私は説得も誘導もしない | みのり先生の診察室

みのり先生の診察室

5万人以上の「オシリ」を診察してきた
肛門科専門医の女医がつづる
お尻で悩める人へのメッセージ

昨日のブログを読んで肛門科に行くのが怖くなった人もいるかもしれません。

だって、行くところによって言われることが違うんですからね(-_-;)

同じオシリなのに、どうしてこんなに違うこと言われるの???

ってなりますよね?

提案される治療方針が違うのであれば

意見の違い

として受け止められますが、

診断そのものが違うとなると

「どっちが本当なの?」

って混乱しますよね(-_-;)

でもね

痔という病気に限らず他の病気でも同じだと思うんです。

医療って不確実なモノですよ。

それを分かった上で受診して、

一つの施設で決めずに色々な意見をたくさん聞いて、自分の頭でよく考えて、悩んで、

自分がどうしたいか?

を中心に、誰を信じ、どの治療を選択するのか、全部、自分で決めてほしいんです。

人に決めてもらってはダメなんです。

お母さんや友達や先生が決めるんじゃなくて「あなた」が決めるんです。

それは自分の選択と決断に責任を持ち、あとで後悔しないために必要なことだと思います。

自分の体のことです。

医療においては患者さんが主導権を握っていいと思うんですよ。

今までの医療は「医者中心」だったと思いますが、これからの医療は「患者さん中心」になっていくでしょう。

だから「先生が治してくれる」とか「病院にかかれば何とかしてもらえる」と思うのではなく、

「自分の体は自分で治す」という意識が必要になってきます。

blog200

診療所のセラピードッグ「ラブ」
犬にも意思があります
人間の指示に従うよう躾けていますが
犬の意思も尊重してあげる必要があります



昨日のブログで書いた患者さんもそうですが、

セカンドオピニオンで来られる患者さんを見ていると、前医と違う診断になったり、提案する治療が違ったりすると混乱してしまって、迷い、戸惑う患者さんが多いです。

そこで私が手術の方向へ恣意的に持って行くことも、やろうと思えばいくらでも出来るわけですよ^_^;

それがたとえ医学的にみて「手術が必要ない状態」であっても、私の説明いかんで、どうにでも持って行けるわけです^_^;

だって患者さんは専門的なことも分からないし、自分の肛門の中を見ることができないわけですから、なんとでも言えるんですよね^_^;

ぶっちゃけ、何もせずに帰すよりも、手術をして帰す方が儲かるわけです^_^;

でも、それをやると「医療」ではなく「商い」になってしまいます。

ヒポクラテスの誓いにあるように「知りながら害をなしてはいけない」のです。

ある意味、医者の良心を問われる場面は日々の診療の中で非常に多いです。

そんな状況の中で、常に患者さんのことを考え、患者さんの気持ちにより添い、患者さんの利益だけを考えて、私は患者さんを手術受けるよう説得したり、自分が思っている治療に流れるよう誘導したりしないように心がけています。

患者さんの中には

難しいことは説明されても分からないから先生にお任せします

とか

よく分からないから先生が決めて!

とか

先生の言う通りにします

とか言われる人がいますが、それでも本人に決めてもらっています。

混乱してて、迷ってて、決められない人には「何も決めない状態」で迷っててもらいます^_^;

だって、たかが痔ですよ^_^;

迷ってそのままの状態で様子を見ても手遅れになりません^_^;

死にません^_^;

それに、私は

痔は便通の結果
便通は生活の結果


だと考えているので、まずは便通を直すことから入ります。

今までも何度も言っていますが

本当の根本治療は薬でも手術でもなく、痔になった便通を直すこと、生活を見直すこと

なので、そこからアプローチします。

手術しようかどうか迷いながら、悩みながらでも便通を直すことはできますからね^_^;

そうして便通を直してみて、痔の症状が良くなってから手術をどうするか決めても遅くないです(*^_^*)

だから

私は患者さんを説得も誘導もしません。

あなた自身が決めて下さい。

それが自分のオシリに対する責任です。

だれがそんなオシリにしたの?

それは他でもない「あなた」でしょう?

だったら自分で責任を取りましょうよ(*^_^*)

自分の体の主導権を人に譲ってはいけません。

自分が握るのです。