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昨日のブログで、センナやアロエ入りの下剤やお茶、健康食品を毎日何年も摂取し続けて、下痢便を出していると肛門が狭くなることがあるって書きました。
じゃあ、狭いっていう基準は?
というと、「何センチ」とか「指で何本」とか、明確な基準はないんです。
それに人によって指の太さも違います。
例えば女性医師である私の人差し指が楽々入っても、男性医師であるうちの院長の人差し指が入りにくい肛門もあるわけです。
また、どれくらい狭くなると、便が出しにくいとか、肛門が痛いなどの症状が出てくるのか?
ということも人によって違うんですよね。
診察してみて私が
「狭いなあ」と思う肛門でも、
全く無症状というケースだってたくさんあるわけです。
要するに「使い勝手」で困ってないわけです。
そのようなケースまで
「医学的に狭いから」
という理由で手術をすすめることに意味はない・・・
と私は考えています。
だってそうでしょう?
ご本人は何も困ってないんですよ。
肛門の穴が小さくても、
その小さな穴に見合った便が出ていれば困らないわけです。
痛くもないし出血もしない
便もちゃんと出せている
そんな肛門を「肛門狭窄症」と診断して手術をしていたら、かえって「使い勝手」の悪い肛門になることがあります。
何のために手術するのか?
それは患者さんのつらい症状を無くすためですよね?
何もつらい症状がなかったら、手術をしても「変化」もなければ「ありがたみ」もありません。
それどころか、肛門を広げたせいで「漏れる感じがする」とか「オナラが勝手に出る」とか「トイレが間に合わない時もある」と言った不具合を生じているケースもあります。
だからちゃんと苦痛なく排便出来ていればいいんです。
狭いからって何でもかんでも手術ではありません。
狭いせいでつらい症状がある場合には考えたらいいでしょう。
診療所のセラピードッグ「ラブ」
犬にも肛門の狭い・広いはあるのかな?
犬にも肛門の狭い・広いはあるのかな?
ただし、つらくなくても指も通らない、肛門鏡も入らないような場合は手術をオススメします。
なぜなら奥に何があるか分からないからです。
肛門の診察では「痔」だけを診ているわけではありません。
肛門や直腸に癌がないかどうかも注意して診察しています。
診察できなければ奥に潜んでいるかもしれない病気も分かりません。
また、大腸内視鏡も挿入できないと大腸を調べることも出来ません。
ですから診察出来ない、指も入らない場合は手術をオススメしています。
でも、そこまで狭いケースは痛みや出血、排便障害などの症状があります。
だから患者さん自身が不便を感じて来院され、手術を希望されるケースが多いです。
狭いかどうか心配しているだけの人は大丈夫です。
ちゃんと苦痛なく便が出せて、痛みや出血などの症状を伴わなければ、まず手術は必要ありません。
だから
「狭い=手術」ではありません。
狭いせいで困っていますか?
あなたのその症状は本当に手術することによって改善しますか?
ちゃんと自分で考えて選択することが大切です。
困っている、つらい症状がなければ
あわてて手術を受けなくても大丈夫です。
またつらくても、あなたがそれでいい・・・と思えるのであれば
限界まで頑張ってもいいのです。
すべては自分の体のことなので
人任せにせず、
自分で感じて、
考えて、
選択して
決断して下さいね。
それが納得診療につながると思います。