うちの診療所は自由診療。
だから色々な肛門科を回ってから最後の砦だと思って遠方から受診される患者さんが多いです。
中には10軒くらい肛門科(と看板に書いてあるクリニック)を回ってから来られる人もいます。
その時に今まで受診してきた先生の言うことがそれぞれ違っていたり、私の診断や治療方針と違ったりすると混乱する患者さんがおられます。
診断が同じならまだいいんです。
診断自体が違うことも結構ありまして・・・
切れ痔なのに脱肛と言われていたり
肛門が狭くないのに肛門狭窄症で手術をすすめられていたり
痔瘻なんてないのに痔瘻と診断されていたり
血栓性外痔核なのに肛門周囲膿瘍と言われて切開をされていたり・・・
もう数え上げたらきりがないのですが、こういった場合、患者さんに診断を告げるときに躊躇して悩むことが多かったです
なぜなら私が自分の診断を述べることは、結果として前医の診断を否定することになるからです。
医者の世界では「前医を悪く言うべからず」と言われてまして、同業者同士で、かばい合う、フォローし合うような風習があります。(多分、最近も・・・。)
だから患者さんに説明するときに困ったのです。
なんて言おう・・・
どう説明すれば前医を否定せずにすむのかな・・・
なんて考えてしまい、説明がしどろもどろになってしまったことも若い頃はありました。
でも
でもですよ
痔でもないのに痔って言えないし
狭くもないのに手術をすすめられないし
切れ痔と脱肛は全然別物だし
血栓性外痔核は膿が溜まったワケじゃないし
それは「意見」じゃなくて「所見」なので、「事実」をきちんと伝えるべきだと考え、説明しようと決めました。
それからは色々な施設を回って来られた患者さんにも、前の先生がどう言う診断をしたのか、わざわざこちらから聞かないようにしました。
(それでも問診票にビッシリ書いている患者さんもおられますけど・・・)
診断が違えば当然、その次に来る治療も違ったものになります。
手術を宣告された人が手術不要という結論になることも多く、ほとんどの患者さんが来て良かった!と大喜びで帰って行かれますが、中には前医に対する怒りをあらわにする人もおられます。
でもね
それは仕方のないこと
どの先生が正しいのか、
正解探しをしたり、
誰が間違っているのか
悪者探しをすることは
意味がありません。
患者さんも幸せになれないし、これから受ける治療にも影響が出て来てしまいます。
肛門科は医学部でも大学病院の研修でも専門的に学ぶ機会がありません。
肛門診療を学ぶためには肛門科専門施設に行って研修を受けるしか方法がないのですが、その施設が日本でも10施設くらいしかありません。
そのような専門施設で研修を受けてから開業する医師はごく一握り。
大部分は修練を受けずにクリニックの看板に掲げているのが現状。
だから肛門科だけは専門にかかってほしい。
そう思ってこの記事を書きました↓
肛門科の専門医の探し方・選び方〜期待外れにならないために〜
肛門科を専門にしている女医は全国でも20名余り。非常に少ないため女医にこだわらず専門性で選ぶべきだと思います↓
肛門科の女医とは?女性肛門科とは?

大好きなオモチャを前に我慢


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