どうせ手術してもまた痔になる
うちは痔家系だから切っても無駄
そう思っている人も多いです。
でもね、痔は遺伝でも体質でもありません。
痔になりやすい家系もありません。
痔になりやすい習慣と便通があるだけです。
それを正せば痔にならないです。
絶対にならないとは言い切れませんが、なりにくいと思います。
痔にも色々な種類があるので、どの「痔」を指すのか分かりませんが、患者さんのお話を聞いていると、「再発」とか「繰り返しなる」という話はどうも「痔核(イボ痔)」のことを言っているようです。
イボ痔(痔核)になりやすい人はズバリ便秘の人です。
便秘って言っても皆さんが思っている便秘じゃないですよ。
「直腸性便秘」です。
それと「お酒」ですね。
この二つの習慣を持っていると痔核を繰り返しやすいです。
「お酒が大好きで便秘を直すのもいや!」という立派な脱肛の患者さん。
手術を受けて完治しました。
完治したら患者さんじゃなくなるわけですからお別れです。
また痔にならないように便秘にも気をつけて、お酒も控えるようにアドバイスしたところ・・・
「お酒を我慢するくらいなら死んだ方がマシ!
便秘の治療もめんどくさくて毎日無理!
それにこんなに痔の手術が楽ちんだったら、また痔になってもいいですわ。
こんなに痛くないんだったら毎年でも手術受けれますわ!
だからお酒も好きなだけ飲むし、便秘も直さない!」
と笑ってお別れした男性患者さん。
本当に7年後に立派な脱肛を作ってまた帰ってこられました(^0^;)
逆に7年、不摂生をしても大丈夫だったんですよね^_^;
患者さんも「こんなに長持ちするなんて思わなかった」って言っておられました。
「今度は二度と痔の治療なんて受けたくないって言ってもらえるように、痛い治療にしましょうか?」
って意地悪で言ったら
「それはやめてください~~~!」
って言われましたけど^_^;
痛くない治療よりも痛い治療の方が患者さんに親切なのかもしれません^_^;
だって、痛い思いをしたら「もう二度と受けたくない!」って思うでしょう?
痔にならないように気を付けるでしょう?
診療所のセラピードッグ「ラブ」
左から2番目がラブです。
犬は集団生活を好みます。
自分のボスを常に求めます。
左から2番目がラブです。
犬は集団生活を好みます。
自分のボスを常に求めます。
でも、その患者さんとお話しして思ったんです。
オシリに悪いこと、健康に悪いこと、色々あります。
でもね。
人は「健康になるため」に生きてるんじゃないんです。
もちろん健康に生きれたらすごくいいと思います。
でも、健康に生きるために大好きなものを我慢したり、それによって人生がつまらないものになるのであれば、何が幸せか分かりません。
私たち医者に出来ることは治療者としてアドバイスをするところまでです。
患者さんの生活に立ち入ったり、人生を支配することは出来ません。
私たちが「こうすればいいよ」ということも、分かっちゃいるけど受け入れられない人もいます。
「これをすれば病気になるよ」という悪いモノでもやめられない人もいます。
それはそれで仕方ないと思うんです。
だって「馬を水辺に連れて行くことは出来ても、水を飲ませることは出来ない」ですからね。
いや、もしかして水辺に連れて行くことすら出来ないかもしれません。
水辺がどこにあるかを教えてあげることくらいしか出来ないのかもしれません。
痔を繰り返す患者さんは、ある意味、劣等生です^_^;
でもね、誰よりもご本人が分かってるんですよね^_^;
だからあまりきつく、強く言えません。
ご本人の選択ですから。
ただ私たちは目の前の痔を治すだけです^_^;
そしてそんな患者さんにも温かく優しいまなざしで見守っていきたいです。
「こうしなさい」「これをしちゃダメ!」では、しんどくなっちゃいますからね^_^;
痔になって帰ってきてもいいですよ。
怒ったり責めたりしませんから^_^;
でも痔にならないよう気を付けられることは実行してくださいね(*^_^*)