高齢者の摘便は命がけ | みのり先生の診察室

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肛門科専門医の女医がつづる
お尻で悩める人へのメッセージ

最近、本当によく摘便をしているのですが、たかが溜まっている便を出すだけの行為なのですが、命に関わることがあることをご存知でしょうか?

 

 

溜まっている便を急激に一気に排泄すると血圧が下がって心停止が起こることがあるのです。

 

 

特に心機能が低下した高齢者に多いです。

 

 

同業の先生の中に、高齢者の摘便をして心停止が起こった経験をされた方もおられ、便を排泄するという行為は大げさですが「命に関わる行為」なのです。

 

 

介護の現場で寝たきりの高齢者の方が糞詰まりになり、摘便したらそのまま亡くなったというケースもよく聞いております。

 

またトイレで高齢者の方が冷たくなっていた・・・なんてことは昔からよくあることです。

 

 

それだけ排泄という行為は血圧の変動を伴い、時には命を危険にさらしてしまう。

 

特に糞詰まりの状態は、出口に大量の便がパンパンに詰まっています。

 

一気に出すと血圧が急降下するため、少しずつ少しずつ時間をかけて、患者さんの状態を注意して見ながら摘便をしています。

 

 

これは何も高齢者に限ったことではありません。

 

若い人でも同じです。

 

一気に便を出したあと、気分が悪くなったり、冷や汗が出たり、吐き気がしたりしたことはありませんか?
 
あるいは浣腸をしてもらったら起き上がれなくなる人も時々おられますが、これらは迷走神経反射と言って自律神経の反射によるものです。
 
 
この反応は出やすい人と全く出ない人がおられますし、だんだん慣れてきて起こらなくなるケースもあります。
 
 
いずれにしても一気に大量の便を排泄する際は注意が必要。
 
 
それだけではありません。
 
90歳以上の超高齢者の方になると、認知症などでご本人に治療を理解してもらえない場合も多く、摘便の時に叫んだり暴れたりすることもあります。
 
 
ご家族の方に協力して頂いて摘便をしていますが、患者さんも私たちも便まみれになることもしばしば・・・。
 
 
「やめてー!」
「いたいー!」
 
と大きな声で叫んで、すごい力で暴れている人は大丈夫なんです。
 
 
こんな年齢で、こんなにやせ細って小さいのに、すごい力だな、多くて元気な声が出るなぁと逆に命の心配をせずに摘便出来ます。
 
 
あまりにも暴れられると、摘便が格闘技のようになることもありますが・・・あせる
 
 
それでも最後までやり抜きます。
 
便を出さずにお帰ししません。
 
残した便は翌日またさらに固まって、次は摘便できないかもしれないからです。
 
 
人は排泄出来なくなると死にます。
 
だから便が出る、オシッコが出るということはとても大切。
 
 
また糞詰まりになるとオシッコの出が悪くなったり、オシッコが全く出なくなることもよくあることです。
 
逆にオシッコが漏れている高齢者の方も多く見かけます。
 
摘便中に、溜まっていてオシッコが大量に出てくることもしばしばあります。
 
 
特に女性の場合は肛門と尿道の場所が近いですから、便が詰まるとオシッコが出にくくなったり漏れたりしやすいのでオムツを当てて受診されることをオススメします。
 
 
摘便は肛門科では肛門科医がやるのですが、一般の医療機関では看護師がやることがほとんどでしょう。
 
救急車で運ばれて摘便をしてもらったけれど全然楽にならない・・・
 
と当院を受診される患者さんも多いのですが、摘便は肛門科医にしか出来ない、肛門科医だからこそ出来る仕事だと思いますね。
 
 
また緊急性を要するので、本当に困っている患者さんは時間外や緊急でも引き受けることにしています。
 
他の施設では出来ないと思うから・・・汗
 
 
でも糞詰まりは予防出来ます。
 
ちゃんと毎日便を出し切って肛門を空っぽにしておくことです。
 
 
詰まるのは急ですが、溜まるのは徐々にです。
 
糞詰まりは日頃の便の蓄積の結果なので、予防につきます。
 
 
だから出口の排便の管理が大切。
 
その管理方法を患者さんと、場合によってはご家族に指導して、自分で出来るようになってもらう必要があります。
 
 
そうすれば通院もいらないし自分で管理できます。
 
 
出口の排便管理については知らない人が多く、最近、各方面から講演やセミナーの依頼を頂いております。
 
 
一人でも多くの医療従事者に知って頂き、患者さんが排便によって命の危険にさらされることがないようになれば幸いです。
 
 
1月末に東播磨地区の看護協会で講演をします。
 
168名の方がお申し込み頂いているようで、とても嬉しいです。
 
徳島県で講演させて頂いたときに知ったのですが、現場で患者さんを実際に診ている看護師や介護士の方々が本当に困っておられました。
 
そのような声をたくさん頂き、実際の現場で役立つ具体的な方法を医療従事者向けにレクチャーできればと思い引き受けた講演。
 
出口ばかりみている肛門科医として、出口の便秘と排便管理についてお話ししようと思っています。
 
 
診療所のセラピードッグ「ラブ」あしあと
左から2番目がラブですしっぽフリフリ
この連休は私が仕事で東京だったため
ようちえんにお泊まりでした
寂しそうな顔をして映ってるんですよね笑い泣き
 
 
 

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