が黒いっていうことは、飲んだ鉄剤、吸収されずに便になって出て行ってますよ
血中の鉄が十分足りているから余剰鉄が出て行っているのであればいいのですが、吸収が悪くて、せっかく飲んだのに吸収されずに便中に排泄されてしまっているのであれば勿体ない
だから鉄剤を飲んでるのに貧血は改善されていません。
貧血を治すために飲んでいる薬なのに、便になって排泄されてしまったら当然、貧血も治りませんよね・・・
それにはちゃんと理由がありまして
処方される鉄剤は「非ヘム鉄」なんです。
鉄には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類あり吸収率が違うのです。
ヘム鉄の吸収率は15〜25%、非ヘム鉄の吸収率はたったの2〜5%と約5〜10倍の大きな差があるのです。
吸収率の悪い「非ヘム鉄」を内服しても、なかなか貧血が改善されず、ダラダラと長期にわたって継続することになってしまうのは、そういう理由があるわけです。
便が黒くなるだけならまだしも、非ヘム鉄を長期使用すると胃にも負担がかかるのをご存知でしょうか?
鉄剤を飲んだら胃がしんどくなった・・・
という経験をされた人も多いと思います。
それは非ヘム鉄が胃で吸収されるときに活性酸素が発生し、その活性酸素により胃粘膜が傷害されるためなんです。
だから内服すると胃が痛くなったり、胃の不快感があるわけです。
鉄剤を飲んでも
貧血がなかなか改善しない
便が真っ黒になる
胃がしんどくなる
のは、「非ヘム鉄」だからなのです。
だから私は貧血の患者さんにはヘム鉄を処方します。
これだと便も黒くならず貧血も改善してゆきます。
便秘や下痢も起こしにくいのでヘム鉄を第一選択としています。
ただし
便が黒くなったら
内服量を減らすこと。
ここは大切なポイント。
便が黒くならない程度に
毎日便をチェックして
飲む量を調節して下さいね。
患者さんが排泄するウンコを目にする肛門科医として、せっかく飲んでいる鉄剤を無駄にしないアドバイスをしています。
また最近は「かくれ貧血」も多いです。
一般的な血液検査ではヘモグロビンも正常値で貧血を指摘されないけれど、血清鉄や血清フェリチン値が低いという人も多いでしょう。
実は私も「かくれ貧血」です。
ヘモグロビンは男性顔負けなくらい、しっかりあります
だけど血清鉄が低いのでヘム鉄を飲んでおります。
動悸、めまい、息切れ、立ちくらみなどの貧血症状がなくても、
疲れやすい、体がだるい、朝がつらい、爪が割れやすい、髪の毛がパサパサする、肌に艶がない、気分がうつうつする、落ち込みやすい、イライラする
などの症状があれば、かくれ貧血かもしれません。
血清鉄や血清フェリチン値を調べてみて下さい。
ヘム鉄を内服すれば随分元気になりますよ。
ヘム鉄服用によってうつ病が改善したという報告も多いです。
ちゃんと栄養療法ではエビデンスもあります。
心当たりのある人は調べてみても良いでしょう。
便が黒い人はちゃんと吸収されているか調べて下さいね。
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