海外から来られる患者さんの治療 | みのり先生の診察室

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5万人以上の「オシリ」を診察してきた
肛門科専門医の女医がつづる
お尻で悩める人へのメッセージ

うちの診療所は海外から受診される患者さんが意外と多いです。

ほとんどは海外在住の日本人の方ですが、外国人もいます。

そこで問題となるのが通院です。

しばらく日本に滞在しておられるのであればいいのですが、すぐに帰らないといけないケースは初回の診察のみで終わりということもしばしばあります。

初診の時に診断し、必要があれば薬を出し、便通管理を行います。

そして2週間後に来てもらって治っているかどうか確認します。

ところが、海外の患者さんだと治ったかどうか確認が出来ません。

なので、できるだけ受診を予定して帰国される時には、2週間ほど日本に滞在できるよう計画を立ててもらっています。

受診の際には前もってメールでご相談頂くのがいいです。
(実際にそうしてもらっていることが多いです)

手術治療が必要のない痔疾患であれば、適切な治療をすれば2週間で症状が改善します。

完治して終了!というケースも多いです。

問題は手術治療で帰国される場合です。

受診してその日にいきなり手術・・・ということは難しいです(-_-;)

また手術して、そのあとほったらかしではちゃんと治りません。

最低1ヶ月くらいは週に1回の通院が必要です。

つまり、

手術治療を受けようと思ったら、

日本に1ヶ月は滞在する必要がある、

もしくは、海外から週に1回通院する必要がある、
ということです。

今までアメリカやカナダ、オーストラリア、イギリス、フランス、ドイツ、カメルーンなどから手術治療を受けに来られた患者さんを経験していますが、ほとんどの方が1ヶ月間ビザを取得して日本に滞在されました。

お一人だけ、退院後、アメリカから週に1回、通院された方がおられました^_^;

お仕事の関係で日本とアメリカを行ったり来たりされていた方なので苦にならなかったようです^_^;

イボ痔(痔核・脱肛)であれば、だいたい1ヶ月くらいで完治して治療終了となるのですが、痔瘻の場合は1ヶ月以上かかってしまうこともあります。

特に複雑痔瘻だと3ヶ月くらいかかります。

海外からの通院も視野に入れる必要があります。


blog83

診療所のセラピードッグ「ラブ」
セラピー犬の認定条件・その7
「基本的な服従訓練ができていること」
「来い」「座れ」「待て」「伏せ」ができること。
人に飛びつかない、
極度に興奮しないこと等が基本。




海外からわざわざ選んできて下さるのは本当にありがたいことです。

そんな皆さんの期待に応えられるよう努力したいと思っています。

ですが、手術は治療のゴールではなく治療の始まりです。

手術後の便通管理と傷の管理がとても大切です。

その部分をしっかり手を抜かずにやっているからこそちゃんと治りますし、うちの手術の術後が痛くないと言ってもらえているのだと思っています。

術後の管理は私たちだけでは出来ません。

患者さんの協力と努力があってこそ初めて出来ます。

だって治すのは患者さん自身なんですから(*^_^*)

私たちはそのお手伝いをしているだけです。

二人三脚で「完治」というゴールに向かって共に走っているのです。

それは海外から来られる患者さんも同じです。

手術だけ受けて日本を離れてしまってはゴールを見失ってしまうこともあります。

私たちの手術という技術を高く評価して下さるのは本当に嬉しいですが、どうか、過信せず、「治療の覚悟」をして日本に帰ってきて下さいね!