下剤を飲んで便秘になる?! | みのり先生の診察室

みのり先生の診察室

5万人以上の「オシリ」を診察してきた
肛門科専門医の女医がつづる
お尻で悩める人へのメッセージ

第12号
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「便秘」とか「便」とか「オシリ」の話ばかりですみません^_^;

家でも、食事中でもこんな話をするもんだから
子供から「お行儀が悪い!」と注意されてます^_^;

でも排泄は生きていく上で欠かせないこと。

恥ずかしいことでも、汚いことでもなく
毎日気をつけたい大切なこと。

だから書きます(^_^)

「便秘」になったら薬局で薬(下剤)を買って
飲んで出す!という人も多いです。

それが自分に合っていて、
下痢にならずに自然な「お通じ」であればいいんです。

ですがちょっと待って下さい。

下痢をしたり、何回も便が出たり
おなかが痛くなったり、
形のない軟便が出たりしてませんか?

もしそうであれば合ってない、
あるいは大腸を刺激して動かす成分「センナ」が入っているかもしれません。

センナは大腸を刺激します。
薬で大腸を動かして便を出すものです。

だから飲めば効きます。

でも依存性・習慣性があります。

つまり、ずっと飲んでいるとだんだん効かなくなってきて飲む量が増えたり
薬を飲まないと便が出なくなってきます。

また困ったことに、
長い間ずっと「センナ」を飲んでいると腸の粘膜が黒くなってきます。

そのような黒い腸を「腸管メラノーシス」というのですが、
病気ではありません。

でも細胞を調べてみると変性してしまっているそうです。

そのように黒くなった腸は自分で動かなくなります。
便を送り出す「ぜん動運動」が起こらなくなってしまうのです。

だから薬を飲まないとおなかが張るし、
便が出ないんです。

薬なしでは便が出ない体になってしまうわけです。

便秘を直そうと思って飲んだ薬で、
かえって便秘になってしまっているんです。



診療所のセラピードッグ「ラブ」
人にも犬にもコロンと転がって
おなかを見せます



肛門科に来られる患者さんは「オシリ」に便をためている人が多いですから
下剤を飲んでも便が残っています。

それどころか、出口まで便が下りてきているのに
それに気付かずに下剤を飲んでいる人も多いです。

出口まで下りてきているということは
腸はちゃんと動いて便を出口まで送り届けてくれているということ。

だから腸を動かす下剤は要らないんです。

ちゃんと動いているのに薬を飲むからおなかが痛くなったり下痢になるんです。

下剤はおなか(腸)に効きます。
出口(肛門)には効きません。
出来上がった便には効かないんです。

2~3日便が出ない人でも
診察をすると肛門にパンパンに便が詰まっている人もいます。
おなかに詰まってるんじゃないんです。

それは「便が出ない」のではなく
下りてきてたまっている便を「感じられない」状態です。

おなか(腸)には便がたまっていない人が下剤を飲む必要はありません。
奥(腸)はちゃんと流れているんです。
滞っているのは出口(肛門)かもしれません。

どこに便が停滞しているのか
それによって対処法が違います。


便秘と言えば、なんでもかんでも下剤ではありません。

特に市販の下剤は飲めば効くものが多いですから
成分を確かめて選ぶことが必要です。

あなたの飲んでいる下剤は大丈夫ですか?
クセになっていませんか?

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