日本が誇るトイレ家電「温水洗浄便座」。
ウォシュレットと呼ばれているものですが、ウォシュレットというのはTOTOの商品名であって一般名ではありません。
しかし「温水洗浄便座」と言うと何のことか分からないと首をかしげる患者さんが多いため、あえてここではウォシュレットと表現させて頂きます。
オシリはよく洗って清潔に
と昔は肛門科でも指導していたほどですから、世間一般的にはオシリを清潔にするものと思われても致し方ないでしょう。
20年前のウォシュレットの普及率は20%。
そして現在はなんと80%
ほとんどの家庭で付いているでしょうし、今や公衆便所にまで設置されています。
洗えば清潔になると誰も疑わなかったでしょう。
20年以上前は肛門科医ですら「痔に良い」と話していたくらいですから。
ところが年月が経つにつれて様々な弊害が分かってきました。
洗い過ぎで皮膚がボロボロになるくらいならまだしも、性病に罹患するなんてことになると笑っていられません。
悲しいことにウォシュレットが原因と思われる肛門尖圭コンジローマがどんどん増えてきています。
最初は肛門科医の間でも
アナルセックスによるものだ
患者が隠して言わないだけで陰でやっているに違いない
と議論されていましたが、どう考えても、性行為による感染ではないと思われる症例があちらこちらで報告されるようになりました。
私も約10年前に学会で発表しましたが、同じような症例があると多くの先生方から報告がありました。
性行為ではなくウォシュレットが原因だと思われる根拠は
- 洗浄を中止すると皮疹が改善または消失する
- 洗浄している肛門部だけに限局している
の2点。
実際に当院でも上記のようなケースをたくさん経験してきました。
アナルセックスを常習的にしている患者さんは肛門を診察すればだいたい分かります。
口では嘘をつけても肛門では嘘をつけません。
患者さんが言わなくても肛門が全部教えてくれます。
指を入れた瞬間に分かるケースも多いです。
それは健常人に比べ肛門のしまりがゆるいからです。
特に男性は分かりやすいです。
ホモセクシャルの人は第1印象で分かることも多く、医学的に必要な情報なので単刀直入に尋ねると、あっさりと白状して下さる患者さんが多いですね。
ホモセクシャルの人に限らずアナルセックスの既往のある人はHIV感染を合併していることがあるため必ず検査を勧めます。
今やHIVは死に至る病ではなく、薬で治る可能性があるそうですから、早く発見して治療するのがベストです。
恥ずかしがらずに少しでも不安がある人は検査を受けましょう。
保健所で無料、匿名で受けられる簡易検査もありますから利用して下さいね。
さて、それではなぜウォシュレットで尖圭コンジローマがうつるのでしょう?
ウォシュレットが不潔なのでしょうか?
メーカーはノズル洗浄によって清潔な状態を保っていると回答していますが、ノズルの先端は洗えてもノズルを収納する格納庫は人の手で綿棒などを使って掃除をしなければキレイになりません。
この部分、掃除をしたことのある人はご存知でしょうが、かなり汚れています。
ノズル洗浄をしたあと、綿棒で格納庫の奥を掃除すると・・・
こんなに汚れていました
それだけではありません。
ウォシュレットで飛び散った便が便器のあちこちに付いています。
そもそもウォシュレットを使う人はスッキリ便が出ていないので、洗うと肛門に挟まった便が飛び散るのです。
だからウォシュレットが清潔であっても感染のリスクはあるわけです。
そして一番の原因は洗い過ぎてボロボロになった皮膚です。
バリアー機能が障害された皮膚には簡単にウイルスや細菌が侵入します。
感染しやすい皮膚を人工的に洗って作ってしまっているので、通常なら
感染しないのに皮膚の免疫が落ちているから簡単に感染が成立してしまうのです。
ウォシュレットが原因の尖圭コンジローマの患者さんの特徴として、洗い過ぎでまずはじめにかゆみが発症。
かゆいからボリボリとオシリを掻いて掻き傷を作ってしまう。
傷からは容易にウイルスが侵入できるので感染成立。
つまり病気をもらいやすい皮膚がそもそも問題だということですね。
何もウォシュレットだけが悪者ではないというわけです。
そして・・・
尖圭コンジローマの患者さんが自宅のウォシュレットを使用し、小さな子供を含め家族全員に感染してしまった・・・という家族内感染のケースもありました。
だから
私は家でしか使ってないから大丈夫。
どんな人が使ったか分からない外のトイレでは使ってないから感染しない。
と安心してもいられない。
世界一キレイな日本のトイレ。
海外にも広まりつつあるウォシュレット。
これから人類のオシリがどうなっていくのか私は心配でなりません。
そしてその懸念が的中。
最近は外国人が受診するようになりました。
日本の家電を爆買いした中国人です。
洗い過ぎによる皮膚障害は誰も経験がないため中国内の医師では診断が出来ず困り果てて受診されるケースが多いです。
私は洗い過ぎで肛門のトラブルを起こしてしまっている人にはウォシュレットは全面禁止しています。
洗うのをやめなければ治らないからです。
では何も起こっていない人は大丈夫?
今は大丈夫かもしれません。
でも洗い過ぎると、いずれトラブルが出てくる可能性は高いでしょう。
だから洗うのもほどほどに。
今、何もないという人も注意して下さいね。
尖圭コンジローマについてはコチラ
ウォシュレットの弊害についてはコチラ
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寒くなってきたので
外に出るときは服を着ます
犬って意外と寒がりなんですよ
今日はキタナイ話でごめんなさいね
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